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毎年11月上旬に岩手県の平泉町で開催される「秋の藤原まつり」
日本には仏教に基づく文化が根づいています。全国各地に散らばる無数の寺院が仏教の文化を広めてきました。岩手県の平泉町は町全体に浄土の世界が広がっています。平安時代の末期に栄えた奥州藤原氏が数多くの寺院や遺跡を残しているのです。毎年、春と秋には中尊寺や毛越寺では、奥州藤原氏を偲ぶ「藤原まつり」が開催されています。2021年は11月1日~3日の期間で、「秋の藤原まつり」が行われました。
JR平泉前に掲示された2021年の「秋の藤原まつり」の開催案内
2021年の「秋の藤原まつり」のチラシ
奥州藤原氏が理想の仏国土を実現するために造営した中尊寺
「秋の藤原まつり」のメイン会場となる中尊寺は平安時代の850年に慈覚大師円仁によって開創されました。12世紀になると奥州藤原氏の初代清衡が大規模な堂塔の造営を行いました。11世紀後半に東北地方で続いた戦乱で亡くなった人々の霊を慰め、仏の教えによる平和な理想社会である仏国土が建設されたのです。
中尊寺の本堂
中尊寺の本堂内
中尊寺の金色堂
中尊寺で「秋の藤原まつり」期間中に行われる能や郷土芸能の演舞
「秋の藤原まつり」は初日の10:00にスタートします。中尊寺で藤原四代公追善法要、毛越寺で藤原四衡公報恩法要が同時に始まります。その後は様々なイベントが、2つの会場で時間を前後して企画されています。中尊寺で藤原四代公追善法要が行われた後に続くのは稚児行列です。モミジを手にした稚児、詠歌衆、僧衆の行列が10時30分に本堂を出発し金色堂まで向かいます。翌日からの2日間には多彩な伝統の芸能の演舞が2つの会場をリレーします。3日目には中尊寺の境内に建造されている白山神社の能楽堂で能などの奉納が行われます。2021年は素謡と仕舞の奉納が行われました。
白山神社の能楽堂
能楽堂での素謡の奉納
能楽堂での素謡の奉納
能楽堂での仕舞の奉納
能楽堂での仕舞の奉納
金色堂前の広場では東北地方の郷土芸能に触れることができます。2021年には2日間で、「行山流舞川鹿子躍(ぎょうざんりゅうまいかわししおどり)」、「栗原神楽」、「朴ノ木沢念仏剣舞(ほおのきざわねんぶつけんばい)」、「達谷窟毘沙門(たっこくのいわやびしゃもん)神楽」の4つの伝統芸能が披露されました。
2021年の「秋の藤原まつり」の郷土芸能のプログラム
金色堂に向かう「朴ノ木沢念仏剣舞」の行列
金色堂に向かう「朴ノ木沢念仏剣舞」の行列
金色堂に向かう「朴ノ木沢念仏剣舞」の行列
中尊寺の秋を彩る紅葉や菊の花
「秋の藤原まつり」の開催日は例年、奥州地方の紅葉の見頃時期と重なっています。中尊寺の広大な境内も秋の彩りで包まれます。奥州藤原氏を偲ぶ仏国土が秋色に染まるのです。2021年の10月29日~11月14日の夜間には「紅葉銀河」のライトアップが行われました。
2021年の「紅葉銀河」のポスター
寺院の入口に掲示される2021年の「紅葉銀河」の案内
参道の紅葉
本堂西の大日堂を彩る紅葉
金色堂を彩る紅葉
金色堂北の弁財天堂を彩る紅葉
11月上旬の中尊寺の境内は切れ目ない紅葉で彩られますが、さらに秋の季節感を加えるのが菊です。本堂前の広場では2021年10月20日~11月15日の期間で「中尊寺菊まつり」が開催されました。豊かな色彩で咲く菊の花の頭上を紅葉が覆うエリアもあり、これ以上、秋の雰囲気に浸れる場所は滅多にないことでしょう。
本堂前で開催される「中尊寺菊まつり」
頭上の紅葉にコラボする本堂前の菊の花
本堂前の参道に並ぶ菊の花
思い出を鮮明に記録する御朱印
紅葉狩りをしながら伝統芸能に触れると貴重な一日を過ごすことができますが、訪問日が記された御朱印を頂くと思い出を鮮明に記録することができます。中尊寺では本堂や金色堂を他とする数多くの堂宇で、異なるデザインの御朱印が準備されています。多種多様の楽しみの一つに、御朱印巡りを加えると充実感を極限にまでアップすることができるかもしれません。
中尊寺本堂の御朱印
中尊寺金色堂の御朱印
「秋の藤原まつり」は岩手県の平泉町の毛越寺や中尊寺をメインの会場として、毎年11月上旬に開催されています。開催日には多彩な伝統芸能に触れることができるばかりでなく、境内を彩る紅葉で秋の深まりを感じることができます。