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日本三大盆踊り!2023秋田の「西馬音内盆踊り」は16日から!「人は顔じゃない、手だ」!

日本三大盆踊り!2023秋田の「西馬音内盆踊り」は16日から!「人は顔じゃない、手だ」!

2023年8月16日〜18日、秋田県羽後町で「西馬音内盆踊り」が開催されます。

日本三大盆踊りの一つであり、国指定重要無形民俗文化財である先祖送りのこの踊り。この記事では、2019年公開の奇祭ハンターMacさんのレポートとともに、2023年の開催情報をお届けします。

秋田の西馬音内盆踊りに行ってみたら、歌詞がガチでパリピだった件。

どうも。顔面至上主義の世の中にPOIZON、奇祭ハンターのMacです。

「月夜に悪魔と踊ったことがあるかい?」は初期ジョーカーの決め台詞ですが、今回は月夜に顔を隠して踊るために「亡者踊り」(=ゴーストダンス)の異名を持つ幻想的な秋田の奇祭、西馬音内盆踊りを紹介します。「月夜に亡者と踊ったことがあるかい?」

700年以上続く、西馬音内盆踊りの歴史とは?

東京駅で6時半頃の「秋田新幹線こまち」に乗って大曲駅へ向かい、JR奥羽本線(上り)で「横手焼きそば」で有名な横手駅を経由して湯沢駅に到着。駅からバスで25分、13時頃に羽後町に到着しました。秋田県の中でも内陸部にあるため、車がないとアクセスはやや不便な部類です。

人形A「ねぇ。今日ってなんか有名な盆踊りがあるんでしょ」
人形B「そうよ。秋田の西馬音内盆踊りは、徳島の阿波踊り、岐阜の郡上踊りと並ぶ日本三大盆踊りのひとつと呼ばれているの」
人形A「すごーい。何だか歴史が古そう」
人形B「言い伝えでは、13世紀に源信という修行僧が蔵王権現(現・西馬音内御獄神社)の境内で行っていた豊作祈願の踊りが起源と言われているわ」
人形A「700年以上の歴史があるのね。あ、あと何か、覆面している人もいるよね」
人形B「あれは彦三頭巾というのよ。1601年にね、西馬音内城主だった小野寺茂道一族が滅び、遺された家来たちが君主を偲んで行うようになった亡者踊りと合流したからなの。頭巾を被ったのは喪に服す意味だったんでしょうね」
人形A「2つの歴史が合わさったのね」
人形B「そう。だから、西馬音内盆踊りの踊りは音頭がんけの2種類があるの」

看板A「あら踊りだけじゃないわ。踊りの衣装も2種類よ」
看板B「そう。まず私が編み笠端縫い衣装。大きな反りが入った笠は前と後ろを赤いひもで結ぶの。赤いあごひもを強調することで白い肌とのコントラストが際立つってワケ。衣装は大小の絹布の端切れをパッチワークしてるの。配色がきれいでしょ? 中には100年以上のヴィンテージものもあるのよ」
看板A「あら私だって。彦三頭巾藍染め浴衣という仕様よ。よく見えてんの?って聞かれるけど、目穴の位置がずれないように豆絞りのハチマキで固定するのよ。私たちの一団が加わると、いかにも亡者踊りって感じがするでしょ」
看板B「ちなみに私たちは音頭がんけも両方踊るからね。編み笠と頭巾も男女両方どっちが被ってもいいの。女性が男風の浴衣で男らしく踊るのも西馬音内の盆踊ではポピュラーなのよ」

おっと、得意の腹話術で遊んでいたら、もう時間だ。そろそろ激戦必至の観覧席の当日券を買いに行かねば(汗)。
後、詳しくは下記の佐々木希の動画で確認してくれよな。

激選必至の桟敷席の入手方法は?


ここが中心となる盆踊り会館。2階で太鼓と笛による演奏が行われます。お土産や観覧席の当日券もここで買えます。


会館内では西馬音内盆踊りの歴史についても解説。ちなみに、当日券の販売はこの奥で、15時からの販売。13時過ぎに到着してもすでに座り込みの列ができていました。

観覧席には予約受付分(個人・団体)と当日販売分があり、予約分を逃してしまった私としては当日券に頼るほかなかったのです。
ちなみに当日の観覧席には、①長椅子タイプ(4人掛けの仕切り台)と➁ひな段タイプがありますが、私としては一番前の列で見られる長椅子タイプが一押しです。


また当日は、14時半~16時まで夜の本番に先だち、近くのコミュニティーセンター町民ホールにて踊りの実演と踊り方の無料の講習会を開催。当日の観覧席をゲットしてから速攻でかけつけ、途中から何とか間に合いました。


配色バランスや、パッチワークされた着物がエクセレント。これは早く本番で踊っているところがみたい。

ワークショップ終了後、本番開始の19時半まで時間が空きました。どうしても土産物として欲しかった「彦三頭巾」は、盆踊り会館の向かいの並びにある呉服屋さんで1000円ほどで購入することができました。表に出てなかったので「欲しいです」と言って、わざわざ奥から出してもらいました。


さらに羽後町の入り口、橋のふもとに店を構える創業文政元年の弥勒そばで西馬音内そばを食して、待つことしばらく。いよいよ19時半からの本番が始まりました。

顔が見えないからこそ、セクシー映えする!

西馬音内盆踊りの見所その1。まずはビジュアル面から。


カラフルな着物が美しく、全体の雰囲気は等身大の日本人形が踊っているのを見ている感じ。


特にベテラン勢となってくると「手」の所作、表情の美しさが段違いです。


編み笠を深く被っているので顔がまったく見えず、その分、スタイルの良さや立ち姿の美しさが強調されます。


時折、のぞく口元。白い肌とのコントラストが効いた赤い唇がセクシー映えし、ある種の艶っぽさやフェティズムを誘います。


一方の彦三頭巾。こちらは藍染めの浴衣に赤と黄色のトリコロール配色が効いてます。


こちらも上手い踊り手さんとなると、一瞬止まったときの絵の見事さ。「よ、千両役者!」と叫びたくなるような見得の切り方に引きこまれます。

もはや段々と「顔がキレイとかどうでもよくないですか?」という気分になってきます。
顔面至上主義の現代にPOIZON!
そういうとこだぞ、現代。

音頭はガヤがパリピで、がんけはパフォーマンス映えする?!

西馬音内盆踊りの見所その2。西馬音内盆踊りには「音頭」と「がんけ」の2種類がありますので、その違いとそれぞれの魅力について語りましょう。ボーっと見ていると「あれ?今、どっちだっけ?」となりますからね。

音頭」は一連の手・腰・足さばきの洗練された美しい所作に対し、それを全力で煽るように囃し立てる秋田弁のガヤ(地口)とのギャップが特徴的です。元々は京の都発祥の典雅なモードを地方のストリート流に着崩すがごとくです。着ている着物もパッチワークスタイルですしね。

「せっかくの優美な踊りなのに、地口が騒々し過ぎるんじゃないか?」「踊りと地口が合ってないんじゃないか?」なんて声も一部あるようですが、私はむしろこのギャップこそ魅力だと思います。ぜひ、踊りだけでなく、秋田弁の全力ガヤ(地口)にも注目して聞いてみてください。

 

合いの手は「サカサッサー」「はぁ、どっこいなー」や「フーーーーッ!」とか。フーーーー!って、パリピかよっ!
実は歌詞の内容も結構イケイケでガチでやばい内容なんです。
ちょっと音頭で囃し立てられる歌詞の一部を引用してみましょう。

時勢はどうでも 世間はなんでも 踊りこ踊たんせ 日本開びゃく 天の岩戸も 踊りで夜が明けた

踊りの上手も 見目のよいのも 土地柄血すじ柄 なんでもかんでも 嫁コを欲しなら ここから貰たんせ

西馬音内女(おなご)は どこさえたたて 目に立つはずだんす 手つき見てたんせ 足つき見てたんせ 腰つき見てたんせ

これらを大胆に現代訳してみましょう。

時代がどうあれ、世間が何であれ、踊り狂えばいんじゃね? 日本の始まり、天の岩戸のときだって踊り明かして朝までオールしたんだし

踊りが上手なコもいるし、見た目がキレイなコもいるし、土地柄や血筋がいいお嬢様タイプでも何でもいるから、おヨメさんが欲しいならここから持っいってヨ(Yo)

西馬音内の女子はどこをとっても魅力的だヨ(Yo)。ホラこの手つき、足つき、腰つき見てみなヨ(Yo)

うん。パリピだ。アゲアゲ☆Every Nightなやつだ。いや、確かに手つきや腰つきはキレイだけれども……(笑)。

一方、より亡者踊り色の強い「がんけ」では、ガヤが大人しくなって朗々と歌い上げる感じ。曲も哀調が漂います。しかし、踊りの足のステップには、回転が加わります。アスファルトの道路には、滑りやすくするため予め砂利がわざわざ撒かれており、この砂利の上でズザザザザザと音を立てる回転が耳にも心地よいのです。


ふつうに見ていたら、突然、観客席に向かってドスの効いた低音ヴォィスで「ソラァ!」「ホレァ!」と煽ってくるのでちょっとビビりました。いや、実に良いパフォーマンスです。

旅のスケジュールと観光時に注意したい点は?

最後に、西馬音内盆踊りに初めて行ったときの私の大まかな旅のスケジュールと注意したい点を3つ、書き記しておきますね。

6時半 東京駅から秋田新幹線で大曲駅へ
11時 大曲駅から横手駅で下車。ランチは「横手焼きそば」。
13時 湯沢駅からバスで羽後町へ到着。当日券を買うために並ぶ。
15時半 当日券を購入後、無料の講習会へ
16時半 呉服屋でお土産の「彦三頭巾」を購入
17時半 弥勒そばで夕飯に「西馬音内そば」を食べる
19時半 西馬音内盆踊りがスタート
21時 「大人の部」がスタート
23時半 タクシーを拾って隣り町の宿へ

➀周囲にレジャー施設とかはない!

会場の羽後町の周辺には出店や土産物屋、そば屋以外は、時間をつぶせる所はあまりありません。無料の講習会も16時に終わるので、19時30分の開始まで時間が空いてしまいます。事前に予約席が取れているのなら、夜から参戦するのもアリです。毎年平均して3日間で約10万人が来場しますが、実際、21時~22時の時間帯が最も混雑が激しいそうです。

➁「大人の部」は21時からスタート!

●(19時30分~21時頃まで)
19時30分の開始時~21時頃までは子供が中心の踊りで、お囃子は基本的に「音頭」のみがくり返されます。「まだ『がんけ』は踊れないけれど本番に参加したい」という初心者の方でも積極的に踊りの輪に入れる時間帯です。

●(21時頃~23時まで)※最終日の18日は23時半まで
子供のころから踊り続け、忘我の境にも達するベテランたちの熟練した大人の踊りが始まるハイライトは21時頃からです。お囃子は「音頭」と「がんけ」が交互にくり返されます。終盤はお囃子が極端にゆっくりになったり、急激に早くなったり、踊りのテンポも大幅に変化します。最後は、踊り手も観客も一緒になって櫓の前に集まり、囃子方を拍手で讃えて終了します。

➂町内で宿を確保することは困難!

盆踊りの時期の宿泊予約はかなり早い段階で埋まってしまうので、町内で宿を確保することは困難です。となると、隣接する湯沢市や横手市に宿泊するしかないのですが、その場合帰りの電車はありません。帰りの経路はしっかり確保してください。夜にタクシーで隣の市まで移動するとなると、タクシー代も馬鹿にならないので注意しましょう。

いかがでしたか? 今回の「西馬音内盆踊り」。

亡者踊りの異名をもつだけあって、死者をお迎えする日であるお盆の踊りとしてはまさに盆踊りオリジンな感じがする西馬音内盆踊り。京都の正統派モードに、秋田弁や着物のパッチワークといった地方ストリートの映えを加えたスタイル。月夜の晩に男女ともに顔を隠して踊り狂う集団舞踊は、ファンタジックにして妖艶な真夏のフェティズム発動装置に他なりません。

ぜひ、事前に観覧席、帰りの経路と泊まりの確保をして行ってみてください。

オマケ。西馬音内盆踊りの「音頭」のワークショップの様子です。踊りを見に行く前に、自ら踊ってみるのもいいですよね。ただし、踊りの手さばきや足運びは結構、難しめですよ。

今回のオンセンジャパン

盆踊りの前後は、足をのばして乳頭温泉卿に行くのが断然おすすめ! 写真は「鶴の湯温泉」。秘湯ブームの火付け役となった秘湯中の秘湯。乳白色の源泉がすばらしいのはもちろん、まるで江戸時代にタイプスリップしたような風情も魅力です。バスを利用して他の温泉を廻ってもよいでしょう。

羽後町到着前に横手駅で途中下車して食したランチの「横手焼きそば」。弾力があるモチモチの麺と甘いソースの相性が抜群です。

2023年の開催情報!

西馬音内盆踊り(亡者踊り)

■日時:毎年8月16日(水)~18日(金)19:30〜22:30(※最終日のみ23:00)

■会場:西馬音内本町通り(秋田県羽後町)

■交通:湯沢駅からバスで羽後町へ

祭り開催情報

名称 西馬音内盆踊り
開催場所 秋田県羽後町西馬音内
開催日 2023年8月16日(水)、2023年8月17日(木)、2023年8月18日(金)
アクセス JR奥羽本線湯沢駅から羽後交通西馬音内行きバスで25分、体育館前下車、徒歩5分(本町通り)
関連サイト https://www.town.ugo.lg.jp/sightseein...
https://www.town.ugo.lg.jp/uploads/pu...
この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
奇祭ハンター、美酒ナビゲーター。「毎月奇祭」を目標に奇祭旅を行い、お祭りやお酒の情報を挙げています。今までに50以上の奇祭を巡り、600種類以上の日本酒を飲酒。祭りがないときは大体、酒飲んでます。

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