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ピーヒャラ・ピーヒャラ!「大津祭」提灯の朱色に染まる宵宮の夜

2022/11/2
2023/9/4
ピーヒャラ・ピーヒャラ!「大津祭」提灯の朱色に染まる宵宮の夜

湖国三大祭・国指定重要無形民俗文化財「大津祭」。

京都「祇園祭」と滋賀「長浜曳山祭」の子ども歌舞伎があまりにも有名なため、大津祭は良いお祭りなのになぜか知名度が低い印象。

滋賀県民は言う。
「滋賀は何もない」と。
そんなPR下手な滋賀県民に変わって、大きな声で言いたい。

「大津祭、めっちゃいい!!!!」

京都駅からJRでたった二駅。しかも駅から徒歩圏内で見て回れる「大津祭」宵宮(よみや)をレポートいたします。

大津駅前で大津祭の地図を貰おう

まず最初は大津駅前の仮設テントで大津祭の地図をゲット。

この駅前のテントでは食べ歩きに便利なパンなどが販売されているのも嬉しい(その後、山の近くにある屋台やお店を見ると、どこも長蛇の列でした)。

最初に祭りの中心である天孫神社を目指して行くも、入れないほどに人が溢れかえっている。神社の中に屋台もたくさんある…。うわー。行ってみたい。でも入れない!
そこで後で神社にお参りすることに。

宵宮の曳山を最短距離で見て歩く

ここからは地図を元に、天孫神社から一筆書きで全部の山に行けるようにご紹介。

「♪ぴーひゃら、ぴーひゃら」とお囃子の音が聴こえる方向に進んでみると、わー✨テンションあがるー!

山はやはり、最初に狸山を見なくちゃ!
まずは天孫神社のすぐそばにある狸山へ。

西行桜狸山 さいぎょうざくら たぬきやま

俗称「狸山」。曳山巡行では「くじ取らず」の先頭になる山です。
むかし、塩屋治兵衛という人が狸の面をかぶって天孫神社で踊ったことに由来します。
治兵衛が年老いたあと、たぬきが腹鼓を打つからくり人形を車に乗せ、子どもたちが町なかを曳いて歩いたのが、大津祭の始まりといわれています。

明暦2年に、西行法師が桜の精(仙人)と問答を交わす態を表した人形を用いるようになり、名前を西行桜狸山と改めました。

西行桜は京都・大原野の勝持寺に咲く美しい桜。実際の姿は下記のレポート記事でぜひご覧ください。

狸は祭りの天気を守るとも言われています。明日、天気になぁれ!

神功皇后山 じんぐうこうごうやま

神宮皇后が戦に先立ち、肥前国松浦で鮎を釣り戦勝を占ったという伝説に由来しています。この時、皇后は妊娠中。その鮎釣をした場所で後の応神天皇を出産し、安産の神として信仰されています。

お囃子は宵宮で演奏される「宵山」はどの山も似ていますが、基本的に曳山ごとに曲名やメロディが違います。
そして囃子方のみなさんが着ている着物「着流し」の柄にも注目。各山の特色が描かれていて面白いです。

湯立山 ゆたてやま

天孫神社の湯立ての神事は、この湯立山が捧げているという話があります。
山の形は天孫神社をかたどっており、回廊を真似ています。

実際に天孫神社にお参りして「この回廊のことか。なるほど!」と実感しました。

猩々山 しょうじょうやま

能楽「猩々」​より​考案​した山。
​むかし、唐の国に親孝行な人がいました。
ある夜、「町に出て酒を売れ」という夢を見ます。夢に従って実際にお酒を売ってみたところ、いくら飲んでもなくならず、味の変わらない酒の壺を猩々から与えられたといいます。

龍門滝山 りゅうもんたきやま

「登竜門」という言葉の語源に由来する山。
黄河の上流の竜門山の滝は、どんな魚も上がれないが、もし上ることのできる魚があれば「昇天して龍になる」という故事にちなんでいます。

西宮蛭子山 にしのみやえびすやま

古くから西宮の蛭子様を出して飾り、祀っていましたが後に曳山に載せるようになりました。鯛を釣り上げた「えべっさん」に商売繁盛を祈ります。

山のすぐそばの町家にある蛭子様のからくり人形をお参りするだけで、なにか縁起が良い気持ちがします。

布袋 ほてい

西宮蛭子山の近くには「布袋」の宵宮飾りもあります。昔は仮装行列「ねりもの」で活躍した張子作りの珍しい布袋様です。

祇園祭でも休み山になっている布袋山があります。
いつか祇園祭や大津祭でも布袋様の姿がみられますように。

殺生石山 せっしょうせきざん

能楽「殺生石」より考案。
鳥羽院に寵愛された玉藻前(たまものまえ)は、実は金毛九尾の狐。
帝の生命を奪おうとしていたところを陰陽師の安部泰成に見破られます。東国に逃れ、那須の殺生石となって旅人を悩ましていましたが、玄翁和尚の法力によって成仏したといいます。

今年3月に那須の殺生石が割れたというニュースがあり、狐が逃げたかもしれないと話題になりましたね。狐は大津祭を見に来たのかもしれません。

石橋山 しゃっきょうざん

謡曲「石橋」より考案。
文殊菩薩の浄土と伝えられている険しい石の橋を渡ろうとしたときに獅子が現れ、牡丹に戯れたというお話しです。

京阪浜大津駅にも近いため、石橋山を最後に回るルートにするのもありです。

孔明祈水山 こうめいきすいざん

蜀の諸葛孔明が、魏の曹操と戦ったとき、流れる水を見て「敵の大軍を押し流してください」と水神に祈り、大勝をした故事によります。

この山は三国志が好きな人に見ていただきたいです。

西王母山 せいおうぼざん

崑崙山(こんろんさん)に住む仙女・西王母が不老不死を願う漢の武帝に、三千年に一度、一個しか実らない貴重な桃を捧げ、皇帝の長寿と平和を祝いました。
その後、桃太郎のお話が加わり「桃山」と呼ばれています。

この山だけは普段、原寸大の模型を「大津祭曳山展示館」でも見ることができます。

月宮殿山 げっきゅうでんざん

謡曲「鶴亀」(喜多流では月宮殿)に由来。俗称は「鶴亀山」。
唐の皇帝が不老門に立ち、美しく立派な前庭で春を祝う会を催し、世を寿いだというお話しを表した山です。

源氏山 げんじやま

紫式部が石山寺において「源氏物語」を書いたという伝承に由来する山。
曳山全体が紫式部の十二単や平安の昔を偲ばせる造りとなっています。

2024年の大河ドラマ「光る君へ」で注目を集めそうな気がします。
中国に由来する山が多い中、雅な日本を表現している源氏山、ぜひ見ていってください。

ボランティアガイドさんが教えてくれる大津祭

初めて大津祭に来ると、山がなんとなく同じように見えてしまいます。
こんなときにありがたいのはボランティアガイドさんがあちこちにいること。
マイクをつけており、「全ての山にはお話しがあって…」と由来を教えてくれたり、「明日も来られるようでしたら、お昼休憩に全部の山が並びますから、その時に天井や懸装品などをじっくり見ると良いですよ」などと、分かりやすく説明してくれます。

本祭では「からくり」がみどころ

いよいよ翌日は大津祭の本祭。
「所望(しょうもん)」というからくりがみどころです。
天孫神社の前で1回目を行い、その後は地図に描かれた巡行の道の途中で20回ほど、からくりが動きます。

近年は減ってきたと言われている「粽(ちまき)撒き」がまだ行われているのも必見です。
また、囃子方は午前中、神事があるため正装の紋付を着ています。
午後からは華やかで粋な着流しに着替えるため、一日中みどころが満載です。

猩々山のからくり人形 本祭ではお酒を飲んだ猩々の顔が赤くなる

※大津祭の日程はスポーツの日の前々日(土曜日)に宵宮、前日(日曜日)に本祭開催のため、毎年、多少日程が変動します。事前に下記の参考サイトなどでご確認ください。

<参考サイト>
大津祭曳山連盟公式サイト
天孫神社公式サイト
◎天孫神社「2022年の神輿渡御の巡行路
ちま吉WEB(大津祭曳山連盟公式キャラクターのサイト)

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