節分に豆を撒くというのは誰もが知るところですが、豆撒きをしない節分行事があることは意外と知られていません。中には、鬼や厄を払うために火を使ったりイワシを使ったりする行事もあるそうです。
この記事では、豆撒きをしない節分行事をご紹介します。
「節分」とは辞書で季節の変わり目と書いてあるように、季節の分け目を指します。
旧暦の季節は1年が24つに分かれており、特に大きな節気の「立春」「立夏」「立秋」「立冬」がその季節の始まりとされました。つまり、節分は本来一年の内に4回あります。
その中でも2月4日頃の「立春」は旧暦において一年の始まりとされる特別な日です。
そのため、立春の前日とされる2月3日の節分が大晦日となり、その年の厄払いの行事が執り行われるようになりました。
大晦日に豆撒きを行うのは、豆を投げ魔物や邪気を払い、次の年に幸運を呼び込むためとされています。
そして豆は「魔目」と書き、「魔物の目に豆をぶつけて魔を滅ぼす」という意味にちなんで使われるようになったそうです。
節分には豆を撒く風習が広く根付いていますが、世の中には豆を撒かない節分行事もあります。
今回はその中から「だだおし」と「焼嗅がし(やいかがし)神事」をご紹介します!
まずご紹介するのが、奈良 長谷寺の「だだおし」です。
だだおしは大和の地に春を呼ぶ祭りで、名前の由来は諸説あります。
大和の古寺では年の初めに隆盛と繁栄を祈る法要が行われ、2月14日に長谷寺での「修二会」という法要の締めくくりとして「だだおし」が行われています。
長谷寺の本堂内で行われる宝印授与の儀式に合わせるように赤・青・緑色の三匹の鬼が現れ、堂内を暴れ回ります。僧侶たちがこれを追い払いますが、鬼は大松明を担ぎ本堂の周りを練り歩きます。
しかし、法力を宿した「牛玉札」の力で、暴れ回った鬼達はやがて退散していきます。
たいまつの火の粉が舞う、静かながら迫力のある祭事です。
広島にある住吉神社では、2月3日にイワシ1000匹の頭を焼く平安時代の節分祭「焼嗅がし神事」を執り行います。この神事には赤鬼や疫病神、貧乏神などが参拝すると言われており、巫女たちがイワシ1000匹の玉を焼いた臭いを大うちわであおぎ、これらの厄祓いをするという行事です。
神事が終了した後は、神事で使ったイワシの頭をヒイラギの枝に刺して参拝客に配ります。
なお、令和3年の節分祭は関係者のみで行う予定です。
今回は「豆撒きをしない節分」にフォーカスしてご紹介しました。
節分に豆撒きをしないというと、少し変わったように感じるかもしれません。
ただ、同様に豆を撒かない節分祭も鬼や厄を退散させるという意味では同じです。
時代が移り変わっても、今も昔も大晦日に一年の厄を祓い、次の年の幸せを願う気持ちには変わりないということでしょう。ぜひみなさんも素敵な節分を過ごしてみてくださいね。