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山開き・開山祭とは?2022年の富士山はいつ?「富士塚」にも山開きがある!?

2022/6/30
2024/3/8
山開き・開山祭とは?2022年の富士山はいつ?「富士塚」にも山開きがある!?

明日から7月。夏本番がやってくるということは、本格的な登山のシーズン=夏山シーズンの始まりです。高山帯の雪もいよいよ溶ける季節になり、登山好きの方は秋までにどこの山に登ろうか、計画にもいっそう熱が入っていることと思います。

一般の登山者の入山期間が始まるときには「山開き」や「開山祭」が各地で行われますが、これにはどんな意味があるのでしょう?また、人気の高い富士山の山開きや開山祭はいつ、どんなものがあるのか?さらには「富士塚の山開き」まで、この記事では山開きや開山祭にまつわる話題をお届けします!

山開き・開山祭とは?

特に日本では、山は古くから信仰の対象として崇められてきました。豊かな自然の恵みへの感謝、噴火など災害への畏怖、堂々たる峻険な山容への畏敬の念。それらから、山は神や精霊が降り立ち宿るご神体そのものとして神格化され、祭祀が行われるようになり山岳信仰が発展していったのです。

そして祭場や寺社、ほこらなどがつくられ、修験者や山伏が厳しい修行をする神聖な霊山となった山には、長らく限られた人しか入れませんでした。しかし、近世になると一般の人も修行や登拝のため、一定期間は山に入ることが許されるようになります。そこで期間の初日に、山の神様に入山許可を得て安全を祈願する儀式として「山開き」が行われるようになりました。

 

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現代はレジャーとしての登山が盛んです。信仰としての意味はだいぶ薄れてきましたが、その年も山に入れることを祝い、登山者の安全を祈願する神事が各地で「山開き」や「開山祭」の名で行われています。

中には楽器の演奏でお祝いしたり、ご当地グルメが振る舞われたり、記念品がもらえたりとイベント色の強い開山祭も。山開きの日に集まった登山者が未明から登山を開始し、一緒に山頂でご来光を拝む山もあります。

山開き・開山祭はいつ行われる?

山開きや開山祭は、暖かくなって登山道から雪や氷がなくなり、安全に歩行がしやすくなる時期に行われます。山の立地や標高などによって異なり、早い所では3月末、日本一高い富士山(標高3,776m)では例年7月上旬です。

一般的には標高が高かったり、北にある山のほうが雪が消えるのが遅いため、山開きの日程は遅くなりますが、その年の気候によっても変動します。

逆に秋~冬が近づくと、登山道沿いの売店は閉じ、山小屋は小屋閉めが行われて閉山期に入ります。その際に「山じまい(仕舞い・終い)」や「閉山式」といった神事や行事を行う山もあるようです。

閉山期間には、その山にアクセスするための公共交通機関が運行休止となったり、登山口に通じる道路のゲートが封鎖されたりします。そしてまた翌年の山開きを待つことになりますが、例えば高尾山など、低山で通年誰もが登れる山はこの限りではなく、開山・閉山期間という区別もありません。

ではここからは、有名な山の山開きや開山祭の時期と内容を、直近の例でみてみましょう。

◎白山、立山

富士山と並び「日本三霊山」とされるのが石川県と岐阜県にまたがる白山と、富山県の立山で、いずれも例年7月頭に山開きが行われます。

白山では昨年は7月1日が山開きで、白山比咩神社の奥宮祈祷殿で朝から開山祭の神事が営まれました。権禰宜らが登山の無事と疫病退散を祈ると、登山者たちは新型コロナ対策で社殿の外から手を合わせたそうです。

同様に、立山の主峰・雄山の山頂にある雄山神社峰本社でも、7月1日朝に登山者の安全を祈って開山祭の祈祷が執り行われました。

◎御嶽山

2014年の噴火の記憶も新しい岐阜県と長野県にまたがる御嶽山では、昨年は7月10日に、長野県王滝村の王滝頂上にある奥社で噴火後初めての開山祭が開催されました。神職や氏子の方15人ほどが参列し、山の平穏と繁栄を祈ったそうです。

また、2022年6月7日には、噴火の犠牲者の慰霊と山の安全を祈願して、御嶽山の岐阜県側の登山口がある下呂市で神職による「山開き式」が行われました。

 

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◎大山(だいせん)

鳥取県の霊峰大山では、例年6月初週の週末に「大山夏山開き祭」が開催されます。その前夜祭では、かつて「火神岳(ひのかみだけ)」と崇められた大山にふさわしく、約2,000人が参加する迫力満点の松明行列が行われます。

一般参加も可能な「神の火」を持つ人々が、神事を終えた社殿からて参道を練り歩いていく様は、まさにたった一日だけ流れる炎の河です。昨年、今年と残念ながら中止となってしまいましたので、来年こそは開催を期待したいですね。

◎白馬連峰

長野県の白馬連峰では、例年5月下旬に開山祭を実施。2022年は5月28日に「第56回貞逸祭・白馬連峰開山祭」が行われました。

お楽しみ満載なこのイベントには、多くの登山客が来場。オープニングのアルプホルンの演奏に続き安全祈願が行われ、その後は、地元ガイドが同行する白馬大雪渓への記念トレッキングに出発していきました。他にも1泊2日の白馬三山縦走登山ツアーや白馬岳山岳スキーツアーも行われたそうです。

 

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富士山の2022年の山開きと開山祭

山開きといったら、やはり気になるのは富士山ではないでしょうか。「一生に一度は登ってみたい」とよく言われる富士山ですが、主な登山ルートは山梨県側に1つ、静岡県側に3つの計4つあります。

山開きの日程はルートによって異なり、その年の気候や登山道の状況にも左右されるため6月末~7月初めに公表されるのが通例です。2021年の開山期間は以下でしたので、2022年も同様の時期が予想されています。

山梨県側:吉田ルート…7月1日に山開き~9月10日に山じまい
※6月28日に山開きの日にちは確定し、公表済みです。
静岡県側:須走、御殿場、富士宮ルート…7月10日に山開き~9月10日に山じまい
山頂お鉢めぐり(火口の周りの周遊ルート):7月10日~9月10日

富士山の山開きに合わせ、周辺の神社では開山祭を行うところもあります。
例えば、富士山吉田ルートの起点となる五合目に鎮座する冨士山小御嶽神社では、神輿の渡御は中止となりますが、鳥居に設置されたしめ縄をてんぐが断ち切る「道開き」の神事が7月1日に行われます。

山梨県富士吉田市の北口本宮冨士浅間神社では、山開きに合わせて6月30日、7月1日に開山前夜祭・開山祭が行われます。神事のほか冨士講パレードや神楽の奉納も行われる予定です。

静岡県富士宮市でも7月10日に「富士山お山開き」を行い、富士山の開山を祝います。富士山浅間大社では湧水の献上、富士山開山式典のほか、富士開山日限定の特別御朱印も。
村山浅間神社では富士山入山式、護摩焚き神事などが行われ、神田川ふれあい広場では夜から手筒花火が奉納されます。詳しくはこちらのページなどでご確認ください。

 

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富士塚にも山開きや開山祭があるってホント!?

「富士塚」をご存じですか?富士塚とは、いわゆるミニチュアの富士山のことで、富士塚に登ると「実際の富士山に登ったのと同じご利益がある」といわれています。

江戸時代に、富士山をご神体として崇め、グループで登拝におもむく「富士講」が流行しました。しかし誰もかれもが富士山には行けない時代。行きたくても行けない人のために、江戸や関東に多くの富士塚が築かれました。

富士塚は現在も各地の神社の境内などに残っていて、そのいくつもが指定重要有形民俗文化財にも認定されています。

◎山開きの時しか登れない富士塚3選!

ここでは、毎年、富士山の山開きに合わせて開放される都内の富士塚を3つご紹介します!

●小野照崎神社:下谷坂本富士(練馬区)
1828年に築かれた、富士の溶岩石でできた富士塚です。今年は6月30日に神事が行われる予定で、富士塚の登拝が可能な時間は、6月30日は11時~17時、7月1日は10時~17時となっています。特別御朱印の頒布も予定されているので注目ですね。

 

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●茅原浅間神社:江古田富士(台東区)
1839年に築かれ、関東大震災で損壊した後に復旧されました。毎年7月1日に開山祭が行われ、富士塚が一般開放されます。

 

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●高松富士浅間神社:高松富士(豊島区)
1862年に、富士講の一派である月三講(椎名町元講)の人々によって築かれたと伝わります。毎年、7月の第1土曜日、日曜日に山開きの神事が行われて開放されるのですが、今年2022年は新型コロナウイルスの影響で登拝は中止となってしまいました。来年に期待しましょう!

 

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まとめ

山開きや開山祭は、本格的な登山シーズンの訪れを祝うとともに、安全を祈願する大切な行事です。
今年は山開きや開山祭の行事に参加したり、富士塚に登ってみてはいかがでしょうか。改めて自然や山への感謝の気持ちを感じるとともに、新しい発見がきっとあるはずですよ!

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