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童舞「胡蝶」を大人でも舞える女人舞楽・原笙会

童舞「胡蝶」を大人でも舞える女人舞楽・原笙会

雅な文化や民俗風習、舞が大好きなカメラマン佐々木です。
希少な文化を記録に残したい!と、「女人舞楽・原笙会」のスタジオ撮影を行いました。
普段、なかなか知ることのない舞楽についてシリーズでご紹介いたします。

↓ 雅楽の基本知識や原笙会についてはこちらをご参照ください ↓

女人舞楽・原笙会「柳花苑」幻の舞が復活!

◆童舞「胡蝶」

通常「胡蝶」という曲は童舞(わらわまい)で子供が舞う曲。
原笙会以外では大人が舞うことはあまりありません。


写真:平安雅楽会奉納「胡蝶」 石清水八幡宮 石清水祭にて撮影

◆装束の特徴


左舞「迦陵頻」藤森雅楽会藤森神社 節分) / 右舞「胡蝶」平安雅楽会下鴨神社 観月祭)

日本から大陸に向かって左の方にある中国の系統は「左舞(さまい)」と呼ばれ、赤系統の装束を着ます。
右の方にある朝鮮半島の系統は「右舞(うまい)」と呼ばれ、青(緑)系統の装束を着ます。

左舞「迦陵頻(かりょうびん)」の答舞(とうぶ…左舞の対になる右舞)が「胡蝶」です。

頭と右手には山吹の花。
胡蝶の羽根は各舞楽団体様々ありますが、この優しい配色の羽根は原笙会創設者の原笙子先生によるデザインです。

◆原笙会の生川純子先生による「胡蝶」解説

それでは生川先生にわかりやすく「胡蝶」の解説していただきます。

源氏物語の巻の名にもなっているこの舞は、迦陵頻と対比して
「蝶は まして はかなきさまに飛び立ちて、山吹の籬のもとに咲きこぼれたる花の蔭に舞ひ出ずる」と描写されています。

この曲は、延喜6年(906年)勅命に依り、山城守藤原忠房が作曲、舞は敦実親王の御作。
銀色の天冠に山吹の造花を挿して蝶の作り羽根を背負い、手には山吹の花を持って舞います。
女人舞楽では「胡蝶に始まり胡蝶に至る」と捉えて励む、右方舞基本型が凝縮した優雅で可愛らしい舞です。

ー生川先生、解説ありがとうございます!
春の野に舞っている蝶の姿が思い浮かぶ、「胡蝶」は子供らしい可愛らしい舞ですね。

◆佐佐木源氏発祥の地「沙沙貴神社」と「胡蝶」

滋賀県安土に鎮座する沙沙貴神社で10月第二日曜に行われる「近江源氏祭」。

「胡蝶」は宇多上皇が童相撲(わらわ/わらべ ずもう)をご覧になる際に作られた曲。
この沙沙貴神社には宇多上皇・敦実親王が神様として祀られています。
佐佐木源氏の御先祖でもあり、「佐々木」さんにはご縁のある胡蝶です。

胡蝶の舞を奉納した原笙会の舞人にお伺いしたところ、この舞に縁の深い場所で舞わせていただくため、間違えないように練習の上に練習を重ねてきたのだそうです。
原笙会が通常、子供が舞う「胡蝶」を大人が舞っているのにはこのような理由もあり、みごたえのある舞を心がけているのだと分かりました。

◆日本画家 中田文花さんの描く「胡蝶」

実はこの原笙会の「胡蝶」の撮影モデルは日本画家の中田文花(もんか)さん。
日本画家だけではなく、漫画家であり造形作家、舞楽舞人で尼僧(華厳宗)、そして歌人です。

お描きになった日本画を見ると子供の舞だけれど胡蝶の装束が着てみたい!というのも分かります。

天王寺舞楽 の胡蝶の木彫彩色を作成したものを見ると、原笙会と羽根の彩色の違いがわかりやすい。

中田さんからもコメントをいただきました。
「子供の舞う可愛いらしさには勝てませんが、右舞の基本をしっかり習得した舞をご覧いただけるので、大人の胡蝶もいいものです。
大人の女性も舞えるといっても、やはり『胡蝶』は背が低めで若い方が向いています。
今回は子供の舞人さんの都合が悪く、年齢高めですが、たまたま胡蝶の復習をしていた私がモデルをすることになりました。
絵描きのこだわりで絵巻に描かれているような[下げみづら]を特別に結いました。」

原笙会では装束体験ができます。
兵庫県芦屋市にお越しの際にはぜひ体験してみてくださいね。

女人舞楽・原笙会
〒659-0015
兵庫県芦屋市楠町14-20-115
TEL/FAX 0797-23-1886
http://www7a.biglobe.ne.jp/~gagaku/


撮影協力:7studio京都

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
毎日「京都散歩の旅」なカメラマン。
奈良・吉野アンバサダー。観光経済新聞、楽天トラベル等を執筆。聖地と舞が好き。民俗芸能や瀬織津姫研究中。
instagram @kyoto.photographer
https://earth-traveler.com/

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