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メンドン、ユネスコ登録来訪神と知る島文化

更新日:2024/3/5 鹿ちゃん
メンドン、ユネスコ登録来訪神と知る島文化

メンドン、来訪神って何だろう?

 鹿児島県三島村、霧島火山帯に沿って噴出した海底火山の1つとして知られる薩摩硫黄島には、旧暦8月1日と2日(2019年開 催日8/30,31)両日にかけて行われるお祭があります。近年では、来訪神“メンドン”がユネスコ無形文化遺産に登録され、注目を 集めており、秋田の“ナマハゲ”と共に知る方も多いと思います。

来訪神とは、年に一度、決まった時期に人間の世界に来訪するとされる神様(またはその使い)のことで、硫黄島では八朔太鼓踊りと呼ばれる伝 統的な踊りと共に姿を表します。

奇妙な姿をしたメンドンは強烈な見た目のインパクトと、どこか愛嬌のある動きで人気を集めており、メンドンに会いたくて 硫黄島を訪れる観光客も増えています。お祭の当日は、三島村観光案内所が企画している三島村ツアーがあり、事前に予約す ると交通や宿泊、食事の手配、またお祭以外のイベントにも参加できるプランが組まれており、島への旅が初めての方や民俗 芸能を初めて見る方も、安心してお祭を楽しむことができます。

現地に着いたら、熊野神社へお参り

 お祭が始まる前に、熊野神社へ行くと面が奉納されていました。 島の力強い自然に囲まれた神社には神秘的な空気がたたずみ、その静けさに気が引き締まります。人影のない神社に奉納さ れている面は、身につけている時とは様子が違い、息を飲むような魅力があります。神様に会うためのお祭であることを再確認しました。

当日の様子

八朔太鼓踊りの魅力を体感しよう

 夕方になると熊野神社前の広場には矢旗(やばた)を背負った踊り手が集まり、鉦叩き(かねたたき)とよばれる唄い手を囲み、 掛け声と共に太鼓を叩きながら踊り始めます。これを八朔太鼓踊りと言い、現在鹿児島県指定無形文化財に登録されていま す。
八朔踊りは迫力のある勇ましい踊りで、1時間以上ゆるぎなく踊り続ける力強さは圧倒的です。

 メンドンは八朔踊りが始まると神社の奥から1体走り出てきて、踊り手の周囲を3周します。1体が去った後、他のメンドン が次々と走り出てきて、手に持っている神木で叩きにきます。叩かれると魔が祓われて良いと言われています。メンドンが走 り回っている間も八朔踊りは続き、日が沈む頃に祭が終わり翌日へと続いていきます。2日目は島中を練り歩き、悪霊を海に 捨てる“タタキ出し”が行われます。

秘湯

 メンドンで有名な硫黄島でありますが、実は秘湯を持つ島でもあります。硫黄島の温泉はミョウバンが多く非常に泉質が良 いそうで、硫黄岳のむもと海辺にある天然温泉「東温泉」や石積護岸の内側にあるコンクリート製の露天風呂「坂本温泉」な どがあります。 海の所々から温泉が湧き出ているため、時々海がオレンジ色に染まる不思議な光景を見ることができます。

 フェリーの本数に限りがあるため日帰りはできませんが、お祭の前後に秘湯巡りや硫黄島の大自然を楽しみ、思う存分リラッ クスして帰るのもおすすめです。

旅の計画や宿泊状況

 メンドンで人気を集め有名となった薩摩硫黄島でありますが、現在島の人口は128人と少なく、年々減少している実情があ ります。島の民宿には限りがあり、お祭の日はすぐに民宿が埋まってしまいます。島には民宿以外に食事ができる場所がない ため早めに民宿の予約をとることをおすすめします。

 お仕事の事情で早めに民宿の予約ができない方や、民宿は埋まってしまったがやっととれたお休みどうしても硫黄島のお祭 がみたい!と言うそんな方には、、、

 キャンプ!おすすめします。

お祭当日は特別に島の野外広場にテントが立てられます。芝生の広場には公衆トイレと水道が1つあります。元々キャンプ 場ではないので洗い物をしたり火を使うことはできませんが、お祭は夏場なのでお水を入れるだけで食べられる「アルファ 米」で出来た簡易食品などを買って行くと食事に困りません。アルファ米は登山用品店やネットで購入できるので、ゼリーや バナナなどと合わせて持っていくと安心です。 島料理は楽しめませんが、夜には手に届きそうなほど近くに感じる満天の星空が見えます。キャンプに慣れていない方や苦 手な方は1日だけキャンプをして、翌日は隣の島、竹島や黒島へ行き民宿に宿泊するプランもおすすめです。 お祭の期間、竹島や黒島は比較的硫黄島の民宿より予約が取りやすくなっており、竹島や黒島へはフェリーで移動が出来ま す。フェリーの運航表を見て島巡りのプランを立てて見るのも良いかもしれません。時間や運航表の見方が解りずらい場合 は、三島村役場に問い合わせると詳しいことを教えてもらえます。

 鹿児島県三島村、薩摩硫黄島。メンドンに会ったら、世界が少し広く感じます。

 良き、夏の旅にどうぞ。

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
写真家として、日本中のお祭を撮りながら旅をしています。

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