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京都・醍醐寺の「五大力さん」で巨大な鏡餅を持ち上げて厄祓い

2022/2/28
2022/2/28
京都・醍醐寺の「五大力さん」で巨大な鏡餅を持ち上げて厄祓い

京都・醍醐寺の「五大力さん」の名で親しまれる「五大力尊仁王会(ごだいりきそんにんのうえ)」は、その年の無病息災を祈願するお祭りです。醍醐寺の開山以来1100年以上の歴史があり、京都に春の訪れを告げる年中行事としても大切に行われ続けています。

五大力さんで特に人気があるのが、餅上げ力奉納。そして、五大力尊御影(みえい)というお札の授与です。毎年多くの参拝者が醍醐寺に集いますが、2022年も感染症予防へ細心の注意を払いながら、大盛況のうちに開催されました。

「五大力尊仁王会」とはどんなお祭り?

早朝から御影を求めて多くの参拝者が集う本殿前。

五大力尊仁王会は、例年2月23日に醍醐寺で行われているお祭りです。その歴史は古く、西暦907年、醍醐天皇の時代まで遡ると言われています。

五大力尊とは五大明王。つまり、不動明王、降三世明王、大威徳明王、軍荼利明王、金剛夜叉明王です。中央と東西南北の全方位から家を守り、昼夜を問わずその人に影のように従い、身を守り、災難を払うと信じられています。

五大力さんでは、全ての人々の七難即滅と七福即生(すぐに災難が去り、幸福が訪れること)を願った仁王会法要や柴灯護摩祈願が行われます。そして、この日しか授与できない特別なお札である御影も有名です。災難・盗難除けのご利益が期待できる五大力尊の御影を求めて、多くの参拝者が集います。また、五大力さんに力を奉納して無病息災、身体堅固を祈る、五大力さん名物の餅上げ力奉納も大変に盛り上がる行事です。

五大力さん名物!餅上げ力奉納

餅上げ力奉納は、力自慢の男女が巨大な鏡餅を持ち上げる行事です。大人でも抱えきれないほど巨大な紅白の鏡餅が鎮座するステージは、さながら戦いのリングにも見えます。

定刻を迎えるとお坊さん方のご祈祷から、餅上げ力奉納が始まります。

餅上げ力奉納は感動の嵐

五大力さんの餅上げ力奉納は、小学生の部、女性の部、男性の部の3部構成で行われます。
小学生の部は、子供たちがみなで力を合わせて60キロの鏡餅を持ち上げる、アットホームなものです。

しかし女性の部と男性の部になると、様相は一変します。なにしろ、餅上げ力奉納で持ち上げる鏡餅は、大人が両手を思いっきり伸ばして、やっと鏡餅が乗っている木製の台を掴めるほどのサイズです。しかも女性は重さ90kg、男性は150kgにも及ぶ鏡餅を持ち上げます。少しでもバランスを崩せば、鏡餅に押し潰されかねません。危険と隣り合わせの行事です。

力自慢の奉納者達は、巨大な鏡餅を持ち上げることで大きなエネルギーを奉納します。これにより無病息災のご利益を受け取ることができるとされています。参拝者みなが手に汗握り、一丸となって見守る、ドラマチックなお祭りです。

初奉納ながら5分間巨大餅を持ち上げきって、安心して腰を落とす奉納者。境内は祝福の声に包まれた

餅上げ力奉納は、力持ちであることはもちろんのこと、バランス感覚や強運であることも求められるようです。

まずは巨大な鏡餅の乗せられた木製の台を持ち上げて、手前に引きます。この段階で四苦八苦する人が続出し「こんなに重いなんて!」と悔しさを滲ませながらステージを降りる方々も見受けられました。

台を持ち上げるだけで精一杯な奉納者も続出

鏡餅が乗せられた木製の台の裏には、対角線状に木材が嵌め込まれています。この部分に膝を当てて台をお腹に抱え込むようにしながら、テコの原理でゆっくり腰を落として行く。これが、巨大な鏡餅を持ち上げるコツです。どの部分に力をかけると最小限の力で動かせるのか、力学的観点で鏡餅を捉えることが欠かせません。

膝にはニーパット、腰も保護した万全の装備で挑む奉納者も

とはいうものの、台座を掴む手はちぎれんばかりに痛み、足元は少しのバランスの乱れも許されません。なんとか持ち上がったとしても、ジワジワと時間の経過と共に身体中を蝕む重さと痛みをどうやってやり過ごすのか。その難しさは、過去に十数回も餅上げ力奉納を経験しているという猛者達ですら苦境に追い込まれていた様からもうかがえます。

屈強な男性でさえ、巨大鏡餅にジワジワ体力を奪われていく

頑張って鏡餅を持ち上げてほしいけれど、無理はしないでほしい。必死に巨大な鏡餅に立ち向かう奉納者を見守る参拝者にも、緊張感が走ります。

境内中に緊張感が走るような瞬間もあるが、お坊様方がガッツリガードしてくださるので安心

小柄な女性も奉納に参加する、その意気込みに参拝者みなから感動と祝福の拍手が巻き起こった

そしていつしか境内は、「頑張れー!」「あと少し!」「お疲れ様!」「よく頑張ったねー!」と、小さなお子さんから大人の方まで、温かな声援と拍手でいっぱいになっていました。

2022年の餅上げ力奉納の変更点

2022年の餅上げ力奉納は、感染症拡大防止に配慮し、例年と比べると2つの変更点がありました。

1つ目に、餅上げ力奉納で奉納するためには、事前登録が必要になりました。例年であれば、当日の飛び入り参加も受け付け。しかし2022年は、醍醐寺の公式サイトよりあらかじめ申し込みした人のみに変更となりました。

2つ目に、5分という時間制限が加わりました。例年であれば競技として餅上げ力奉納を行い、最も長い時間、餅を持ち上げた人は横綱として表彰されてきました。

しかし2022年は、あくまでも神事の一環として奉納のみという扱いになっています。横綱という格付けも、表彰もなく、5分を超えての餅上げ力奉納もできません。

それでも新しい形の餅上げ力奉納は、奉納者と参拝者が心をひとつに通わせるお祭りとして記憶に残ったことでしょう。

おかげ餅にお参りして無病息災

本殿前のおかげ餅前は、参拝の順番を待つ人で長蛇の列ができる

本堂の金堂前には「おかげ餅」という大鏡餅が奉納されています。このお餅に手をふれると、1年間無病息災でいられるという言い伝えもある鏡餅です。

本殿前の参道にも、奉納された巨大な鏡餅が並ぶ。

2022年は、感染症対策のために直接触れることはできませんでしたが、日頃目にすることがないほど大きな鏡餅の数々は、それだけで特別でありがたく思えます。

五大力さん限定!五大力尊御影

五大力さんでは「五大力尊御影(みえい)」と呼ばれるお札が授与されます。五大力尊御影は、ご本尊である五大力尊の分身です。1年のうち1日だけ、五大力さんの日のみ授与される特別なお札とあって、ほとんどの参拝者が五大力尊御影の入った袋を大事そうに携えて参拝しておられました。

醍醐寺は修験道の寺でもあるため、五大力さんの日は全国から山伏が集結し、終日お焚き上げをします。お焚き上げの煙には厄祓いのご利益があるため、修験道の方に五大力尊御影をお渡しして煙に当ててもらい、お焚き上げの煙でより強力になった五大力尊御影を持ち帰る方々も多く見受けました。

世界文化遺産の醍醐寺で厄祓い

京都醍醐寺の五大力さんは、厄祓いのご利益満載です。また餅上げ力奉納の奉納者になっても、参拝者であっても、熱狂と感動の物語を体験できる点も魅力的なお祭りといえます。

また同時に醍醐寺は、豊臣秀吉が最後の花見をしたとされる三宝院の他、国宝や重要な文化財を数多く擁しています。平成6年12月には世界文化遺産に認定された寺院でもあり、見どころ盛りだくさんです。

五重塔のそばでは、聖護院八ツ橋や力餅などの屋台も出店されていました。

美しい庭園を散策しながら、寒さも厄も吹き飛ばすような餅上げ力奉納の興奮と熱気に包まれてみませんか。

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