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秩父・浦山で獅子舞の展示!人口約100人の地域で、多くの祭りが存続した理由とは?

2021/6/22
2022/10/4
秩父・浦山で獅子舞の展示!人口約100人の地域で、多くの祭りが存続した理由とは?

コロナ禍でも、獅子舞の気分を味わいたい。獅子舞の祭り気分が味わえる施設はないだろうか。そのようなことを考えながら、Google マップを眺めていたところ、どうやら埼玉県秩父市に「浦山歴史民俗資料館」という場所があるらしい。写真を見る限りでは、三匹獅子舞の実物がどどーんと展示されており、迫力がありそうだ。秩父の獅子舞の解説なども展示で詳しく解説されているようなので、勉強にもなりそう。秩父の獅子舞は実際に見たことがなく、どのような魅力があるのだろう?と想像を巡らせながら現地を訪れた。

獅子舞の魅力を体感できる!「浦山歴史民俗資料館」

浦山歴史民俗資料館は、秩父鉄道 浦山口駅から徒歩10分の場所にある。秩父といえば祭り好きの方は「秩父夜祭」の大きな笠鉾・屋台を思い浮かべる方も多いだろう。しかし、ここでは秩父の祭りの新しい魅力に気づかせてくれる展示がある。それらの展示の半数を占めるのが獅子舞の展示である。

浦山の獅子舞の特徴とは?

まず入ると、正面に見えるのが獅子舞の実際の衣装や小道具。近くから実際に見てみると、とっても迫力がある。この獅子舞の展示は浦山の地域の特徴であるV字谷をイメージして作られており、お祭り本番の映像が見られるビデオも取り付けられている。

見ての通り、浦山の獅子舞は3匹で構成されており、大雄(たいゆう)、雌獅子(めじし)、男獅子(おじし)が登場する。大雄と男獅子にはそれぞれ角が2本あり、「真剣」という剣を顎下に抱えているのが特徴だ。スタッフの方に、「これ、痛くないんでしょうか?」と聞いてみると、そうでもないらしい。一方で、雌獅子は角が一本しかなく、真剣は持たないようだ。

獅子の他には、花笠やささらも登場し、祭りの華やかさは一層引き立つ。また、服装に関して、裁着袴(たっつきばかま)に草鞋(わらじ)という出で立ちは、山道を歩き、激しい舞に耐えられるように作られたものであるとのこと。なるほど、この地域の地形にも由来した獅子舞の衣装というわけである。

浦山の獅子舞はいつどのように始まった?

浦山の獅子舞の起源は西暦1245年に遡るという。当時、天皇の勅令を受けた下総の角兵衛という人物が角兵衛獅子という獅子舞を考案したようで、それを全国に広めたとのこと。「浦山の獅子舞」もその正統な直伝を受け、伝わったという。現在は保存会により継承され、小学校等の協力もあり、今に伝わっているようだ。

地域内外から人々が訪れる、浦山の獅子舞

実際に、浦山の獅子舞はどこで見られるのだろうか。それに関する展示があった。大きく分けて、以下に紹介する3つのお祭りに獅子舞が登場するという。とりわけ仏教の供養と獅子舞が結びついているのが特徴だ。

①川施餓鬼

毎年8月16日の送り盆の日に、昌安寺で行われるお盆の行事である。獅子舞はこの日の午前中に練習が行われ、午後6時に本番を迎える。ここで披露されるのは「花懸り」や「縄懸り」などの芸能獅子と呼ばれる演目である。この別名としては「盆獅子」「夏獅子」という呼び方もあるようだ。

②丹生様・お諏訪様祭礼

毎年10月の第4金曜日に実施。他の2つの仏教系ものとは異なり、神社で行う。昼前に丹生様、昼後にお諏訪様を訪れ、鳥居前で「剣懸り」という演目を行う。道中、一行は笛を吹く。この祭礼は、大日如来縁日の前日に開催することから、前夜祭的な意味合いを持っているようにも思える。

③大日如来縁日

毎年10月の第4土・日曜日に昌安寺と大日如来堂で「大日如来縁日」という行事が行われる。大日如来は干支が未(ひつじ)または申(さる)の人の守り本尊であり、これを信仰する大日講が約100組もあるというのだから驚きである(平成24年調査)。この祭りにおいて、初日に「迎え獅子」という行事が行われる。ここで「祈願獅子」という獅子舞が披露され、そこで悪魔祓いの祈願を申し込む人もいる。2日目には、初日で悪魔祓いを申し込んだ各家を獅子舞が回る。

実は浦山という地域の人口は100人に満たないこともあった(平成24年調査)。しかし、なぜこれだけの多くの祭りが開催できるのだろうか?祭りに訪れる人の数が、地域の人口を上回っている時もあるようだ。これは地域内外に土地を想うたくさんの人々がいるということでもあり、素晴らしいことである。

浦山だけでなく、秩父の獅子舞も知れる

埼玉県秩父市に伝わる獅子舞は、風流踊りに起源を持つ3匹獅子舞である。この獅子舞の特徴としては3頭ともに獅子頭を被り、腰に太鼓をつけて打ち鳴らしながら舞うところだ。この舞には花や剣などが登場し、五穀豊穣、悪霊退散、雨乞いなどの祈願の思いが込められている。現在、秩父市内に伝わる風流踊り系の獅子舞は11箇所に伝承されており、太田部、白岩、久長、黒谷、矢行地、日向、久部、田野澤、浜平、三峰、浦山で見られるとのこと。1つとして同じ獅子舞はなく、浦山同様に様々な由来を持った個性豊かな獅子舞が見られるのだ。

花火の筒?他にも様々な展示が見られる

この浦山歴史民俗資料館には、他にも浦山の生活文化に関する様々な展示がある。焼畑に使用された小道具、お祭りに使われるお神輿、祭事に使われるおわんなど本当に様々だ。私が見ていて面白いと感じたのが、この巨大な花火筒。普段、花火は打ち上げられるものばかり眺めているが、「こんなに大きな筒から発射されるんだ!」という純粋な驚きがあった。

浦山歴史民俗資料館が生まれたきっかけ

昭和30年の調べによると、この資料館のある浦山という地域は総人口が440人だったそうだが、平成24年には64人と大幅に減少してしまった。この背景にあったのが、浦山ダムの建設であり小中学校の廃校も相まって、人口が流失してしまったようだ。そんな中で、この浦山の土地の生活文化の保存や復元を目的に平成12年にできたのが、この「浦山歴史民俗資料館」だった。今では地域唯一の民俗芸能である獅子舞の伝承の場になっているというわけである。

秩父・浦山の獅子舞の魅力を知ろう

この浦山の獅子舞の魅力は、人口減少が進む中で昔ながらの獅子舞が今でも受け継がれているということ。地域内外の人々がお盆や秋に集い、獅子舞を継承しているのだ。この信仰と獅子舞との関係がそれぞれうまく作用しあい地域の活気を作り出しているという印象を受けた。次にこの地を訪れる際は、ぜひお祭りにも伺いたい。まだ浦山歴史民俗資料館を訪れたことがないという方は、ぜひこの場所を訪れ、獅子舞の魅力を味わっていただきたい。

◯浦山歴史民俗資料館
住所:埼玉県秩父市荒川久那3805-7
交通アクセス:秩父鉄道 浦山口駅から徒歩10分
入館料:無料
開館時間:午前9時~午後5時(4月~10月), 午前9時~午後4時(11月~3月)
休館日:毎週火曜日(祝日の場合はその翌日), 12月29日~1月3日
※必ず公式情報をご確認ください

参考文献
秩父市教育委員会『浦山の獅子舞』丹青社  平成25年

浦山歴史民俗資料館の詳細はこちら

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