関西におけるお祭りと聞くと、だんじり祭りを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。だんじり祭りと言えば、だんじりを勢いよく方向転換させる「やりまわし」や精巧な彫り物などが見どころ。大迫力のだんじりを見るために、毎年全国から多くのファンが集まります。
今回は、「だんじり祭りについておさらいし、気持ちを新たに今年の祭りに臨みたい」「今年はいつもと違うだんじり祭りに行ってみたい」、そんな全国のだんじりファンに向けて、関西各地のだんじり祭りをご紹介!数々のだんじり祭がありますが「知名度」「行きやすさ」の観点などから独自にピックアップしたものをご紹介します!
各地のだんじり祭りをご紹介する前に、まずはその魅力を復習しておきましょう。
だんじり祭りとは関西地方で行われている「だんじり」と呼ばれる山車を曳く神賑行事です。有名な岸和田だんじり祭は秋に行われますが、神戸地区は春、大阪市内は夏がメインと、祭りが行われる時期は地域によって異なります。
だんじり祭りが人々を魅了するポイントは多々ありますが、走りながらだんじりの向きを90度変える「やりまわし」の迫力とスピード感が最大の魅力でしょう。
また、だんじり自体には、歌舞伎・人形浄瑠璃・講談などでも有名な歴史的な出来事や物語が彫り物として刻まれています。この彫り物を間近に観ることができるのも魅力の一つです。
あーかっこええ。
北町の彫り物チョーかっこええ。#北町#北町地車#地車#旧市#岸和田#だんじり#coregraphy #PASHADELIC pic.twitter.com/SxV2cxf4p2— TOMOfromUPTOWN (@TOMOfromUPTOWN) March 19, 2018
だんじりが動いている時は細かな部分まで見ることはできませんが、止まった瞬間に現れる彫り物の美しさは圧巻です!
だんじりの彫り物は1台1台異なるため、たくさんのだんじりを見比べることで、それぞれの良さをより感じられることでしょう。
それでは、ここからは各地域のだんじり祭りについてご紹介していきます!
だんじり祭りを語る上で「岸和田だんじり祭」は外せません。9月と10月の2回に分けて行われる岸和田だんじり祭は、名実ともにだんじり祭りの代表的存在です。
元禄16年(1703年)、当時岸和田藩主だった岡部長泰公が、城内三の丸に京都伏見稲荷を勧請し、五穀豊穣を祈願して行った稲荷祭が岸和田だんじり祭の始まりだと言われています。
当時の祭礼では、「にわか」や狂言といった芸事が演じられた後、三の丸神社や岸城神社へ参拝しました。今は社会構造も変わり、昔のように豊作を祈願するお祭りとは変わってきていますが、地域の結びつきという根本的な精神は受け継がれています。
岸和田だんじりの見どころと言えば、やはり「やりまわし」でしょう!重さ4トンにもなるだんじりを走りながら動かし、定められた曳行コースを何周も駆け巡りながら、勢いを落とすことなく何度もやりまわしを行います。
その圧倒的なスピード感と迫力は他では見ることができません。祭りに参加している各個人が曳行に関する役割を担っており、みんなが息をあわせることが何よりも大切です。町ごとの連携の強さがひしひしと伝わってきます!
岸和田だんじり祭には9月祭礼と10月祭礼があり、9月は浜手地区、10月は山手地区で行われます。
試験曳き:9月8日(日)、13日(金)14:00~16:00
宵宮:9月14日(土)6:00~22:00
本宮:9月15日(日)9:00~22:00
・カンカン場
豪快なやりまわしを観覧できるメインスポットです。
ただ、人気の観覧スポットなだけあって人出も相当なもの。
カンカン場に行くには、だんじりが停まっている間に移動しておくことが必要です。
前のほうで見たいのであればカンカン場より1本北側にある通称「日通前交差点」がオススメです。
右折して一旦大阪方面に向かってからカンカン場に向かうだんじりを見ることができます。
・こなから坂
坂を駆け上がる迫力満点のだんじりを観ることができます。
大人気スポットですので朝8時くらいまでには行っておく必要があります。
また、通過するのは朝9:30からの宮入時に1回しか通りませんのでご注意ください。
岸和田市役所前の駐車場あたりでは、こなから坂を勢いよく駆け上がって来るだんじりを見ることができます。
ただし、人混みでだんじりの上のほうしか良く見えないかもしれません。でも大迫力を感じることができるので、大人気のスポットで一目見てみたいですよね。
こなから坂で場所を確保できなかった時は、坂を上がりきった少し先にある「二の丸公園」までいくと比較的ゆったり見ることができます。
試験曳き:10月6日(日)13:00~17:00
宵宮:10月12日(土)6:00~22:00
本宮:10月13日(日) 7:00~22:00
・JR東岸和田駅前・JR下松駅前・JR久米田駅前など
東岸和田地区・南掃守地区・八木地区・山直地区・山直南地区・山滝地区の6つのエリアで、それぞれで違っただんじり曳行を観覧することができます。
岸和田だんじり祭はその勇壮さ・迫力が魅力ですが、危険も伴うお祭りです。祭礼関係者や警察官の指示に従って行動する必要があります。また、写真撮影などをする場合も、曳行中のだんじりには近づかないようにしましょう。
堺市では、大小数々のだんじり祭りが開催されていますが、その中でも最も見物客が多いのが、堺市鳳地区の「鳳だんじり祭り」です。毎年、大鳥大社に10台のだんじりが宮入し、盛り上がりを見せます。
鳳だんじり祭りは、確かな資料や当時の物品などがないため、正確にいつから始まったかは不明ですが、口伝えではおよそ400年前から始まったと言われています。しかし、山車に綱をつけて曳行するスタイルは、1200年前から行われている祇園祭に起因しており、京都から南下してきたスタイルであると言われています。
鳳だんじり祭りの見所は、夜間も昼間と変わらず、だんじりを全力疾走させるところにあります。提灯をつけただんじりが夜の街を駆け巡る姿は、昼には味わえない、暗闇に負けない力強さを感じさせてくれます。だんじり2台を接近させる「詰めあい」も見どころです。
宵宮:10月4日(金)
本宮:10月5日(土)
残宮:10月6日(日)
・鳳駅前交差点にある鳳本通商店街
アーケードの中を全力で曳行するだんじりを観ることができます。
夜間の観覧は肌寒くなりますので、防寒対策をしっかりして観覧するようにしましょう。
尼崎のだんじり祭りですが、ここでは初嶋大神宮で秋に行われる「築地だんじり祭り」をご紹介します。
築地だんじり祭りは、尼崎城の城下町として発展した築地地区に江戸時代から伝わる伝統的なお祭りで、このお祭りが行われる初嶋大神宮は現在の地に鎮座してから350年以上となる由緒ある神社です。
尼崎のだんじり祭りの見どころと言えば、やはり、2基のだんじりの真っ向からぶつかり合う「山合わせ」!だんじり前方の肩背棒を相手の肩背棒の上に乗せると勝ちになります。
まるでウイリー走行のように後ろのコマだけで立ち、正面からぶつかり合い、木がメリメリ、ミシミシと音を響かせる…ものすごい大迫力です!
秋には「築地だんじり祭り」が2日間に渡って開催され、初日はパレード、2日目は「山合わせ」が行われます。山合わせだけでなく、町全体が一丸となったお祭りの雰囲気も楽しみましょう!
宵宮:9月15日(日)※パレードは昼から行われます。
本宮:9月16日(月)※山合わせは主に夕方から行われます。
・初嶋大神宮
迫力満点の山合わせが観られます。
特に山合わせは大変危険なので、小さなお子さんがいる方は近づかないようにしましょう。また、会場付近は駐車禁止となっていますので、公共交通機関を利用しましょう。
東大阪市のだんじり祭りの中でも人気のあるだんじり祭りの1つとして、枚岡神社で行われる秋郷祭があげられます。
現在では、だんじりよりもむしろふとん太皷のお祭りとして有名ですが、元々は、だんじりの祭りとして有名でした。しかし、大軌鉄道が開通したことにより、だんじりがかつて通っていた通路を線路が妨げる形になってしまい、ふとん太鼓に変わってしまったという経緯があります。今でもだんじりを奉納している地区が一部あるため、ふとん太皷と共にだんじりも楽しむことができるのがこのお祭りの魅力です。
枚岡神社の秋郷祭の見所は、ふとん太鼓23台の宮入とだんじり3台の曳行を両方同時に見ることが出来る点にあります。また、屋台も300店ほど出るため、屋台メシも楽しめますよ!
10月14日(月)、15日(火)
・枚岡神社
参道広場と二の鳥居の間を太鼓台が往復する中担が観られます。
この日は、地域の学校も休みとなり、両日で15万人ほどが訪れる大きなお祭りです。良い場所から観たい方は、事前の場所取りをおすすめします。また、枚岡神社の駐車場は、屋台が並ぶために駐車をすることができませんから、公共交通機関を使って参加しましょう。
泉大津のだんじり祭りは、大津地区8町の「濱八町」と穴師地区4町と曽根・助松地区8町の「十二町連合」の二つがあります。濱八町のだんじりは上地車(かみだんじり)、十二町連合のだんじりは下地車(しもだんじり)と呼ばれています。同じ市内で二種類のだんじりが見られるのは珍しいんですよ!
泉穴師神社では秋季大祭として「飯の山だんじり」という神事が行われています。740年頃、凶作が続き、人々が餓死寸前に陥りました。そのとき、聖武天皇は霊夢により、米を和泉五社に供え、その余りを民に施されました。たちまち雨は降りだし、人々は飢餓から救われたのです。それ以降、毎年米の収穫期にだんじり前に飯の山を盛り、神前に捧げる神事が執り行われるようになったのです。
濱八町の見どころと言えば「かちあい(カッチャイ、カチアイ)」!大津神社の前に止まっているだんじりに、別のだんじりをぶつけるというものです。だんじりの屋根で睨みをきかせる各町で個性がある鬼熊(おにくま)にも注目!
下地車は、上地車と比較すると、だんじりの屋根の下に組み物の段数や腰回りに多くの彫り物が入っています。下地車ではカチアイを行わず、見どころは「やりまわし」です。
試験曳き:10月6日(日)
本祭り:10月12日(土)、13日(日)
・濱八町:大津神社の前
激しく追突するかちあいを見物することができます
・十二町連合:泉大津総合体育館周辺
やりまわしを間近で観ることができます。
雨天の場合や日差しが強い場合でも傘や日傘は人混みでは危険ですので、ささないようにしましょう。また、交通規制が行われるため、車ではなく、公共交通機関を利用して参加しましょう。
神戸市の中でも有名なだんじりは「東灘だんじり」です。「だんじりのまち」としても知られる東灘区では改元の際には「令和奉祝だんじり巡行」を執り行い、新時代の幕開けを祝福しました。
江戸時代は小さな地域の単位、各村落のお祭りにだんじりが引き出されていました。今のような祭りの形となったのは明治時代のようです。現存する最古のだんじりは、住吉の茶屋地区の1838年作のものですが、これは大阪の天王寺から購入したもの。純粋な現存最古のものは空地区の1887年生のものだと言われています。
他のだんじり祭りは激しく迫力のあるものが多いのですが、「東灘だんじり」は祇園際のように比較的ゆっくりと街を曳きまわします。そのため、家族連れをはじめ、ゆったりしながらだんじり祭りを楽しみたい方におすすめです。
5月3日~5月5日
※2019年は既に終了していますが、2020年も開催予定。
・JR摂津本山駅北側
本山だんじりパレードが観られます。
日時:5月4日 12:20~14:30(必ず事前に公式発表をご確認ください。)
弓弦羽神社氏子地区:5月3日、5月4日
綱敷天満神社氏子地区、東明八幡神社氏子地区:5月第4土曜日・日曜日
※2019年は既に終了していますが、2020年も開催予定。
・御影クラッセだんじり広場
御影だんじりパレードが観られます。
日時:5月3日 18時〜20時(必ず事前に公式発表をご確認ください。)
5月4日、5月5日
※2019年は既に終了していますが、2020年も開催予定。
・本住吉神社
勢いある宮入を観ることができます。
日時:5月5日 19時〜(必ず事前に公式発表をご確認ください。)
東灘だんじり祭りは、非常に混み合います。子連れで行くことは可能ですが、だんじりが狭い道を通ることもありますので、ベビーカーは広い道で人混みを避けてご利用ください。
お気に入りのだんじり祭りは見つかったでしょうか。一つに絞れなかった方は、今年は少し気合を入れて、いくつか巡ってみるのもいいかもしれません。地域ごとに特徴があるだんじり祭りだからこそ、複数のお祭りに参加すれば、それぞれの良さをより感じられることでしょう。
こちらの記事でご紹介したもの、ご紹介しきれなかったものをすべて含め、関西各地にはこんなにもたくさんのだんじり祭りが!
・岸和田だんじり祭
・泉大津だんじり祭り
・八田荘だんじり祭
・深井だんじり祭り
・陶器だんじり祭
・高石だんじり祭
・髙松だんじり祭り(河堀稲生神社)
・津久野だんじり祭
・鳳だんじり祭り
・和泉だんじり祭
・府中だんじり祭
・南河内だんじり祭り
・河内長野だんじり祭り
・平野郷だんじり祭
・上神谷だんじり祭り
・泉佐野だんじり祭
・貝塚だんじり祭
・熊取だんじり祭
・出石だんじり祭
・大東だんじり祭
・四條畷だんじり祭
出展:wikipedia
全国のだんじりファンのみなさん、今年も思い切り祭りを楽しんでくださいね!