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【池上本門寺の御会式】 参詣者30万人超! 江戸時代から続く盛大な法要行事 御会式に行こう

【池上本門寺の御会式】 参詣者30万人超! 江戸時代から続く盛大な法要行事 御会式に行こう

※2020年は、新型コロナウイルス蔓延の影響で中止となりました。(11日~13日の大堂での法要、また、12日の夜の唱題行は人数制限を設けて行う予定)2021年には無事に開催されることを願いつつ、コロナウイルスの終息のために感染予防を心がけましょう。(2020年9月29日 編集部)

東京都大田区にある池上本門寺では,毎年10月11日から13日にかけて御会式とよばれる大法会(お祭り)が執り行われています。大田区民なら一度は行ったことがあると言われる秋の風物詩です。とくに12日の万灯行列には1晩で30万人を超す人が訪れます。今回は池上本門寺の御会式についてご紹介いたします。

(この記事は2019年に公開されたものを再編集しています。2020年9月29日 編集部更新)

日蓮聖人御入滅の地「池上」

池上本門寺の御由緒

弘安5年(1282年)9月8日,日蓮聖人は病気療養のため常陸国へと湯治の旅に出ます。身延山を下山してから10日後の9月18日,千束郷の池上宗仲の屋敷(現在の本行寺)に到着。 しかし,日蓮聖人の病状が悪化します。これより先,旅を続けることは無理と察した日蓮聖人はここを最後の居地と定め,池上宗仲邸の裏山に建立された一宇を開堂供養し長栄山本門寺と命名します。同年10月13日,日蓮聖人は池上宗仲邸において61歳で入滅されました。日蓮聖人御入滅の後に,池上宗仲は法華経の文字数にちなみ約7万坪の寺域を寄進され,以来「池上本門寺」と呼ばれています。

池上の由来

「新編武蔵風土記稿」によれば,池上の地名は「千束池(洗足池)」が由来とされています。もともとの池上村は,現在の池上より北側にある上池台及び仲池上付近一帯を指していました。一方,池上兄弟として知られる池上宗仲の祖は藤原忠方とされています。天慶3年(940年)藤原忠方が「平将門の乱(承平の乱)」鎮圧のため京都より洗足池付近に下向。当地が気に入った藤原忠方は,洗足池の辺にある千束八幡神社を氏神として池上姓を名乗りこの地を治めることとなりました。

令和元年御会式の日程

令和元年御会式の日程

令和元年の御会式(宗祖日蓮聖人御報恩御会式法要)は,宗祖第七百三十八遠忌報恩として,10月11日(金)より13日(日)にかけて執り行われます。一晩で30万人を超す参拝者が訪れるという万灯練供養(万灯行列)は10月12日の18時~24時頃を予定しています。

10月11日・金曜日

11:00 歴代先師聖人並びに池上法類・池上護山会先師報恩法要
12:30 金子和正師「眼あらば経文に我身をあらわせよ」 / 大堂下大広間
14:00 納経十種供養式法要

10月12日・土曜日

10:00 宗祖御更衣法要
12:30 中島源吾師「お祖師さま、教えてください」 / 大堂下大広間
14:00 宗祖報恩御逮夜法要
18:00頃~24:00頃 御逮夜 万灯練供養 参道~大堂前

10月13日・日曜日

7:00 宗祖御入滅(第737遠忌)御正当法要(特別説教・臨滅度時法要)

御会式とは?

御会式とは

御会式と書いて「おえしき」と読みます。あまり馴染の無い言葉かもしれませんが,もともとは各宗派の宗祖の命日に行われる法要のことでした。しかし,江戸時代より池上本門寺において盛大に御会式の法要を行っていたため,今日では御会式というと日蓮聖人の御命日として定着しています。俳句では「御会式」を秋の季語としているようです。全国各地の日蓮宗系の寺院では,日蓮聖人の御命日である10月13日を中心にお会式行事が営まれます。たとえば,洗足池の辺にある御松庵(大田区南千束二丁目)では10月17日,子安八幡神社の御隣に位置する林昌寺(大田区仲池上一丁目)では10月27日に行われますが,日蓮聖人が御入滅された霊跡である池上本門寺のお会式がもっとも盛大に行われます。

万灯練供養とは?

万灯練供養とは

日蓮聖人の御命日の前日の夜(10月12日)は,御逮夜(おたいや)と呼ばれ,全国各地から集まった講中すなわち檀家や信徒の方々により、百数十基の万灯が深夜まで池上の地を練り歩きます。万灯は,日蓮聖人が御入滅された時、庭先の桜が時期外れの花を咲かせたという故事から,紙で作った御会式桜と,灯明で輝く宝塔から作られています。それぞれの講中は御題目を唱えながら,江戸の火消し衆が始めたと言われる纏を振り,団扇太鼓や鐘を叩き,笛の軽快な音色と共に進んでいきます。江戸時代から現代まで脈々と引き継がれた歴史と伝統に彩られた由緒ある行事です。

池上線沿線にお住まいなら一度は行きたい御会式

御会式の見どころは?

御会式の見どころは

一番の見どころは,何と言っても万灯練供養(万灯行列)でしょう。
御逮夜(10月12日夜)に執り行われる万灯練供養は,独特のリズムの太鼓と笛に合わせて,池上の地を練り歩きます。この夜は御会式の3日間で最も多くの参拝者が本門寺を訪れます。

御会式の見どころは池上本町会掲示板に貼られた地図(一部)グレーで塗られた道と黒い矢印が万灯の順路

万灯練供養は,徳持会館を起点とする講中と,大森方面から来る講中の2つのルートが池上道りを経て新参道で合流し本門寺へと向かいます。実は,もう1つルートがあるようで,町内会の掲示板を見ると,第二京浜(国道一号線)方面から来る講中も確認できます。ここ10数年,御会式の日に本門寺へ参拝していましたが,3つの万灯通行順路があることを今回初めて知りました。

御会式の見どころは

お祭りと言ったら屋台。屋台も忘れてはいけません。参道から境内,そして駅への帰り道には数えきれない程の屋台が出店しています。定番のお好み焼きやたこ焼きをはじめ,ステーキやホルモン焼き,みんな大好き?チュロスやベビーカステラなどバラエティーに富んでいます。たこ焼きを頬張りながら万灯行列を見るのもいいですね。でも,筆者が一押しするのは,本門寺境内に出店している玄米パン。見た目は具無しの中華まんのように見えますが,ほんのり甘味があって素朴な味。蒸し器で蒸かしていない玄米パンも売っていますので,次の日の朝食にもってこいです。よろしければ探してみてください。

ピークを避けたい場合は…

数年前,11日の夜に御会式に行ったところ,片手で数えられる程度ですが池上本門寺周辺で万灯を見ることができました。12日に比べると人出は少ないものの屋台も営業しています。「わが家は小さい子どももいるし,12日の夜は混雑しているから心配」という方は,11日に行かれてみては如何でしょうか。御逮夜独特の雰囲気を味わうことはできませんが,案外穴場かもしれません。

御会式の注意点

御会式の注意点工事中の東急線池上駅。門前町に相応しい駅舎になるといいですね。

主に御逮夜(12日の夜)の注意点です。今年,はじめて御会式に行くという方は参考にしてください。
・現在,東急池上線池上駅は改修工事中です。ホームや駅通路,改札は狭くなっている可能性があります。時間には余裕を持ちましょう。
・本門寺周辺は交通規制が敷かれています。一部の路線バスも経路変更や迂回します。バスのご利用を考えている方は,ご利用のバス会社にご確認ください。
・非常に多くの人で賑わいます。迷子に注意してください。ご家族やお友達とはぐれたときのために待ち合わせ場所を決めておくこと安心です。
・歩きやすく身軽な服装で楽しみましょう。特に御逮夜(12日の夜)は身動きができないくらい混雑します。
・総門から仁王門に続く此経難持坂の階段は結構キツイです。歩き慣れた履物で…
・境内(総門から大堂の裏まで)は,時間帯によって一方通行となります。一方通行の時間帯は,大堂の裏(お休み処・売店側)からは入れません。
・御逮夜(12日の夜)は,例年ですと21時を過ぎると混雑も落ち着いてきますが,今年は土曜日にあたるため深夜まで混雑が続く可能性があります。
・酒瓶を落としたのか,稀に割れたガラス瓶の破片が散乱していることがあります。足下にはご注意を。
・池上本門寺境内並びに万灯練行列区域でのドローンなどの飛行は禁止されています。ドローンでの撮影を考えている方は留意しましょう。
・参道や境内の数ヶ所に仮設トイレが用意されますが,長蛇の列が予測されます。駅や駅前の公衆トイレで済ませておくことをオススメします。

池上のおみやげ

池上のおみやげ

くず餅(久寿餅)と言えば川崎大師が有名ですが,池上本門寺周辺にもくず餅のお店は4件あります。池上本門寺参拝のお土産にいかがですか。筆者の一番の好みは本門寺の近くにあった相模屋さん。しっかりした歯ごたえのお餅と,さっぱりした甘味の黒蜜でしたが,残念ながら閉店してしまいました。しかし,他のお店もおいしいですよ。営業時間は各店舗で確認してくださいね。

浅野屋本店さん 駅前にあるお店。お餅は予めカット済みです。
浅野屋本舗さん 池上本門寺通り商店街にあるお店。筆者の感想では現代風な味。
藤乃屋さん 閉店した相模屋さんの居抜きとして平成30年3月に開店したお店。屋号が変わってから食べていませんが,今回この記事を書くために購入。他の店舗と食べ比べをしたわけではありませんが,少し固めの食感とさっぱりした黒蜜が筆者の好みに一番合います。
池田屋さん 藤乃屋さんのお向かい。本門寺からは一番近いお店。通常くず餅の消費期限は2日程度ですが,池田屋さんはパック詰めされているため5日程日持ちします。ペッタとした柔らかめの食感です。

家族や同僚と池上本門寺の御会式に行こう!

今回は池上本門寺の御会式についてご紹介いたしました。
気になるけどまだ行ったことがない方がいらしたら,今年は是非とも足を運んでみてはいかがでしょうか。

池上本門寺へのアクセス

池上本門寺

東急池上線「池上駅」より徒歩,もしくは都営地下鉄浅草線「西馬込駅」南口より徒歩。
御会式の日は,数えきれないほどの屋台が参道から境内にかけて出店します。お祭りを味わいたいなら「池上駅」のご利用をおすすめします。また,多くの参拝者が訪れます。お時間に余裕をもってお出かけください。

参考文献

池上市民大学(2019).  「お会式」のちらし.  池上本門寺朗子会館 池上市民大学事務局.
池上本門寺.  “池上本門寺の御会式”.   池上本門寺. http://honmonji.jp/oeshiki/index.html(参照2019-10-2).
川口真人.   “御由緒(子安八幡神社)”.  雪ケ谷散歩. https://www.yukigayawalker.tokyo/place/yukigaya/yurai.php(参照2019-10-2).
幕府昌平黌地誌編纂局編(1817). 『新編武蔵風土記稿(巻之四十五) 荏原群之七 馬込領』. 昌平坂学問所地理局.

祭り開催情報

名称 池上本門寺のお会式
開催場所 東京都大田区池上1-1-1
長栄山 池上本門寺
開催日 2023年10月11日(水)、2023年10月12日(木)、2023年10月13日(金)
アクセス 【電車】
東急池上線「池上駅」から徒歩10分
都営浅草線「西馬込駅」南口から徒歩12分
JR京浜東北線「大森駅」から池上駅行きバス「本門寺前」下車徒歩5分

【車】
首都高速目黒線戸越出口から約15分
首都高速羽田線羽田出口から約20分
東名高速東京ICから約25分
関連サイト https://honmonji.jp/oeshiki/index.html
https://honmonji.jp/outline/gyoji.html
この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
1969年,東京生まれ。ライター。写真家。美術家。masART STUDIO主宰。東京の郊外を拠点に活動。Webメディアで執筆の傍ら,人工構造物をモチーフとしたフォトモンタージュ作品を制作する。目標は,ダイエットと,ITリテラシーを高めること。

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