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起源は江戸時代!福島県の岩瀬地区に残る貴重な文化、復興・開運・厄祓いの長旗花火。

2019/2/5
2020/5/19
起源は江戸時代!福島県の岩瀬地区に残る貴重な文化、復興・開運・厄祓いの長旗花火。

全国的にも珍しい長旗花火が打ち上がる福島県須賀川市の岩瀬地区。別名つるし花火とも呼ばれており、昼間に打ち上げる花火になります。長さ150cm、幅30cmの和紙に祈願者名と祈願内容を書き、落下傘に吊るして、4号玉(直径約12cm)に詰めて打ち上げます。毎年1月中旬に行われ、主に厄年の人が花火を打ち上げ厄払いをする地域に残る伝統行事です。開催場所は、いわせ地域トレーニングセンターになります。

起源は江戸時代頃と言われており、岩瀬地区に小規模ながら残っていたものを平成11年に岩瀬商工会青年部が“開運・厄払い花火”として復活させました。前年の11月頃からの申し込みで長旗に記入する名前や祈願内容を伝えます。祈願内容は厄祓い・開運・その他の最大3つまで選ぶ事ができ、今年は137名もの祈願者がいたそうです。

花火を担当するのは須賀川市の糸井火工になります。会長の糸井一郎氏は商工会の会長、代表取締役の糸井秀一氏は商工会青年部の部長も務めており地域にも密接に関わっています。また、この地域で秋に開催されるいわせ悠久まつりはクオリティの高い花火が見られ、全国各地から花火好きが集まる内容で有名です。

当日のスケジュール
午前8時20分(集合)
午前8時30分(御祈祷)
午前8時50分(開会式)
午前9時00分(打上げ)
午前10時30分(終了)

まず長旗花火を申し込んだ人は、トレーニングセンターで受付を済ませます。打ち上げ終了後には、守り玉(花火玉のレプリカ)を記念品として貰えるので、その引換券を受け取ります。

来場者も続々と集まって来ると、8時30分からは御祈祷の儀式が行われます。祭壇にはお神酒、大根、林檎、米などが供えられ、神主により祝詞(のりと)が読まれます。来場者も一緒に五穀豊穣や家内安全などの祈りを捧げます。

その後は開会式として、須賀川市長や商工会よる御挨拶。商工会の挨拶では花火屋としても長旗花火の由来など話してくださり、また長旗花火は岩瀬商工会青年部の地域に根付いた事業である為、会社としての利益にはならないが、我々花火屋の仕事を住民に理解して貰える大切な場所だとも仰ってました。平成11年から始まり今回で21回目になる長旗花火は東日本大震災以降は復興の願いも込められる様になったそうです。

午前9時00分より、隣のグラウンドから打ち上げ。10名ずつ名前が呼ばれ、4号玉が5発ずつ打ち上げられます。風が強かったので長旗もかなり流されてしまい、回収する人達は大変そうでした。場合によっては木に引っかかってしまい回収不能になる事もあるので申込者には予め了承して貰っています。

最後の10発は5円玉を各40枚ほど詰めた花火を打ち上げ、来場者が打ち上げ現場に拾いに行く行事があります。これは、来場者も花火を見るだけでなく参加して欲しいとの思いから2年前より始められた企画だそうです。花火の爆発で5円玉が曲がったりしないかなと思っていましたが、無事に包み紙も燃える事なく原型を保っていました。バッチリ拾う事ができたので、今年は良い御縁に恵まれるかな?

通常、一般の人は打ち上げ直後の現場は入る事が許されません。5円玉を拾いに行くと言う特別な企画があるからこそ入れる訳で、特に普通は夜の現場なのでどこに不発玉があるのか分かりません。戦場さながらの打ち上げ現場はかなり過激な映像でした。改めて火薬は危険物である事を思い知らされました。

打ち上げが終了すると、トレーニングセンターの受付に引換券を渡すとそれぞれの祈願内容が書かれた守り玉を渡されます。また回収された長旗も集められるので、どうしても持って帰りたい人は自分の物であれば持って帰る事も可能です。しかし、本来は厄除けとして打ち上げられたものなので、そのまま置いて帰り、厄払いをして処分して貰った方が良いそうです。

今回のまとめ

今回の取材は、運営側でもあり花火師側の人でもあると言う珍しい状況でした。以前から知っている方でしたので、何でも気軽に答えてくださり大変ありがたかったです。

また、申し込み者と同時に観覧者も増えているので、色付きの煙にするなど飽きさせない工夫も必要だなと今後の豊富もお聞きできました。

昔は全国各地で行われていた長旗花火ですが、都市化が進み電線に引っかかるなどの理由から打ち上げ場所が限られ次第に少なくなってしまいました。昼花火自体も日本では極わずかな地域でしか見られません。こうした価値ある行事は未来に残すべき大切なものである事を感じました。

取材協力 有限会社糸井火工・岩瀬商工会 糸井一郎様 糸井秀一様

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