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日本三大祭りとは?いつ開催?京都の祇園祭、大阪の天神祭、もう一つはどこ?実は三大なのに四つある!?

日本三大祭りとは?いつ開催?京都の祇園祭、大阪の天神祭、もう一つはどこ?実は三大なのに四つある!?

日本では一年中、どこかでお祭りが行われています。その数は何と30万件ともいわれ、大きなお祭りは特に初夏から秋に集中しています。なかでも、

◎京都の祇園祭
◎大阪の天神祭
◎東京の神田祭(◎東京の山王祭)

この3つは規模の大きさや歴史、内容から一般的に「日本三大祭り」と称されています。そして、東京の神田祭は、同じく東京の山王祭と隔年で交互に開催されているので、山王祭も三大祭の一つといえますそこで今回は、日本三大祭りのそれぞれの概要や行事の内容、今年2022年の開催内容などもご紹介します。

日本三大祭りとは?共通点はある?

実は、日本三大祭りといっても正式に認定されてどこかに登録されているわけではありません。昔から、京都・大阪・江戸という大都市で行われてきた歴史あるお祭りを、人々が三大祭りと自然に言いならわすようになったことから定着していったようです。

4つの祭りは歴史の中でそれぞれ内容を変え、今では様相が異なります。ですが共通している行事は、神社に鎮まっている神様をお神輿に遷して街や地域をまわること。これは「神幸祭(しんこうさい)」や「神輿渡御(とぎょ)」と呼ばれ、地域の平穏無事を神様に見て喜んでいただくとともに、ご神威で祓い清めて家々や人々にご神徳を与えていただくことが目的です。

祇園祭と天神祭については、どちらも平安時代前期~中期に疫病退散祈願のために始まったという共通点があります。医療も衛生環境も整っていない当時、夏は疫病が蔓延する季節でしたが、原因は非業のうちに命を落とした人々の怨みや祟り(たたり)のせいだと考えられていました。

そこで亡き人の御霊を鎮めるための神事が行われ、やがて、もっと強烈に疫病をまき散らしていると考えられる荒ぶる神様や祟り神を祀って、その強い力で疫病を追い払って終息させてもらおうと始まったのが祇園祭と天神祭の起源です。

京都では、八坂神社で牛頭(ごず)天王(のちにスサノオノミコトと同一視)を祀った神事が祇園祭となり、大阪天満宮では、祟り神として人々を震撼させていた菅原道真公を祀った神事が天神祭になっていきました。
祇園祭を生んだ祇園信仰については、下記の記事にて詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

一方、東京の神田明神(正式名称は神田神社)の神事である神田祭、日枝神社の神事である山王祭ともに、起源ははっきり分かっていません。日枝神社は平安末期には江戸氏の館に祀られ、神田明神の創建は奈良時代だったと伝わります。

その後に神田明神は、祇園祭と天神祭の原形が始まったのとほぼ同時代、戦で討ち死にしてすさまじい祟り神になったという平将門の首塚付近(現在の大手町)に鎮座していることから、同様の祭りが行われたのでは?と推測したくなりますが、江戸時代以前の記録が残っていないため不明です。

しかし、この2つの祭りはともに江戸時代に幕府の庇護を受けて、江戸城内に祭礼行列の入城が許され、代々の将軍・御台所の上覧があったことで「天下祭」と称されるようになります。その頃は現在の祇園祭のように、巨大な山車(だし)が40基前後も街を練り歩き、まるで競い合うかのように互いに盛大華美になっていったことも共通点です。

明治維新後、電線が引かれたことで山車はほぼ出なくなり、開催年も両者の負担を減らすため交互に隔年開催となりました。今では神田祭が西暦の奇数年に、山王祭が偶数年に本祭を行っています。

では、日本三大祭りの起源や歴史的背景が分かったところで、ここからはそれぞれのお祭りの内容などをご紹介しましょう。

祇園祭(京都府・八坂神社)

京都の八坂神社で7月1日から31日までの1か月にわたって繰り広げられる「祇園祭」は、1,100年以上の歴史を数え、今では京都の夏の風物詩となっています。

起原は先述したように、平安時代前期の869年、疫病を鎮めるために行われた「祇園御霊会(ぎおんごりょうえ)」とされていますが、当時は今と全く異なるものだったようです。
特に応仁の乱で京都が焼け野原になり、貴族が去って町人が台頭してくる室町時代中期から祭りが豪華になり、各町の経済力を示す山鉾は華やかさで競うようになりました。

山鉾の絢爛豪華な装飾品の中には、当時、西洋やアジアから輸入されたタペストリーなど、現在では入手不可能な芸術的価値が高い貴重品も多く含まれます。それゆえ山鉾は「動く美術館」とも呼ばれ、「京都祇園祭の山鉾行事」としてユネスコの無形文化遺産にも登録されています。

◎祇園祭の日程と行事

日程は曜日にかかわらず毎年同じで、7月1日の「吉符入り」の神事から準備が始まり、山鉾の巡行順を決める「くじ取り式」や「神輿洗式」、「山・鉾立て」と「曳き初め」など準備が着々と進んでいきます。

7月14日~16日は「宵山」と呼ばれる前夜祭期間。山や鉾には提灯が灯りお囃子の音が響き、町中が祭ムード一色に。最も盛り上がるのが7月17日に行われる「前祭(さきまつり)の山鉾巡行」で、23基の山鉾が朝から街を練り歩いて祓い清めます。そして同日の夕方、八坂神社の主祭神(スサノオノミコト)を乗せた3基の神輿が御旅所へと街を渡御していき、1週間鎮座します。

7月21日~23日は「後祭(あとまつり)」の宵山期間です。7月24日には「後祭の山鉾巡行」として11基の山鉾が巡行します。同日、夕方からは「還幸祭」が行われますが、これは御旅所から3基の神輿が出て、神様に八坂神社に戻っていただく儀式です。

7月28日にはまた神輿洗式が行われ、7月31日には大茅の輪をくぐって厄を祓う「疫神社夏越祭」が開かれ、1か月にわたる祇園祭は幕を閉じます。

その他にも見所や楽しみ方が満載の祇園祭。また、祇園祭名物として「食べられないちまき」が登場する理由なども解説した記事がありますので、ぜひ合わせてご覧ください!


◎2022年の日程と行事は?

2022年は3年ぶりにほぼ通常どおりの行事が開催されます!例年通り7月1日から31日の日程で開催され、山鉾巡行は前祭が7月17日の9時から、後祭は7月24日の9時30分から行われます。
なかでも今年は、200年間「休み山」となっていた「鷹山」が復活し、後祭で巡行することに特に注目が集まっています。

※詳細は八坂神社公式サイトなどでご確認ください

天神祭(大阪府・大阪天満宮)

大阪天満宮を中心に行われる「天神祭」も、6月下旬から7月25日まで約1か月間にわたって、市内各地で様々な行事が賑やかに行われます。本宮(本祭)が7月25日に開催されるのは、ご祭神の菅原道真公の誕生日が旧暦6月25日、命日が旧暦2月25日であることに由来して、毎月25日が天神の縁日であるためです。

祇園祭と同様に、疫病退散祈願のため始まった天神祭。平安時代中期の951年に、大阪天満宮近くの浜から疫病を鎮めて流すための神鉾(刀)を流し、流れ着いた浜に斎場を設けて禊を行う「鉾流(ほこながし)神事」を行ったことが起源とされています。

現在の鉾流神事は、斎場の場所を決めるためではありませんが、大切な神事として受け継がれ行われています。また、斎場を御旅所として、神様を神輿に乗せて船でお送りする「船渡御」を古くから行っており、今でも天神祭の中で重要な行事が船渡御なのはそのためです。

◎天神祭の日程と行事

天神祭のスタートは、例年6月25日に大阪天満宮で行われる「装束賜式(しょうぞくたばりしき)」の神事始めです。7月7日の夜には大川に光の球を浮かべる「令和OSAKA天の川伝説」などの七夕行事が行われ、7月15日前後には奉納ドラゴンボート選手権大会も行われます。

7月23日に行われる、女性だけで神輿を担ぐ「ギャル神輿」も人気の催しです。これは大阪天満宮に参拝を認められている正式な巡行で、オーディションで選ばれた元気な女性担ぎ手たちの威勢のよい掛け声が響き、お祭りムードを一気に盛り上げます。

そして、本祭に先駆けて行われるのが7月24日の「宵宮(よみや)」です。朝の4時から一番太鼓が打ち鳴らされ、9時前後には鉾流神事が行われます。さらに、「催太鼓(もよおしだいこ)」の宮入も見逃せません。赤くて長い頭巾をかぶった願人(がんじ)と呼ばれる人たちが「からうす」という独特な叩き方で太鼓を叩きます。

祭りが最も賑わうのは25日の「本宮」です。神輿に御神霊を遷し「陸渡御(りくとぎょ)」は15:30頃に出発。後に続く船渡御の乗り場まで、神輿と総勢3,000人の行列が約3㎞の道のりを練り歩きます。夜に行われる「船渡御(ふなとぎょ)」では、御神霊を乗せた奉安船を中心に約100隻の船が大川を巡行。とても幻想的な光景が広がります。クライマックスには「奉納花火」が打ち上げられ、鮮やかに彩られた空と水面の景色が圧巻です。

22時頃から御神霊を本殿へお返しする「還御祭(かんぎょさい)」が行われ、約1か月にわたる天神祭が終了します。例年の天神祭のさらに詳しい内容と見どころなどは、過去に紹介していますのでぜひご覧ください。


◎2022年の日程と行事は?

2022年は7月24日と7月25日の宵宮と本宮は開催されることとなりました。しかし、内容は大幅に変更され、神事と規模を縮小しての陸渡御のみ行われます。「船渡御」「奉納花火」は残念ながら行われないこととなりました。

※詳細は大阪天満宮公式サイトなどでご確認ください

神田祭(東京都・神田明神)

 明治時代の神仏分離令によって「明神」の名を外すことになった「神田神社」で、西暦奇数年の5月中旬、6日間にわたって行われているのが「神田祭」です。

江戸時代以降の祭りの始まりは、徳川家康が神田明神で関ヶ原の戦いの戦勝を祈願して戦に赴き、見事に勝利して天下統一を成し遂げたことから、徳川将軍家より「この日を縁起の良い祭礼として絶やさず行なうように」と命じられたとされています。元々は命じられたとおり旧暦9月15日に祭りを行っていましたが、明治に入って新暦となり台風に見舞われたため開催日は5月に移りました。

山王祭とともに「天下祭」と呼ばれていた徳川の時代は、それぞれの氏子町の勇壮な山車や、当時流行していた文化芸能を取り入れた曳き物や仮装行列による「附け祭」が中心となっていました。明治時代に入ってからは、東京の町に電線が張り巡らされて巨大な山車が曳けなくなったこともあり神輿渡御が主となっています。

◎神田祭の日程と行事

祭りの初日の夜、現在祀られている三祭神(だいこく様、えびす様、まさかど様)の御神霊が、三基の鳳輦(ほうれん)・神輿へと遷されます。翌日、御神霊は全108の氏子町会が有する大小200基もの神輿に遷す神事が行われます。

そして3日目。氏子町神輿が日本橋、大手町、秋葉原などを練り歩く神幸祭と附け祭で祭りは一度目のピークに。翌日は朝から神輿が続々と神田明神に練り込んでくる「宮入」です。が、あまりの数の多さに境内には入りきらず、街中にあふれた宮入を待つお神輿によって1日中熱気に包まれます。

祭りの5日目には、表千家の家元による献茶の儀式と、境内の特設舞台で金剛流薪能の披露があり、最終日には氏子の幸せと日本の繁栄、平和を祈念する例大祭が行われます。

今年2022年は西暦の偶数年であるため、神幸祭、神輿宮入は行われず、その代わりに蔭祭が斎行されました。オマツリジャパンでは、神田明神の広報担当者に神田祭の魅力を語ってもらっています!ぜひご覧ください。

※詳細は神田祭特設サイトなどでご確認ください

山王祭(東京都・日枝神社)

日枝神社は、大地を支配し万物の成長と繁栄を司る地主神・大山咋神(おおやまくいのかみ)をご祭神とし、明治時代以前まで「山王社」と呼ばれていました。山王社のお祭りで「山王祭」だったわけです。

江戸時代には、徳川家康が江戸城を居城とした際に「城内鎮守の社」として祀られたことで庶民からは「江戸郷の総氏神」と崇められていました。徳川三代将軍家光の時代以降、山王祭の祭列は城内に入御して上覧され、神田祭とともに「天下祭」と呼ばれるように。祭りはますます大きく盛り上がることとなりました。

明治維新後は皇居(皇城)鎮護の神と信仰されており、山王祭は西暦偶数年の6月中旬7~10日ほどにわたり、神田祭と交互に隔年で行われています。

◎山王祭の日程と行事

山王祭は、初日の末社・八坂神社の例祭に始まりますが、一番の見所は「神幸祭」です。御鳳輦2基、宮神輿1基、山車3基と総勢500人もの王朝装束をまとった行列が、皇居、東京駅周辺、銀座などかつての江戸城内23kmの距離を9時間かけて巡行します。また、日本橋~京橋地区を威勢の良い17基もの神輿が練り歩く「下町連合渡御」は、江戸の下町の心意気を感じられる催しです。

さらに、稚児行列や絵灯籠の奉納、伝統の和菓子を神前に献じる神事「嘉祥祭」、表千家・裏千家による献茶式や狭山新茶奉納奉告祭などお茶に関する祭典も開催。「納涼大会」として行われる盆踊りは、都内でも珍しく6月に開かれるため、盆踊りファンから“はつもの”として親しまれています。

今年2022年は開催年でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、神幸祭、稚児行列は中止となりました。また、例年行っている祭典も神職・関係者のみでの斎行となりました。
次回は2024年の開催。通常通り行われることに期待しましょう。山王祭の歴史や見所について、日枝神社からお話をうかがいました。ぜひ下記の記事もご覧ください。


※詳細は山王祭公式サイトなどでご確認ください

おわりに

日本三大祭りは、どの祭りも規模が大きく歴史も長く、人々の願いが込められ受け継がれてきた大切な行事だということが分かりました。共通する起源や行事を持ちつつも、それぞれの地域の状況や歴史に合わせて内容が変化してきたことも分かり、とても興味深いですね。

これらを知って、お祭りに参加するとより楽しみが広がりそうです。ご紹介した過の去記事なども参考にして、ぜひ、日本三大祭りに出かけてみてはいかがでしょうか。

祭り開催情報

名称 祇園祭 山鉾巡行
開催場所 京都府京都市中京区
京都市役所前・四条烏丸・河原町など
開催日 2023年7月17日(月)、2023年7月24日(月)
主催者 八坂神社
アクセス JR京都駅から市バス206系統東山通北大路バスターミナル行きで20分、祇園下車すぐ
関連サイト https://ja.kyoto.travel/event/major/g...
この記事を書いた人
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