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「染井よしの桜まつり」ソメイヨシノ誕生の地に染み渡る江戸時代の植木職人の息遣い

更新日:2020/5/20 obaq
「染井よしの桜まつり」ソメイヨシノ誕生の地に染み渡る江戸時代の植木職人の息遣い

数え切れない品種をもつ桜の中で最も多く育てられるソメイヨシノ

季節の花の中で日本人に最も愛されているのは桜でしょう。ニュースなどで桜の開花を耳にすると、わくわくしながら花見の計画を練るものです。桜には数え切れない種類がありますが、国内で最も多く植えられているのはソメイヨシノでしょう。このソメイヨシノが産まれたのは、現在の東京都豊島区駒込と伝わっています。JR駒込駅周辺には数多くのソメイヨシノが育ち、例年3月下旬から4月上旬にかけて駒込の町を彩ります。染井吉野桜記念公園を中心に毎年、見頃時期に合わせて「染井よしの桜まつり」が開催され、2019年には4月7日に行われました。

国内で最も多く植えられている桜のソメイヨシノ

国内で最も多く植えられている桜のソメイヨシノ

江戸時代には染井と呼ばれていた駒込で産まれたソメイヨシノ

現在の駒込のエリアは、江戸時代には染井と呼ばれていました。ここに植木職人が数多く集まり、植木屋が軒を連ねていたのです。江戸時代の末期にオオシマザクラとエドヒガンを交配することによってソメイヨシノを産み出しました。誕生から明治時代初期にかけて吉野桜の名で全国各地に販売しましたが、奈良の吉野山の山桜と区別するため、新しい品種の誕生地である染井を冠して「ソメイヨシノ」と呼ばれるようになったのです。JR駒込駅前の広場は、染井吉野桜記念公園と呼ばれ、桜の里の碑が立てられています。

染井吉野桜記念公園

染井吉野桜記念公園

染井吉野桜記念公園に立つ桜の里の碑

ソメイヨシノ誕生の歴史が隅々にまで染み渡る駒込

染井吉野桜記念公園から北西に数百メートルの駒込6丁目には、染井よしの桜の里公園が整備されています。園内には染井よしのの誕生について紹介するパネルが設置されています。

染井よしの桜の里公園

染井よしの桜の里公園

染井よしの桜の里公園に設置される染井よしのの誕生について紹介するパネル

染井よしの桜の里公園からさらに北西数百メートル、駒込5丁目の染井霊園には、約100本の桜が並木を作っています。代々、伊藤伊兵衛の名で植木業を営んだ伊藤家は、染井霊園の北東に居住していたと伝わります。

染井霊園

伊藤伊兵衛の墓が立つ駒込6丁目の西福寺は、江戸時代から染井の植木職人たちの菩提寺となっていました。周辺に育つソメイヨシノは職人たちの霊を慰めているようです。

染井の植木職人たちの霊を慰める西福寺を囲むソメイヨシノ

他にも、駒込小学校、染井神社、妙義神社などにも数多くのソメイヨシノが育ち、駒込の町全体に新しい桜の誕生の地としての情緒を漂わせています。

駒込小学校

駒込小学校を囲むソメイヨシノ

駒込小学校に接する公園

染井神社

染井神社を囲むソメイヨシノ

妙義神社

数え切れない品種をもつ桜の中で、国内で最も多く育てられるソメイヨシノは、現在の東京都豊島区駒込で誕生しました。江戸時代には染井と呼ばれていた地域には数多くの植木職人が暮らし、幕末にソメイヨシノを産み出したのです。JR駒込駅前の染井吉野桜記念公園を中心として、駒込のエリアのいたる所にソメイヨシノが植栽され、町全体に新しい桜の誕生の地としての情緒を漂わせています。

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
2010年より旅行系のフリーライターとして各種メディアで記事の執筆を行っております。「おまつり」には各々の地域の歴史や伝統、文化が凝縮しています。関東地方で開催されている「おまつり」を中心に、その魅力を紹介して参ります。

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