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オンライン問答体験!!ナマハゲの新たな一面を知る”祭り留学”をレポート!

2021/9/29
2024/2/29
オンライン問答体験!!ナマハゲの新たな一面を知る”祭り留学”をレポート!

コロナ禍が始まって1年と半年。地方へ旅行も厳しい状況のなか、JR東日本とオマツリジャパンが推進し、オンラインを活用し地方との関係を生み出す新しい交流方式・祭り留学の第一弾が9月25日にスタートしました。本記事ではそちらの様子をレポートにしてお届けしていきます!!

豊かな自然に囲まれる ナマハゲが伝わる男鹿半島

オンラインを使って祭りを知り、祭りを知って地域を知り、人を知る。オフラインで地域へ向かい、仲間と触れあい、祭りを体感する。コロナ禍の今だからこそリリースされた、これまでにない関係を生み出す祭り留学。

第一弾のテーマは秋田県男鹿市に伝わる伝統文化“男鹿のナマハゲ”です。全第4回のプログラムで、今回行われた第一回目はナマハゲが身につけている面を切り口にナマハゲについての知識を深めていきます。

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オマツリジャパン・大塚美緒さんの進行でイベントはスタートしていきました。

秋田県男鹿市は、秋田の真ん中あたりにある地域。三方向が海に囲まれ、内陸部には男鹿三山と呼ばれる山々が連なっていることから、夕日、絶景、山海の幸、アクテビティなど、自然の恵みを存分に楽しめる地域となっています。

このオンラインツアーにも、男鹿の味覚“はたはた”、なまはげの好物“日本酒・真山”がセットになった、男鹿の豊かな食を楽しめるチケットが販売されていました。視聴者さんのなかにはいただいている方もいらっしゃるとのこと。どんなお味がするんでしょうか、気になりますね……。ナマハゲも男鹿地域独自の文化で、大晦日だけでなく、2月の“なまはげ柴灯まつり”7月に“ナマハゲロックフェスティバル”も行われるそう。

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オンラインツアーで中継が繋がっている先は、秋田県男鹿市真山地区にあるナマハゲの伝統を伝える施設“なまはげ館”(※)。現地の進行を務めるのは、男鹿市観光協会DMO推進室の佐藤磨衣さん。

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解説してくださるのは、なまはげ館の解説員で男鹿市のなまはげのほとんど網羅しているという太田忠さんです。太田さんは地元の出身であり、なんとナマハゲになっていたそう。

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お二人とも子どもの頃は大晦日のナマハゲが来る時間になると、お風呂に入ったり、押し入れに入ったりしてどうにかやり過ごそうと苦心していたとのこと。やっぱり、現地の子どもたちにとってはかなり怖い存在なんですね。

ちなみに佐藤さんの最近の趣味は、道の駅のアイスを頂くことらしいのですが、わさび、ししとう、しょっつるなどのさまざまなご当地アイスを味わってきたそう。個人的にはナマハゲよりそっちの方が怖い気もしますね……。

(※秋田県男鹿市北浦真山字水喰沢)

 

お面は各地域ごと?平仮名とカタカナの違いは?ナマハゲのアレコレ 

さて、いよいよ“なまはげ館”の紹介、そして太田さんによるナマハゲの解説をお聞きしていきます。

“なまはげ館”はナマハゲに関する様々な資料が展示され、学びを深められる施設。今回の祭り留学にぴったりというわけなんですね、すごい。

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様々なコーナーが紹介されるなか、特に印象に残ったのは、ナマハゲの勢揃いコーナー。

このコーナーには男鹿市内の60地区、152枚のナマハゲ面が展示されています。ナマハゲは各地域ごとに存在し、お面はそれぞれの身近にある材料や染料を用いて製作されるそう。展示されている面も、大きいものから小さいものまで、薄いものだったり、ザルを使っているものだったり、表情も憤怒の形相があるかと思えば、どこか間の抜けた愛らしいものもあり、実に様々ものがありました。

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「ナマハゲのお面は一旦つくると、色を塗り替えたり、張り替えたりしながら長い間、何十年も使うんですよね。壊れた場合はつくり直しますが、その場合は前のお面と全く同じ面をつくることはないんです。」と太田さん。

展示されている152枚のうち、現在も使われているのは約30枚だとのこと。大晦日になると、展示されている状態から外して行事に用いられるといいます。

祭り留学 20210924-6木のかわを用いたナマハゲ面。約300年前のものだという。

一般的にナマハゲといって浮かんでくる、赤と青の鬼の形相をしたお面は彫師の石川さんが掘ったお面。本来、ナマハゲは大晦日の晩、1年の中でも12月31日のたった数時間しか外に出てはいけないのだと、太田さんは話します。

しかし昭和30年代、秋田県男鹿半島として観光PRを進めていく際にナマハゲはどうしても欠かせない存在だったそう。そこで彫師の先代である石川さんのお父様が観光PR専用に面を掘り、それが一般的に知られるナマハゲの姿となっているのです。

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ちなみに、“ナマハゲ”とカタカナで表記する際には神事・神としてのナマハゲを“なまはげ”とひらがなで表記する際は観光で用いられる場合なのだとか。

きっと決まった場所で厳重に保存したいであろう、地区のお面。どれだけ貴重なお面が飾ってあるのか。飾ることを了承した地区の人たち、そして飾らせて欲しいと頼みにいった職員の方たち、太田さんのお話を聞いて思わず、ナマハゲを中心に交錯する人々の気持ちに想いを馳せてしまいました。

約300年前につくられたお面も現存し展示され、現在も約90地区で行われているナマハゲ行事ですが、近年はナマハゲになる人もナマハゲを受け入れる家も減っているそう。

太田さんはこうした状況を踏まえ、「地域に住む、深い関係を持っているものがナマハゲになるからこそご利益がある」と想いを述べられていました。

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保存・継承は伝統文化が今まさに抱えている大きな課題。地域内の視点を踏まえつつ、地域の方々が納得できるような方法を考えていく必要があるのでしょう。

いざ“問答体験”!!伝統古民家を再利用した男鹿真山伝承館へ 

イベントは第2部のオンライン問答体験へ。ナマハゲ問答とは、ナマハゲが家に上がってから住人と交わす問答のことを指します。ナマハゲは戒めを通して地域の災いを祓っており、戒める対象は子どもだけでなく、大人も含まれます。

本来は12月31日に行われれるナマハゲ問答ですが、それをいつでも誰でも体験できるように整えてあるのが、男鹿真山伝承館。“なまはげ館”の近くにあり、実際に住居として使われていた男鹿の伝統的な曲家民家で、藁葺き屋根や、囲炉裏、畳、掛け軸など、様々なところから古き男鹿の生活が垣間見えます。

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問答が行われるのは仏間。

シチュエーションとしては大晦日の夜、でしょうか。すでに家の主人以外は隠れナマハゲを迎える御膳が準備されていました。

主人が仏間に座っている主人へ、先立ちと呼ばれる人から「なまはげが来たが入っていいか?」といった旨が現地の言葉で伝えられ、主人は了承します。先立ちがまず部屋に入り挨拶、その後、猛々しい雄叫びと共に勢いよく障子が開かれ、ナマハゲが登場。その場で大きく四股を踏み、部屋へ上がります。

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「泣く子はいねが〜」

「悪ぃ子はいねが〜」

とナマハゲお馴染みのセリフを叫び、家の戸棚や扉を叩いていきます。これは隠れている人々を見つけ出そうとしているのだとか。

主人が一休みを勧め、御膳挟んで世間が住むといよいよ問答の開始。

ナマハゲが家族の様子を聞いた後、「今日はオンラインでいろんな人と繋がってるんだからな!!」(横文字…!!)と取り出したのは“ナマハゲ台帳”。

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ナマハゲ台帳には行事の参加者の様々な怠け事がしっかりと記録されており(几帳面…!!)、台帳をもとに該当の人物を戒めていきます。台帳を元に

「毎朝トレーニングに頑張ってるって書いてあるな。それはいいことだ、健康のためになるし、続けねばダメだぞ!!けども、優しくすることが苦手と書いてある。人に優しくせねば、優しさは返ってこないんだぞ。もっと周りを見ないとダメだぞ!!」

と戒めていきます。優しさは与えなければ返ってこない、なんという名言なのでしょう。

祭り留学 20210924-11結婚できない悩みを持つ方に対してしっかりとした将来設計を促すなど、意外な一面も見れました。

最後は視聴者に向けて「オンラインで繋がってるみなさんも怠けねぇでがんばらねばダメだぞ!コロナが終息したら遊びに来いよ!」と声をかけました。

もう一度、部屋を回った後、主人が餅を渡し、ナマハゲは帰ることに。

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「ナマハゲはこれで帰る!!みなさんのことはちゃんと祓っておいた。来年も病気怪我しないように元気でいろよ!!!」

とナマハゲは呼びかけ、去っていきました。一人称、「ナマハゲ」なんですね、かわいい……。

 

第2回の切り口は“日本酒 真山” オンラインツアー参加者限定の特典も!!

最後にオマツリジャパンの大塚美緒さんより、オンラインツアー参加者限定の特典が紹介されました。

内容は第1回、第2回と行われるオンラインツアー参加者には、第3回のオフラインツアー、つまり現地でナマハゲ体験をする際に、通常のツアーにプラスして・ナマハゲ太鼓の鑑賞・石焼料理体験・男鹿温泉郷の宿泊券がセットになったプランを用意しているとのこと。

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また12月4日の第3回現地体験ツアー、または翌日12月5日のナマハゲ伝道師試験を受け、さらに2月の“ナマハゲ柴灯まつり”に参加された方には、本日の出演は叶わなかった石川千秋さんによる、木彫りのナマハゲ面がプレゼントされるそう!!

期間内に2度、オフラインで男鹿に行く必要はありますがこれは嬉しい特典です。今から冬の時期が楽しみですね!

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次回の祭り留学は10月23日(土)。ナマハゲの大好きな真山神社の御神酒“日本酒真山”と男鹿の米を切り口に行われるオンラインツアーです。

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男鹿の食材をオンラインで競り落とす“オンライン競り体験”も実施予定で、なんとまだ市場に流通していない新和牛ブランド“和牛ナマハゲ”も入手できるのだとか。ナマハゲの出演はありませんが、男鹿の魅力をたっぷりと体験できる90分になりそうです!

おわりに

普段知る機会のない、ナマハゲについてのあれこれをたくさん知れた90分でした。オンライン問答体験ではオフラインだからこそ、なまはげの色々な特徴に気が付けました。これからTVやお祭りでナマハゲを見かけた際は、新しい視点でナマハゲを楽しめそうです。

本来“なまはげ館”では、ナマハゲ面彫師・石川千秋さんにお話を伺える予定だったのですが、本番前にアクシデントに見舞われ、出演が叶わなくなってしまったと、本番中、佐藤さんよりお知らせがありました。

また電波が乱れてしまう場面もありましたが、コメントには「Wi-Fiがんばれ」と言葉が届くなど、温かい印象でした。

次回の祭り留学は10月23日(土)、第3回は12月4日。第3回はご興味のある方はぜひ参加しみてくださいね!

【祭り留学・第2回】なまはげを学ぶ オンラインツアー

【祭り留学 ・第3回】なまはげに触れる 現地体験ツアー

 

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