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護摩の炎で身も心も清める!秩父長瀞火祭りで春の訪れを感じよう

2023/2/28
2023/2/28
護摩の炎で身も心も清める!秩父長瀞火祭りで春の訪れを感じよう

真っ赤に燃え盛る炎の上を裸足で渡り、世の中の災難と障害を焼き滅ぼす。火渡荒行で有名な「長瀞火祭り」は、秩父地方の伝統的な祭礼の一つです。

古来より人々の信仰を集めてきた秩父の地で行われる火祭りには、どのような背景があるのでしょうか。この記事では、株式会社長瀞不動寺奉賛会代表取締役にして、宝登山ロープウェイを運営する宝登興業株式会社会長を務められている里見英雄さんにご協力いただき、長瀞火祭りの魅力を紹介するとともに、秩父の地域で育まれてきた豊かな文化と精神について紹介します。

護摩の浄火が冬の終わりと春の訪れを告げる!迫力ある大練行も見どころの一つ

燃え盛る護摩の炎は天まで届く勢い。災厄や煩悩を焼き尽くす迫力です。

「長瀞火祭り」は、宝登山ロープウェイ宝登山麓駅そばにある真言宗長瀞山不動寺で行われる祭礼です。メインはなんといっても修験者による火渡り荒行。天にも届くほどの大きな炎の中へ護摩札を抱えた修験者が気合とともに飛び込んで行く様は見るものを圧倒します。

また、宝登山神社前ロータリーから火祭り会場に向かう大練行は一見の価値あり。大勢の修験者が唱えるお経が宝登山に響き渡り、身も心も清められていくのを感じることができるでしょう。

2021年、2022年は新型コロナウイルス感染症の影響で規模を縮小しての開催でした。残念ながら今年も、獅子舞や秩父屋台ばやし、抜刀術などの付け祭りは行われませんが、一般参拝者による火渡りが3年ぶりに実施されるので、盛り上がり間違いなしですね!

火渡荒行ってどんな修行?

火渡荒行は、古くから修験道(山伏)に伝わる秘法です。
野外で行う大規模な護摩法要を「柴燈大護摩供(さいとうおおごまく)」または「大柴燈護摩供(だいさいとうごまく)」と呼び、火渡荒行ではここで焚かれた炎の上を渡り、宝福招来・開運厄除・家庭の興隆・無事故安全等のご加護をお祈りします。

柴燈大護摩供は真言宗の開祖である空海の孫弟子にあたる聖宝理源大師が初めて行ったといわれています。柴燈大護摩供と火渡荒行は必ずしもセットで行われるわけではありませんが、どちらも真言宗系の寺院を中心に実施されています。
長瀞火祭りでも、真言宗醍醐派別格本山品川寺(ほんせんじ)や京都伏見総本山醍醐寺など真言宗の修験者たちが一堂に会して、柴燈大護摩供と火渡り荒行を奉修します。

修験者たちは燃え盛る炎の中を裸足で渡るので、精神を集中させ気合いを込めなければなりませんが、一般参加者が渡る際はおき火や灰を整備してくれるそうなのであまり熱さは感じないのだとか。しかし、ありがたい護摩の炎の上を渡ることで、体も心も清めていただけそうですね。

長瀞火祭りはどのように始まった?

秩父地方の山間の村々では、独自の信仰が静かに伝えられてきた。

里見さんによると、長瀞火祭りは、もともと秩父地方で育まれた信仰行事「火祭祈願」を再興したものだそうです。秩父地方は古くから信仰が盛んな地域で、たくさんの聖地が伝えられています。山に囲まれた地域に小さな村々が点在しているので、それぞれの村ごとに神社と信仰が生まれ、大切に守られてきたのです。

三峯神社、寶登山神社、秩父神社の「秩父三社」や、百観音霊場に数えられる「秩父三十四ヶ所観音霊場」などは地元だけでなく遠来の人々からも信仰されてきました。また、全ての霊場が約100kmと比較的まとまった範囲内にあり、江戸から近かったことも多くの巡礼者が訪れた理由の一つです。静かな山村風景と豊かな自然の中に、神仏を想う気持ちが息づいている土地といえるでしょう。

そんな秩父地域の魅力を観光と結びつけるために、伝統と信仰を盛り込んで生まれたのが長瀞火祭りです。第1回火渡荒行が実施されたのは昭和50年3月。当時は秩父市黒谷「瑞巌寺不動尊前」で行われ、参加者400人~500人ほどの小さなお祭りだったそうです。

その後、昭和53年秩父札所午歳総開帳の年に、開催場所を現在の宝登山ロープウェイ駐車場に移しました。広い場所が確保できたことによりお祭りの内容は充実し、総本山醍醐寺座主をお迎えした柴燈大護摩火渡荒行が盛大に執り行われるようになりました。

長瀞火祭りは今年で46回目を迎え、今や秩父地方有数の春祭りとして定着しています。

長瀞火祭り(ながとろひまつり)
開催日:3月5日(日)
時間:火渡荒行奉修は13時よりスタート
場所:長瀞不動寺(埼玉県秩父郡長瀞町大字長瀞1753) 宝登山山麓火祭り広場 ※宝登山ロープウェイの駐車場がメイン会場です
参加費:無料

長瀞火祭りの舞台「宝登山」には魅力がたくさん!

山頂からは、秩父地方一帯が大パノラマで見渡せます。

長瀞火祭り会場から歩いてすぐの場所には宝登山ロープウェイ宝登山麓駅があります。宝登山は標高500メートルに満たない山なので、徒歩でも2時間〜3時間で往復することができますが、ロープウェイを使えば山麓駅から山頂駅まで約5分間です。

散歩やちょっとしたハイキングをするのにちょうど良く、さまざまな年齢の方が楽しめる場所としておすすめです。長瀞火祭りに訪れたら、宝登山を楽しんでみてはいかがでしょうか。里見さんに宝登山の見どころを聞いてみました。

パワースポットとして聖地・宝登山を巡る

宝登山は長瀞の街なかから仰ぎ見ることができる、秩父山塊では珍しい独立峰。その神秘的な姿を見ると、古くから山岳信仰の対象とされてきたのも納得できます。伝説によると日本武尊(ヤマトタケルノミコト)もその山容の美しさに惹かれて山頂を目指したといいます。

宝登山神社の縁起によると、日本武尊一行は登山の途中で山火事に遭い、窮地に陥りました。その時どこからともなく現れた神犬たちが火を消し止め、一行を無事に山頂に案内したそうです。日本武尊は、この山を「火止山(ほどやま)」と名付けて山頂に神々を祀りました。これが宝登山神社のはじまりです。

つまり、宝登山神社は1900年もの長い歴史を持つということですね。平安時代に「宝珠が輝き飛翔した」という変異が起こったことから名前が「宝登山」と改められました。火災や盗難を防ぐというご利益はもちろん、名前の縁起の良さから金運アップのご利益も期待できそうですね。

山麓にある社殿は江戸時代末期に建て替えられたもので、ご鎮座1900年記念事業により彩色され、きらびやかに生まれ変わりました。華やかさと荘厳さを備えた風格は、2011年 ”ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン” に1つ星を認定されたほど。境内には、日本武尊がみそぎをしたといわれる伝説の泉や長寿・福縁のご神木「相生の松」もあり、じっくり参拝したい神社です。

また、山頂部には宝登山神社の奥宮があり、華やかな本社と比べ、ひっそりと神秘的な雰囲気を醸し出しています。山頂まではロープウェイを使っても良いですが、日本武尊と同じように徒歩で登ってみるのも良いですね。

他にも立ち寄りたいスポットがたくさん!

■宝登山小動物園

昭和35年に野猿公園としてオープンした宝登山小動物園は、 ニホンザルやホンシュウジカなどの動物たちとふれあうことができるユニークな施設です。

ロープウェイのゴンドラの愛称である「もんきー(1号車)」と「ばんび(2号車)」は、ここで暮らす動物の名前をもらったのだとか。大自然の中のんびり動物たちとふれあえる場所として、子どもにも人気があります。

■臘梅園(ろうばいえん)

西ろうばい園3,000平方メートル、東ロウバイ園2,000平方メートルの広大な園地に約800株(約3,000本)、「素心」「和臘梅」「満月」の三種類の臘梅が咲き乱れます。蝋梅は、中国原産の落葉低木で、その名の通り、蝋細工のようなツヤと厚みがある淡いクリーム色の花びらが特徴です。英名「Winter Sweet(ウィンタースウィート)」と名付けられるほど濃厚な甘い香りが人々を魅了します。

美しい花が見られるのは12月下旬から2月下旬なので、長瀞火祭りの時期には花を落としている木が多いかもしれません。しかし、山頂から蝋梅園にかけては、秩父地方一帯が見渡せる絶景地。ゆっくり歩きながら景色を楽しめる場所としてぜひ訪れておきたいですね。

■梅百花園

宝登山梅百花園は、関東一品種の多い梅園として知られ、約170種類の名花や珍種を楽しむことができます。

約470本の梅が咲き乱れ、かぐわしい梅の香りが山頂に広がります。花の見頃は2月上旬~3月下旬なので、長瀞火祭りでは満開に咲き誇る梅たちも見どころの一つです。山麓にある「不動寺しだれ梅園」でも、さまざまな種類の枝垂れ梅を楽しむことができます。

自然に守られた信仰の地、秩父。身も心も清らかに新しい季節を迎えましょう!

豊かな自然や観光スポットが多く、都内からも気楽に行ける距離であることから近年人気を集める秩父地方。篤い信仰の心が根付いたこの地域では、たくさんのお祭りが行われることでも有名です。中でも、長瀞火祭りは大きな護摩の炎と大勢の修験者たちの祈祷が見るものを圧倒する、迫力満点の行事です。萌芽と成長の春に向かって元気よく突き進むパワーをいただきたいですね。

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TOP画像:obaq

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