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「マダラ鬼神祭」煙が立ち込める中、鬼が踊り狂う|観光経済新聞

更新日:2021/11/19 稲村 行真
「マダラ鬼神祭」煙が立ち込める中、鬼が踊り狂う|観光経済新聞

2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2021年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)

煙が立ち込める中、鬼が踊り狂う

茨城県桜川市の奇祭「マダラ鬼神祭」では、白馬にまたがる鬼が石段を駆け上がり、炎が燃え盛る中で激しく舞う。この祭りの迫力を現地で体感したいと思い、2021年4月11日に桜川市の雨引観音に向かった。

山門をくぐると観音堂に続く長い石段があり、すでに多くの見物客が訪れていた。午前11時ごろ、静かにマダラ鬼神が白馬に乗って石段を登ってきた。普段は見慣れない馬と鬼の組み合わせに息を飲んだ。その後、観音堂では煙が立ち込める中で鬼が踊り狂い、異様な光景が広がっていた。まさに「奇祭」と呼ぶにふさわしいお祭りだった。

なぜこのようなお祭りが始まったのだろうか。

マダラ鬼神祭の由来といわれているのが、室町時代(1472年)の長尾景信と古河公方足利成氏(しげうじ)の争いにさかのぼる。この争いにより山は炎上したが、本尊である延命観世音菩薩は難を避けられた。それから数日後、覆面をした鬼形の職人たちが毎晩現れて、仮本堂の制作を始めたという。その職人たちを統率したのが白馬にまたがる鬼神で、地域の人々は「これぞまさに天竺のマダラ鬼神だ」と噂したのだ。この出来事を起源として、少なくとも江戸時代にはこの祭りが行われていたといわれる。

お祭りの後は雨引観音の境内やその周辺を散策してみた。マダラ鬼神祭の日程は、桜の開花時期と重なる。境内各所に美しい桜が見られ、晴れやかな気持ちになった。観音堂の横に植わっている桜は特に大きく、白色の美しい花を咲かせていた。

また、駐車場の横にはずらりと屋台が並んでいた。大判焼きやバナナチョコレート、焼きそば、煮イカなどもあった。青竹製品のお店もあり、地域の民芸品や春らしくたくさんのタケノコも並んでいた。

マダラ鬼神祭は例年4月第2日曜日に開催する。ぜひ来年以降、気軽に足を運んでいただきたい。

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この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
日本全国500件以上の獅子舞を取材してきました。民俗芸能に関する執筆、研究、作品制作等を行っています。

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