祭り・イベント総合研究所

【対談】池原沙都実(株式会社日本経済研究所)×山本陽平(祭り・イベント総合研究所 代表)|花火業界の調査から見る、持続可能な祭り・イベントのありかたとは?

作成日:2021/5/20
更新日:2021/10/30
【対談】池原沙都実(株式会社日本経済研究所)×山本陽平(祭り・イベント総合研究所 代表)|花火業界の調査から見る、持続可能な祭り・イベントのありかたとは?

【対談】池原沙都実(株式会社日本経済研究所 地域本部地域産業部 副主任研究員)×山本陽平(株式会社オマツリジャパン 共同代表取締役 兼 祭り・イベント総合研究所 代表)

始めに

2020年からの新型コロナウィルス感染症の世界的流行は日本の祭礼・イベントにも大きな影を落とし、多くの祭礼が開催中止や延期を余儀なくされた。一方で、規模を縮小しての開催やオンラインでの開催など、各地でコロナ禍の中での祭礼の在り方を模索する動きもみられた。その動きに鑑みて、株式会社オマツリジャパン「祭り・イベント総合研究所」(通称:祭り総研)は2月、祭りやイベント、伝統文化に関する市場調査「コロナ禍での祭り・イベント関係者の動向・意識調査」を実施。調査の結果、回答者の大半が2021年度以降の開催を検討しており、開催を検討していると回答したうち「通常通りオフラインで開催」は35%、「縮小でオフラインで開催」は27%となった。また、開催する場合の62%がオフラインの意向であることが判明した。(*1)
そうした中、コロナ禍で苦しむ人々の心の灯となった取組もあった。それが花火である。コロナ禍により全国で花火大会の中止が相次いで決まる中、その中でも新型コロナウィルス感染の収束を願い、各地で一斉に花火を打ち上げるイベント(*2)が行われ、自粛に疲れた人たちに大空の花火を見上げて笑顔になってもらおうとする花火業界からの想いが全国の夜空を灯した。
そして、本年。この花火業界の動向をまとめたリポート「with コロナ時代における持続可能な地域産業に関する調査~花火業界からのアプローチ・最終報告~」(*3)が一般財団法人日本経済研究所(https://www.jeri.or.jp/)発行「日経研月報」2021年4月号に掲載された。
そこで、祭り総研は、この調査論文を執筆された池原沙都実さんに、業界の展望などお話を伺った。

【池原さまプロフィール】

所属:株式会社日本経済研究所 地域本部 地域産業部
主な研究テーマ:花火や日本酒などの地域産業や、地域資源を活かしたツーリズムなど。
主な調査実績:「花火産業の成長戦略(2016年)」、「東北地域企業アウトバウンド旅客調査(2017)」、「Reborn-Art Festival開催がもたらした地域経済への影響(2018)」、「日本酒を核とした地域の賑わい創出に向けて(2019)」、「『大曲の花火』を核とした地域経済の活性化に向けて(2020)」、「新潟・庄内DC経済効果調査(2020)」などなど。

経済の目線から花火業界を研究するきっかけは東北から

対談風景(画面中央:池原さま、画面右:祭り総研代表・山本)


山本:花火業界を継続して調査されてこられていると思いますが、そもそも花火業界に注目したのはいつごろからなのでしょうか?
池原:今の研究所に入る前から着目しておりました。前職の株式会社日本政策投資銀行(DBJ)東北支店に在籍していた2016年に花火産業の調査リポートをまとめたことがきっかけです。花火は、美しさなどの芸術面から注目されることが多いと思いますが、私は、経済性や地域との関連性などの視点を採り入れて調査に取り組んでおります。花火の調査を続ける動機となったのは、秋田県大仙市で夏に開催される「大曲の花火 全国花火競技大会(*4,*5)」を知ったことです。夜空に上がる花火が本当に美しかったですね。

山本:大曲はまさに「花火のまち」ですよね。夏の全国花火競技大会を核に季節ごとに例えば世界の花火と日本の花火が見られたり、花火ショーや、花火作家の技を競い合う大会など都度異なるテーマで開催していて、花火好きにはたまらない地域です。
池原:そうですね。東北から東京に移って、DBJグループのシンクタンクである「株式会社日本経済研究所」に入ってからも、研究テーマとして花火を追い続けております。4月に発表した調査リポートは、自主調査として取り組んだものです。
また、花火とのつながりを失いたくなかったので、NPO法人大曲花火倶楽部が認定する「花火鑑賞士にもなりました。今回の調査リポートでは、花火鑑賞士の大先輩などからのご支援もいただきながら、新型コロナウィルス感染症の影響を受けて花火大会が中止されたことによる経済損失などを調査しました。
山本:芸術性からではない、経済の目線から花火業界を俯瞰された貴重なリポートで、我々にも、お祭りに関わる方々にとってもぜひ一度読んでいただきたい内容でした。池原さんは現在、花火経済学のプロフェッショナルとして活躍されておられますが、そもそも花火の研究論文というのは今までありそうで無かったと思っています。
池原:プロフェッショナルと呼ばれるには、まだまだ学ぶべきことが、たくさんありますが、山本さんがおっしゃるように、例えば、花火の経済効果を全国的に評価した調査というのは少ないと思います。そもそも、花火を扱う場合、芸術面や技術面などからのものが多いという印象です。今回は、花火大会が中止されたことによる経済損失を軸に据えましたが、例えば、花火が地域の方々にもたらす「生きがい」などの精神性を「価値」として表現することができると、面白いですね。
山本:なるほど。先に花火鑑賞士になられたと仰ってましたが、これも研究の一環なのでしょうか?
池原:はい。研究を続けたかったからですが、業務としてではなく、自分の意志で取得しました。花火鑑賞士になることで、花火や花火産業に関する情報をフォローできるネットワークができればいいな、と思っていました。そのうえで、私自身は、美しさ以外の目線からも花火を見ることができる花火鑑賞士を目指そうと考えました。

花火業界と日本酒業界は似ている


(*6)
山本:オリジナルの目線ですね!俯瞰して鑑賞されるご姿勢への意思が伝わっています。その池原さんとして現在の花火業界の現状と課題をどうとらえておられますか?
池原:誤解を恐れずにいうと、少し前の日本酒業界と似ていると思っています。日本酒の酒蔵数と花火の事業者数を比較すると規模感は異なりますが、どちらも日本特有のものですし、企業規模が小さな事業者の方々が多いという点は似ています。例えば、製造現場で「規模のメリット」を十分に得ることができません。特に花火の場合は、火薬が原料に含まれるので、機械化が難しいため大量生産ができませんし、在庫を大量に抱えることも許されません。それから、少し前の日本酒がそうだったように、花火も商品(花火大会など)が前面に出て、つくっている人(日本酒=杜氏、花火=花火師)に焦点が当たりにくいことなども似ていると感じました。
既に日本酒業界では、代替わりの若手世代の方々が新しい視点を採り入れて活躍されていますので、花火業界も、若い世代の方々が花火の新しいあり方を模索しながら活躍する風向きになってくるのではないかと思っています。
山本:そうですね。比較的若い世代の活躍が注目されています。そして危機感も共通項かと思います。両業界とも伝統産業であるがゆえにイノベーションを起こし難いところもあったかと思うのですが、二代目の皆様がアグレッシブに頑張りだしていると思います。
池原:そうですね。また、今までは「花火業界のイノベーション=花火玉制作の技術革新」というのが中心だったように思いますが、花火玉に関するイノベーション以外にも、例えば、音楽とのコラボレーションなど、デジタル技術を活かした取組が見られるようになっています。
山本:音楽もデジタル技術とのコラボレーションですね。デジタル技術を筆頭に、花火×〇〇などコラボレーションが今後も盛んになると思います。

従来型花火大会から、自分たちで企画する花火大会へ

池原:従来は、花火大会の主催者やテーマパークからの依頼を受けて花火を打ち上げる、というのが主流でした。しかし、2020年の新型コロナウィルス感染症の流行により、花火大会は次々と中止され、テーマパークにも自粛が求められました。その結果、花火を打ち上げる機会が一掃されたため、花火事業者の方々は当初、相当な不安や戸惑いを感じられたと思います。その状況を打破するため、花火事業者の方々が自ら企画し、花火を打ち上げるようになりました。これは革新的な進歩です。
山本:確かに。煙火屋が自分たちで花火を上げる企画をするというのは大きな変化ですよね。
池原:そう思います。あと、花火は祭りの構成要素でもありますよね。どちらも、地域のよりどころのような存在です。地域の精神性との結びつきが強いと思うのですが、傍から見ていると、話題性や、花火や祭りを見に来る観光客が地域にもたらす経済効果に、より注目が移ってきたように感じることもあります。一方で、継続的に経済効果を評価した調査などは見当たりません。花火や祭りを考えるうえで、経済性は重要ですし、精神性も忘れてはならないと感じており、その両面からの考察が必要ではないかと思っています。
山本:我々もご指摘の通りだと思っています。観光としても大事な存在になっていることも共通しています。新型コロナウィルス感染症の流行で開催を断念せざるを得なかったことや資金調達の課題など、花火と祭りは抱える課題も似ています。

クラファンは地域にお金が落ちる仕組み作りが大事

山本:その資金調達の手段として、祭りの業界ではクラウドファンディングに取り組む事例が増えています。しかし、継続性がある取組になっているかというと、そうはなっていないのも事実です。花火業界はいかがでしょうか?
池原:花火業界では、クラウドファンディングを、資金調達以外にも活かせるのではないかと考えています。例えば、クラウドファンディングの返礼品に、花火動画のオンライン閲覧権に加えて、地域の地酒や特産品を活用すれば、その生産などに関わる地域の方々にお金が落ちます。支援者の方々は、自宅に届いた地酒や特産品などを楽しみながら、オンラインで花火を観たり、その説明を聴いたりすることで、花火のみではなく、花火が打ち上がる地域ごと、楽しむことができます。オンラインツーリズムのコンテンツの一つとして花火を採り入れる、という発想で、地域経済の活性化に寄与することもできるのではないでしょうか。
山本:たしかに。
池原:花火×打ち上げ地域の食など、花火に地域性を持たせることで、ブランド化ができれば面白いと思います。また、クラウドファンディングの返礼品として花火動画のオンライン閲覧権を配布したうえで、花火動画に対する投げ銭(例:Super Chatなど)を受け付け、花火事業者の方々の収益につなげる、といった仕組みも考えられるのではないでしょうか。これがうまくいけば、オンライン化に取り組む意義が増すと思います。
山本:これもまさに「花火×〇〇」という立て付けですね。この〇〇のひとつがオンラインなのだと思いますし、この組み合わせが新型コロナウィルス感染症の流行で疲弊した花火産業の再生のカギのひとつになりうるかもしれません。

自分たちに合った規模で花火大会を企画することが大事

池原:はい。再生の方向性も、二極化するのではないかと考えております。一つは、自ら企画や演出を手掛けることで新たな活路を見出す方向性。もう一つは、花火の打ち上げを希望する方々に品質の高い花火玉を安定的に提供する方向性です。前者に関しては、自らが継続的に花火の打ち上げを企画することで、収益を上げるための機会創出につながります。その際、大規模なものを年に一回企画するよりも、中小規模の花火大会を年間通して企画したほうが、経費に占める設営費や警備費などが抑えられるため、花火事業者の方々にとっての収益性は良くなるでしょう。また、大規模ではないことを逆手に希少価値を訴求できれば、コアなファンの育成に結びつく可能性があります。リピーター化を狙えれば、収益性はさらに良くなるでしょう。これからは、花火事業者の方々にとって、必要十分な打ち上げ規模や、ファン獲得に向けた品質や構成の見極めが求められるのではないでしょうか。
山本:私は規模を求める花火大会は、今後は減っていく気がしています。「花火×〇〇」という立て付けで付加価値を付け、かつ有料チケット制で見る方向に向かうのではないかと。そのためにもファン作りが大切ですね。

花火×〇〇で付加価値と地域との繋がりを

山本:大阪府泉佐野市のりんくう公園マーブルビーチを舞台に繰り広げられる「りんくう花火(*7,*8)」の取組が良い事例だと感じています。2019年を上回り、2020年は30,000発の花火で夜空を飾る泉州夢花火で、2020年開催を表明した、関西唯一の大規模花火大会と言われています。この花火大会では花火に色々なコラボを仕掛けており、花火と音楽を完全にシンクロさせるプログラムのほかに、子供による職場体験「キッジョブース」や「タオル投げコンテスト世界大会」など様々なイベントを企画し、花火とコラボさせたイベント作りをしています。これら様々の仕掛けの他に屋台やマルシェなども楽しめて、最後に花火を楽しむ構造になっています。花火大会参加者には「見て終わり」「見たら帰る」という意識があり、花火が終わったら本当に帰ってしまいます。ですから、花火が始まる前の時間・空間にどれだけ付加価値をつけて収益に繋げるかがポイントです。
池原:そうですね。「囲い込み」は有効だと思います。地域や、地域の人とのつながりという枠に止まらず、花火大会にテーマを持たせて、そのテーマに強い関心を持つ層を囲い込むことで、コアなファンの育成につながる可能性があります。リピーター化にも期待が持てます。例えば、SDGs的な視点を採り入れて、花火大会で出たゴミを翌朝に拾う、ボランティア活動を組み込んだツアーがあっても良いと思います。そうすれば、花火大会の開催地域に宿泊してくれる人たちが増えますし、ナイトタイムエコノミーによる地域経済の活性化や、地域の人たちと触れ合う時間もできます。花火を介して地域に関わる契機を創出し、うまく活用することで、「居場所感」を持ち帰ってもらえると、良いのではないかと思います。
山本:囲い込むことで花火大会を有料化させて収益に繋げていくことは大切ですね。みんなでお金を出し合って創り上げるという、イベントの本質のような感覚に立ち会えるというか、クオリティーコントロールに関わり、皆で大会を誉めあう流れを作ることで、地域とも交流につながるとも思いますし。
池原:はい。さらには関係人口の創出にもつながると思います。例えば、地域の民家で郷土料理を食べ、地酒を飲みながら、花火師さんの解説を聞き、花火を鑑賞するといった民泊コースがあってもいいかもしれません。これが、移住定住や二拠点生活につながる可能性もあると思います。「行きたくなる」、「暮らしたくなる」ための仕掛けとして、花火を活かすことは充分にできると思います。
山本:同感です。祭りも同じです。花火や祭りは「行きたくなる」「暮らしたくなる」きっかけになりえます。そしてこのきっかけが地域活性の新しい起爆剤になると思っています。

花火×オンラインで支える人達の誇りも伝える


山本:オンラインの取組(*9)についてもお伺いします。「花火×オンライン」については、研究者としてどのように観察されておられますか。
池原:人間はそもそも、存在がリアルです。ですから、オンラインを使ってリアルにどのようにつなげるか、だと思っています。オンラインには、新たなつながりを創造する可能性があると感じています。
そして、オンラインにはもう一つ、大事な要素があります。オンライン、つまりデジタル化することでデータが得られること、それを分析し、新しい花火のあり方の考察や実証に活かせる可能性があることです。webサイトでのバーチャルな人の移動とリアル空間での人の移動をいかにリンクさせていくか。リンクしないものもあるかと思いますが、こちらの意図を達成してもらうためのデータが取得しやすいことは、オンラインの特長だと思います。さらに、現在では、eコマース(ネット通販)も定着してきましたので、バーチャルでの人の移動とネット上での販売データを合わせて分析するのも面白そうですね。
山本:オンラインはオフライン・リアルの価値を高めるツールだということですね。時代に即した環境にし、付加価値コンテンツで有料化していくことで、地域で大会を継続するための資金としてもeコマースなどオンラインは有効ですし、今後は規模のみを求める経済から持続可能な継続を求める経済に変化していくと感じています。
池原:そうですね。そして、花火も祭りも、不特定多数の人たちの中で楽しむ空間である以上に、好きな人たちと一緒に過ごせる自分にとっての居場所となることが求められていくのではないでしょうか。
ただ、心から「好きだ」と思えるものを支援するためには何をすれば良いのか、それを考えたり、そして取り組んだりすることは、意外と難しいことだと感じています。「好きだ」を共有する人たちが関わり合い、支え合える仕組みを考えていきたいです。
山本:ですね。例えば、先ほどご紹介した泉佐野市のりんくう花火を支えている人たちは皆様ボランティアでの参加なのですが、「達成感」「地域での絆」に価値を感じる方々です。
池原:それは素晴らしいと思います。関わっていること自体に誇りを感じてもらえるような存在として、花火や祭りが地域に根付き、愛されるようになってもらいたいですね。
山本:この皆様の誇りを今の参加者に可視化したいですよね。「こういう人たちが支えているんだ」と。
池原:それこそ、花火や祭りを支えてくださっている人たちの姿を、動画に収めてオンラインで配信すれば、より多くの方々に見ていただくことができますね。
山本:オンラインで伝える部分として、例えばホームページやSNS運用などは花火業界も祭り業界も、他業界に比べたらまだまだ弱い気がします。中小の零細企業規模の煙火屋と、全国規模の花火大会では、それぞれ規模も目的も違うというのもありますが、どちらとも自ら発信していくことが今後ますます大切になってくると思います。
池原:そうですね。
山本:ここをお手伝いすることが、我々の使命のひとつだと思っています。

業界として花火情報発信の基盤作りを


祭り総研:最後に、業界へのアドバイスなどお願いいたします。
池原:私の立場でアドバイスというのはおこがましいですが(苦笑)。花火を業界全体で守り育てるには、業界が、業界としての現状を、調査・分析して、情報発信などを行う基盤を整備することが必要ではないかと感じています。規模の小さな事業者の方々が多い業界ですから、個々での取組には限界があります。故に、業界として、情報を把握・整理し、その結果を、個々の事業者の方々も利用できるようになれば良いと思います。例えば、花火業界の経済規模のように数字で示せる情報を持っていれば、広報にも、助成金の申請にも活用できます。伝統的な産業を担う業界のため、数字のみでは捉えにくい部分も多いかと思いますが、業界の維持・発展に向けては、中立的な立場の団体などが継続的に調査を実施し、情報発信していくことが大切ではないでしょうか。
山本:データの整備は大切ですね。新型コロナウィルス感染症の影響もあり、垣根を超えた連携の必要性から政治の世界でも花火議連が立ち上がるなど、横断した取組が出てきています。お祭り業界も花火業界も数字データで判断しづらい業界ではありますが、だからこそ可視化する必要を感じます。その可視化のためにも自分たちで出来る事は何か?と考えて、我々は「祭り総研」を立ち上げましたので、池原さんと想いは一緒です。
経済規模・数字だけではない目線での調査も必要です。そして、精神性など可視化できていないものがどれくらい祭りに関わりがあるのかを調べていくことも大切です。今後は可視化できていない「不可欠な大切なもの」を可視化する作業が大切です。
池原:そうですね。新型コロナウィルス感染症の影響で、社会の変化が加速しています。価値観の変化や多様化などに伴って、効用の意味も変わっていくのではないでしょうか。また、新型コロナウィルス感染症の終息後を見据えた調査を行うとしても、可視化の視点は必要だと思います。ぜひ今後とも一緒に取り組んでいきたいですね。
山本:ぜひよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

【祭り総研としての所感】

花火業界も祭り業界も新型コロナウィルス感染症による多大な影響を受け、しかしその中でも灯を絶やさない取組が生まれている。ひとつは感染対策を万全に整えた上でのオフラインの取組であり、もうひとつはデジタルを駆使したオンラインの取組である。そして、いずれの場合も自分たちだけで取り組まずに、時代の変化に合わせて柔軟に外部である異業種との連携・連帯・コラボレーションが下支えする流れになりつつある。
Withコロナ・afterコロナ時代は①自分たちが把握できうる規模感で、②外部と連携して企画の幅を拡げることで「出来ることを行う」意欲を継続する必要がある。特に①に関しては、これまで観光活用を目的にした場合に量を追い求める傾向が顕著だったが、健全で継続的な運営を目指した際に取組アプローチの再考が求められる。そして、この意欲が地域資産を活かす未来への道を拓くのではないだろうか。
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ざきさん

この記事を書いた人

ざきさん

山崎敬子(やまさき けいこ)

1976年生まれ。実践女子大学院文学研究科美術史学専攻修士課程卒。大学在学時から三隅治雄・西角井正大両先生から折口信夫の民俗芸能学(折口学)を学び、全国の祭礼を見て歩く。現在、玉川大学芸術学部や学習院大学さくらアカデミーなどで民俗芸能の講座を担当しているほか、(一社)鬼ごっこ協会・鬼ごっこ総合研究所、(社)日本ペンクラブ、(株)オマツリジャパンなどに所属し地域活性事業に取り組んでいる。ほか、日本サンボ連盟理事 。

【実績一例】
編集:『年中行事辞典』(三隅治雄・編/東京堂出版 2007年)
共著:『メディアの将来像』(メディア文化研究所・編/一藝社2014年)
著書:『にっぽんオニ図鑑』(じゃこめてい出版 2019年)
脚本:朗読劇『イナダヒメ語り』(武蔵一宮氷川神社 2018年)ほか
コラム:
「鬼文化コラム」:(社)鬼ごっこ協会 
「氷川風土記」:武蔵一宮氷川神社 など
漫画:
「北越雪譜」4コマ:協力/鈴木牧之記念館(新潟県南魚沼市塩沢1112-2)

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