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「三崎の道寸祭り」人馬一体、熱砂を駆ける|観光経済新聞

「三崎の道寸祭り」人馬一体、熱砂を駆ける|観光経済新聞

2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2021年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)

人馬一体、熱砂を駆ける

歴史クイズです。その昔、武士の嗜みとして推奨された弓馬術といえば、流鏑馬(やぶさめ)、犬追物、あと一つは? 答えは、そう。笠懸(かさがけ)。馬を一直線に走らせて鏑矢(かぶらや)で的を射る流鏑馬に対し、笠懸はより実践的な形式で的を射る競技で、流鏑馬に比べて余興的要素も強かったそうだ。今回は三浦半島の三崎口で行われる道寸祭りの笠懸をご紹介しよう。

三浦半島の先端部、三崎口の油壷にある荒井浜海岸では豪雄でならし、あの北条氏と激戦を繰り広げた三浦一族とその頭領をしのび、道寸祭りとして毎年笠懸が開催されている。三崎口駅からバスで15分、さらに徒歩5分ほどで会場の荒井浜海岸に到着した。当日は30度を超える真夏日。司祭の祝詞に続いて伝統武芸を保存する大日本弓馬会の皆さま方々が来場してきた。

ここで今回のコースを説明しよう。通常の流鏑馬が一直線のコースを駆けながら的を狙うのに対し、今回はゆるやかなカーブを描く海岸沿いのコースを往復しながら的を狙う。流鏑馬に比べて難易度が高いことは素人目にも一目瞭然。足が沈む砂場での滑走に、心なしか騎馬も興奮気味のようだ。

今か今かと待っているとついに騎馬が走り始めた。疾走に伴い宙に巻き上がる砂じん。勝負は一瞬。熱気を切り裂き矢が放たれたと思われた刹那、快音とともに的が砕けた。

その神業とも言える弓術に思わずため息がもれる。馬は大迫力の道産子から小柄な軽快な木曽馬、射手も狩衣の似合うイケオジから精悍(せいかん)な姫武者まで、さまざまな騎馬武者が目の前を駆けていく。道寸祭りは三浦一族のお家芸であった笠懸を披露する場とする祭りであった。

祭りは、滅びてしまった一族の武芸を後世に伝え続ける真空パックの役割を果たしているとも言えよう。道寸祭りは例年5月の最終週土曜日に開催。「馬好き」「武者好き」は行ってみては。

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この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
奇祭ハンター、美酒ナビゲーター。「毎月奇祭」を目標に奇祭旅を行い、お祭りやお酒の情報を挙げています。今までに50以上の奇祭を巡り、600種類以上の日本酒を飲酒。祭りがないときは大体、酒飲んでます。

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