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やりたい放題暴れる奇祭っぷりにも程がある! 全国各地の色々なぎおん様 厳選14祭

やりたい放題暴れる奇祭っぷりにも程がある! 全国各地の色々なぎおん様 厳選14祭

※2020年は新型コロナウイルス蔓延の影響で中止または延期となりました。 2021年には無事に開催されることを願いつつ、コロナウイルスの終息のために感染予防を心がけましょう。 (2020年7月05日 編集部)

「ぎおん様」「ぎょん様」とも呼ばれ、全国各地で行われる祇園祭。京都の祇園祭が有名ですが、ひとたび地方に目を向けるてみると様々なバリエーションが存在し、これが実に興味深いのです。この奇祭もあの奇祭も、元をたどればひとつのオマツリ、一柱の神に行き着く?!

(この記事は2019年に公開されたものを再編集しています。2020年7月5日 編集部更新)

祇園祭の基本設定

ヤマタノオロチと闘うスサノオ(画・月岡芳年)

祇園祭の祭神は、海神スサノオノミコト(素戔嗚尊)。スサノオノミコトはヤマタノオロチ(八岐大蛇)を倒したことで有名ですね。

疫鬼を食らう牛頭天王

のちに祇園精舎の守護神・牛頭天王とも習合されたので、基本的にはスサノオノミコト=牛頭天王ということになっています。どちらも荒ぶる神で、疫病を流行らせる行疫神であったため同じ神ということになりました。神仏習合ってやつです。

平安時代の御霊(ごりょう)信仰を背景に、昔の人は行疫神の荒魂(あらたま)を鎮め、和魂(にぎたま)に変えることで逆に守護神として味方につけ、疫鬼と闘わせることで疫病を防ごうとしました。まるでゴジラVSキングギドラですね。これが祇園信仰の原型で、その祭礼として祇園御霊会(ぎおんごりょうえ)を行いました。これが今の祇園祭の原型です。京都の八坂神社もしくは兵庫の広峯神社が総本社となっています。

ちなみに、荒ぶる神である海神スサノオ=牛頭天王を鎮めるには、基本的には川や海といった水辺でミソギを行います。スサノオ系の神輿を派手に川にぶん投げるのはこのためだったのですね。それでは、全国の個性豊かな祇園祭を紹介しましょう!

➀あばれ系(神輿編)

あばれ祭【石川】

能登町のあばれ祭り【石川】
この祭では「暴れるほどに魂が甦る」「暴れるほど神様が喜ぶ」とされます。神輿は、海中に投げ込まれるのを皮切りに、道路に叩きつけられ、激しい放水を浴びせられ、橋の上から川に放り込まれと、壮絶な水責めに合います。さらに八坂神社への宮入り前には煌煌と燃える松明に投げ込まれ、火責めも受けます。全国トップクラスのあばれ神輿です。火の粉を浴びながら担ぎまわる40基のキリコも負けていません。能登有数の漁師町である宇出津の土地柄もあるのかも。

日時:2019年7月5・6日(毎年7月第1土・日曜)※2020年開催中止
場所:能登町宇出津
交通:金沢から高速バスで2時間30分
https://notocho.jp/event/310/

 

宮田村観光協会FBページより

宮田祇園祭の打ち壊し【長野】
祭のクライマックスで、津嶋神社の石段から神輿を何度も何度も落とし、ぶっ壊す「天下の奇祭」。ミソギが水を使わずに変化した形態なのかもしれませんね。壊された神輿の破片を持ち帰り、家の屋根に上げておくとその年の無病息災が叶うと言われています。

日時:2020年7月18日(土)(毎年7月第3土曜日)※2020年開催予定
場所:津島神社(長野県上伊那郡宮田村)
交通:JR宮田駅から徒歩で3分
http://kankou.vill.miyada.nagano.jp/miruasobu/

◎さいたまつり

出来島のあばれ神輿【埼玉】
利根川の中で垂直に立てられた神輿の上から、川面に向かって「I can fly!」と言わんばかりに豪快にダイブする埼玉県有数の奇祭です。神輿の受け渡しの際、世良田の神輿を利根川に流して、出来島河岸で引き上げたのが由来とも言われています。

日時:2020年7月19日(日) ※2020年は「川揉み」自粛(祭り関係者による神事のみ)
場所:八坂神社、利根川
交通:JR高崎線・秩父鉄道「熊谷駅」南口からバスで60分 熊谷市ゆうゆうバス「出来島入口」バス停下車
https://www.saitamatsuri.jp/matsuri/abare-mikoshi/

 

平方のどろいんきょ【埼玉】
白木造りの神輿が、水をまいた庭の中で勢いよく転がされ、泥だらけになるという全国的にも珍しい祭り。これも牛頭天王を祀った悪疫退散の祭り。元来は水辺で行うミソギ型の祭りが、神輿が土地の家々を周るオイデ型の祭りへと独自進化した形態なのかもしれません。

日時:2019年7月18日(土)※2020年開催中止
場所:八枝神社、町内各所
交通:JR「上尾駅」からバスで15分 バス停「平方神社前」下車徒歩5分
https://www.saitamatsuri.jp/matsuri/doroinkyo/

Photo created by Pontafon

博多祇園山笠の追い山【福岡】
日本三大祇園祭にして、博多どんたくと人気を二分する博多祇園山笠。これも祭神は櫛田神社に祀られるスサノオノミコト。櫛田神社をスタートして決勝ゴールまでの5キロを舁き山(かきやま)が失踪する勇猛な「追い山」は圧巻。同時に高さ10メートルを超える飾り山の豪華絢爛ぶりも要注目です。

日時:毎年7月1日~15日 ※2020年開催延期
場所:櫛田神社ほか
交通:博多駅から徒歩15分
https://www.hakatayamakasa.com/

小友祇園祭FBページより

小友祇園祭【佐賀】
300年以上続く、高さ15メートル、重さ3トンのフォトジェニックな山笠が地区を練り歩く、「海を渡る山笠」として有名な奇祭遺産。「ハウルの動く城」を彷彿させるギミック感満載の造形が見ていて楽しい。山笠の造形面でアーティスティックに大いに暴れてます。これも漁師町。

日時:2019年7月16・17日(旧暦6月14日・15日) ※2020年開催中止
場所:八坂神社(佐賀県唐津市呼子町小友)
交通:博多→呼子(バスで1時間30分)→小友(タクシーで5分)

 

脇岬ケンカ祭り(脇岬祇園祭)【長崎】
祭のクライマックスでは神様そっちのけで男たちが拳(ステゴロ)で殴り合う乱闘が始まります。日本全国に「ケンカ祭」と名のつく祭は数あれど、本当に人間が殴り合うファイト・クラブはここだけ。スサノオの荒ぶる魂が乗り移ってしまったのかもしれません。

日時:2019年8月3・4日  ※2020年 未発表
場所:八坂神社
交通:JR長崎駅から車で50分)
http://www.nihon-kankou.or.jp/detail/42304ba2210121907


②あばれ系(その他)

こっぱげ面の長尾大神宮(天照御祖神社)FBページより

こっぱげ面(祇園祭)【福岡】
神の使いである鬼たちが村中を暴れまわることで厄を払い無病息災や五穀豊穣を祈願する奇祭です。厄を払う手段は何と、鬼面をつけた男たちが村人を追いかけ回し、青竹で尻を思いきり引っぱたく(ちゃんと痛くないと厄払いになりませんので)というリアル鬼ごっこ方式。一説にはナマハゲより怖いとも。これ、子どもの時に見たらトラウマになる奴。

日時:7月11日(天照御祖神社)、15日(素盞嗚神社)、14・15日(祇園神社) ※2020年 関係者による神事のみ開催予定
場所:天照御祖神社、素盞嗚神社、祇園神社(福岡県八女市星野村)
交通:JR羽犬塚駅より八女市乗換えで約90分(羽犬塚駅より堀川バスに乗り換え、八女市の福島バス停へ20分。堀川バス星野行きに乗り換え、池の山前バス停へ80分)
http://www.city.yame.fukuoka.jp/kanko/kankouseason/summer/1490249116626.html

花奪い神事(大原祇園祭)【滋賀】
スサノオのヤマタノオロチ退治を模して、すべての災い・病気の悪魔を祓うことを願って執行。陰陽栄を歌い、踊りを献納。やっぱり青竹で花傘をたたき、花鉾の花枝を参拝客が先を争い奪うことから花奪い神事と言われます。

日時:毎年7月23・24日  ※2020年開催中止
場所:大鳥神社(滋賀県甲賀市甲賀町鳥居野)
交通:JR甲賀駅から車で5分
http://ootorijinjya.jp/

 

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. 毎年、7月24日。 関東三大奇祭の御神酒頂戴式があり、 夫は毎年、選手? として参加させていただいています。 祭りの当番を引き継ぐ儀式でもあるんですね。 https://ja.wikipedia.org/wiki/御神酒頂戴式 . . 写真は、義父が自治会長で、 盃をかぶった時のです。 この年は、私は浴衣の準備をしたと思い込み、 直前でこれ浴衣じゃないと言われ、 間に合わなくて、普段、 夫がねまきに使っている浴衣を届けました。 義父の後ろで、夫はよれよれの浴衣です😭 . . 私が用意したのは、甚平でした😂 その甚平は義父のもので、 義母から渡されたのでした。 クリーニングにかけ、 前だけ透明の袋で、パッと見が浴衣。 これは浴衣だと信じてしまったのです。 開けて見ればと後悔。 . . 義父と夫が一緒に御神酒頂戴式にでることは、 この年が最後。 ああ、よれよれで後悔。 この話をすると、 益子の祭り関係者は、涙を流して笑います。 . . 7月24日がくるたび、 この慌てた1日を思い出します。 よれよれの2枚の浴衣は穴が開き、 縫ってくれと言う。 今年は、浴衣を買うんだ! パリッとした浴衣にする! 甚平は持たせない😂 . . #栃木県 #益子 #夏祭り #夏祭 #祭り #祭 #お囃子 #おはやし #伝統 #伝統行事 #女人禁制 #益子祇園祭 #御神酒 #御神酒頂戴式 #夫 #日本酒 #日本酒三昧 #日本酒好きな人と繋がりたい #日本酒らぶ #関東三大奇祭 #大盃 #袴 #浴衣 #甚平 #自治会長 #日本 #japan #私の #おっちょこちょい #新しい浴衣

仲野沙登美さん(@satomi1004)がシェアした投稿 – 2019年 7月月18日午前1時45分PDT

御神酒頂戴式(益子祇園祭)【栃木】
1705年頃に疫病が発生したことをきっかけに、天王信仰により祭を行い、怨霊や疫病を鎮めたことに端を発するお祭り。昔は天王祭とも呼称。毎年7月23日~25日に開催。23日には手筒花火と小型手筒花火の打ち上げ、そして24日には羽織袴の男衆が、大杯に注がれた熱燗3杯を飲み干す「御神酒頂戴式」を執り行います。1年365日になぞらえ、大杯に注がれた3升6合5勺(約6.5リットル)の熱燗を3杯を飲み干す姿はあつかんだけに圧巻!

日時:毎年7月23日~25日 ※2020年開催中止
場所:栃木県益子町
交通:小山駅→下館駅(水戸線で26分)
http://blog.mashiko-kankou.org/

③エンタメ系

祇園祭におけるあばれ要素は、元々は祟り神の荒魂を鎮める意味合いから来ていそうです。しかし、祟り神を鎮める神事よりも、神賑(かみにぎわい)としてのエンタメ要素が発達した祇園祭もあります。

戸塚のお札まき【神奈川】
女装した男性約15人が囃し歌に合わせて踊りを踊り、踊りが終わると「正一位八坂神社御守護」と刷られた厄除けのお札をまくお祭りです。お札まきは江戸時代には江戸や大阪で盛んに行われていましたが、現在は東海道の戸塚宿にのみ残されています。囃し歌では「さあ来い子供 天王様は 泣く子が嫌い 囃すのが大好きで……授かったものは 病を除ける コロリも逃げる」などと歌われます。ここでの天王様とは、牛頭天王のこと。厄除け祈願の御霊会(ごりょうえ)です。

日時:毎年7月14日  ※2020年開催中止
場所:八坂神社(神奈川県横浜市戸塚区戸塚町)
交通:戸塚駅から徒歩約10分
https://www.totsuka-navi.jp/event/ofudamaki_2018.html

牛乗り・蜘蛛舞(東湖八坂神社例大祭)【秋田】
「お天王さん」と呼ばれて親しまれる東湖八坂神社で開催。平安後期から1000年以上も続く古い祭で、「八岐の大蛇退治」の故事と八郎潟周辺の農漁民の間に伝わる水神信仰を習合させた祭礼です。「牛乗り」では、スサノオとして神うつりした神人が黒牛に乗って町を練り歩きます。この神人は酒を飲み、意識を失っている酩酊状態にあるとか。神の依り代として神輿を使わず、人が依り代となる古式形態を残した貴重な祭りです。スサノオ役の「牛乗り」と対で行われる綱渡りや宙返りの芸「蜘蛛舞」はヤマタノオロチに見立てられています。

日時:毎年7月6~7日   ※2020年開催中止
場所:東湖八坂神社(秋田県男鹿)
交通:天王駅下車し、徒歩約5分
http://www.city.katagami.lg.jp/index.cfm/8,0,36,144,html

 

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#奇跡の三年 #馬出し祭り

Kouji Nakayamaさん(@nakayama_kouji)がシェアした投稿 – 2016年 7月月29日午前4時59分PDT

馬出し祭(麻生祇園)【茨城】 
スサノオVSヤマタノオロチを体現する祭。ここでは馬をヤマタノオロチ役に(色々と忙しい)に見立て、馬と神輿(スサノオ)による勇ましい戦いをくり広げます。神輿が追いかけると馬が激しく暴れ、馬場を駆け抜けていきます。その荒ぶる様子はまさに荒神祭。なお、千葉の吾妻神社でも9月に馬出し祭が行われますが、こちらは日本武尊(ヤマトタケル)が由来となっています。

日時:2019年7月27・28日(毎年7月最終土・日) ※2020年開催中止
場所:八坂神社(行方市天王崎 )
交通:潮来駅から車で約20分
https://www.city.namegata.ibaraki.jp/page/page001347.html

 

龍ヶ崎の撞舞(つくまい)【茨城】
雨乞いや無病息災を祈願して、雨蛙の被り物を被った男が高さ15メートルほどの丸柱に登って軽業を披露。これも祭神がスサノオの八坂神社の祇園祭の最終日に行われます。一見、もはやスサノオ要素は薄そうですが、何と撞舞の原型は、室町期に成立した蜘蛛舞(ヤマタノオロチ?)にあるのだとか。色々とつながってくるものですね。

日時:2019年7月28日(日)(八坂神社祇園祭の最終日) ※2020年開催中止
場所:八坂神社(茨城県龍ケ崎市)
交通:関東竜ケ崎線竜ケ崎駅から徒歩8分
https://www.city.ryugasaki.ibaraki.jp/kanko/bunka/bunkazai/tukumai.html

いかがでしたか。それぞれの地方文化や風俗とも結びついて独自進化を遂げているとは言え、大元をたどれば一柱の神、一つの御霊信仰に結び付くのは何とも興味深いですよね。それではまた、次の奇祭でお会いしましょう。

 

 

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
奇祭ハンター、美酒ナビゲーター。「毎月奇祭」を目標に奇祭旅を行い、お祭りやお酒の情報を挙げています。今までに50以上の奇祭を巡り、600種類以上の日本酒を飲酒。祭りがないときは大体、酒飲んでます。

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