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12月・2月の8日は事八日!妖怪を撃退し「おこと汁」を飲む…ってどんな日!?

12月・2月の8日は事八日!妖怪を撃退し「おこと汁」を飲む…ってどんな日!?

みなさん、「お事汁」をご存じでしょうか?
お事汁とは、事八日(ことようか)に食べる良いとされる古くから伝わる伝統的な行事食です。

では、そんなお事汁には、昔の人々のどんな願いが込められているのでしょうか。この記事では、事八日という行事についてや、お事汁がどんな料理なのかを紹介します。

そもそも事八日ってなに?

「事八日」は、正月を挟んで対となる12月8日と2月8日の総称です。八日節句(ようかぜっく)や八日待(ようかまち)ともよばれます。

「事八日」の始まりは明確ではありません。農村地域における田んぼや山の神さまへの信仰に関係しているとか、「たたら」と呼ばれる製鉄に関わっていた人々の信仰に由来するとも言われていますが定説はありません。しかし私たちの祖先は、事八日を冬至や立春など季節の変わり目を表す「二十四節気」とは異なる歳時の折り目として意識し、家庭内外でさまざまな神事や祭事を行う特別な日としてきたことは確かです。

事八日には妖怪がやってくる?対策は?

事八日は、物忌み(さまざまな日常行為を控える行為)の日と考えられ、この日は仕事を休む風習が各地で行われていました。この日、針仕事を休み、折れた針などを豆腐などに刺して供養する針供養が行われるのもその一つです。

人々が仕事を休んで家に篭るのには理由があります。それは事八日には「妖怪」が家にやってくるからなのです!

一つ目小僧がやってくる?

『大時代唐土化物3巻』より一つ目小僧。(国立国会図書館蔵)

関東周辺の地方では、事八日の晩に「一つ目小僧」がやってくるとされています。一つ目小僧は、人間の住処を訪れて履物にハンコを押すのだそうです。その判を押されてしまうと翌年、家族に災厄が訪れると考えられており、人々に恐れられていました。そのため、八日の晩には、人々は家の外に履物を出したままにしないように過ごしたそうです。

また、栃木県などでは「ダイマナコ(大眼)」という一つ目の化け物、神奈川県では「ミカワリバアサン」と呼ばれる一つ目の老婆がやってくるそうです。やってくる妖怪は一つ目なのが共通しているのが面白いですね。

妖怪を追い払おう!ザルがあれば大丈夫!

「温故年中行事初編5版」より(国立国会図書館蔵)

そんな恐ろしい一つ目の妖怪たちを追い払う術はあるのでしょうか。

安心してください!方法はあります。

昔の人はこう考えました。「一つ目小僧には一つしか目がないのだから、目がたくさんあるものを怖がるに違いない!」。事八日になると人々は長い竿を用意し、その先に網カゴを吊るしました。一つ目小僧は、たくさんの網の目に驚いて、その家に近づかなくなるそうです。とんちの利いたナイスアイデアですね!

網カゴの他にも、グミの葉を囲炉裏で焼いてその匂いで追い払ったり、戸口に榊を立てかけたりすることで妖怪が寄り付かなくなるそうです。茨城や栃木などでは、ヒイラギやイワシの頭、ニンニクや唐辛子を吊るして追い払う例もあります。イワシとヒイラギというのは、少し節分の鬼よけにも似ていますね。

面白いところでは、12月8日に事八日を行う鳥取や北陸などではトゲトゲの魚・ハリセンボンを剥製にして吊るす風習もあるそうです。

皆さんも事八日には、無病息災を祈り、妖怪除けをしてはいかがでしょう。

事八日の夜に食べる「お事汁」って?

節分には、恵方巻を食べるという風習は有名ですよね。では、事八日に「お事汁」を食べる風習があるのをご存じでしょうか?

おこと汁の具材は6種類

「お事汁」は、無病息災と五穀豊穣を祈って食される行事食。「六質」と呼ばれる里芋・大根・人参・ごぼう・こんにゃく・小豆を使ったお味噌汁です。小豆は魔除けの食材として定番です。日本、中国・韓国などでは小豆の赤い色が魔を祓うと考えられていたようです。

しかし、地域によって使われる具材は異なるようです。地域によってはいわゆるけんちん汁をお事汁と呼んでこの日に食べる風習があるそうですし、ご家庭の味にちなんだ具材で、オリジナルのお事汁を作るのもよいでしょう。

事八日は、無病息災と五穀豊穣を祈る行事のため、大地の恵みを受けた栄養たっぷりの野菜を使ったお味噌汁を食べるようになったとされています。

このように、お事汁には、人々の健康や豊作に対する願いが込められています。

事八日にはおこと汁を!

お事汁は、栄養が豊富なことや身体が温まる以外にも、事八日ならではの特別感を感じられる食べ物です。

ぜひ、事八日には無病息災を祈り、ご家庭で家族や大切な人とお事汁を作って食べてみてはいかがでしょう。お事汁は、栄養がたっぷりで、身体の内側から温まるので健康を祈る冬のこの日にぴったりな料理です。

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
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