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獅子頭16体を探す!?お祭りが盛んな街・山形県酒田市で観光スポットを巡り「酒田大獅子一家」を発見!

更新日:2021/7/30 稲村 行真
獅子頭16体を探す!?お祭りが盛んな街・山形県酒田市で観光スポットを巡り「酒田大獅子一家」を発見!

山形県酒田市というと何を思い浮かべるだろうか?「漁港で獲れたての魚が食べられそう!」や「美味しいお米が食べられそう!」などのイメージを持つ方も多いだろう。

今回は一味違った酒田市の楽しみ方、「獅子頭巡り」をご紹介したい。え、獅子頭?と疑問に思う方も多いだろうが、酒田市内にはなんと獅子頭が16体設置されている。親獅子、仔獅子、赤ちゃん獅子がいて、それぞれ名前までついているらしい。

このチャーミングな獅子頭たちを探して酒田市を散歩してみると、新しい街の魅力に出会えるかもしれない。そのような想いもあり、2021年7月に酒田市で「獅子頭巡り」をしてきた。その時の様子をお届けしたい。

酒田大獅子一家とは?

ではまず、この16体の獅子頭(酒田大獅子一家)がなぜ設置されたのかについて触れておきたい。1976年、山形県酒田市で「酒田大火」という大きな火災があった。3000名以上の被災者が出たと言われ、戦後の大規模な都市大火の一つである。甚大な被害が出てしまったが、約2年半で復興。その復興のシンボルとして、1979年に誕生したのが4体の大獅子だった。

それから獅子頭の人気は徐々に高まり、約20年後(1998~99年)には仔獅子、そのまた約20年後(2015年)には赤ちゃん獅子が制作され合計16体となった。これらの獅子頭たちは毎年5月19日~21日に開催される酒田まつりで一堂に会し、町を練り歩いたり、祭りの見物客をパクパクと噛んだりして厄払いをしてくれるようだ。普段は酒田市の中心街の様々な場所に設置され、その多くが公開されているので、観光客は「獅子頭巡り」を楽しむことができる。今回、私も実際に楽しんできたので、その様子をお届けする。

獅子頭を探すと、酒田の魅力も見えてくる!

16体の獅子頭は、酒田駅の周辺に点在している。私は徒歩で回っていたが、途中からは移動時間の短縮のため、観光用自転車を利用した。駅前の観光案内所などで無料で貸し出しを行っており、それを利用すると比較的楽に移動できるだろう。もし観光用自転車に乗りたい場合は、こちらの酒田観光物産協会のサイトを参考にしていただきたい。それでは、獅子頭巡りに出発!

観光用自転車についてはこちら

人間の背丈を越える大獅子たち

では、訪れた獅子頭を16体、大獅子、仔獅子、赤ちゃん獅子の順番で紹介させていただく。こちらでご紹介した獅子頭の場所は、2021年7月時点の情報だ。今後違う場所に移動する可能性もあるのでその点はご注意いただきたい。

まずはこちらの2組4体の大獅子。人間の背丈を越えるとても大きな獅子頭の迫力にびっくり!中町モールにあり、休憩所やスーパーが近くにあるので、水分補給をしたり地域の特産品を食べたりするのも良いかもしれない。これらの獅子頭の頭に注目していただけたらわかるように、頭に小さくて平らな角があるのが雄(左側)とないのが雌(右側)である。

▼名前:山王・日和
場所:中町モール(酒田市中町2丁目4-18)

こちらは酒田市役所の駐車場脇にあり、大きいのですぐに見つけやすい。山王・日和と色の配色や作り、斜め上を向いている感じなどが似ている。

▼名前:松・桜
場所:酒田市役所 (酒田市本町2丁目2-45)

なんとマスク付きの獅子頭も!仔獅子たち

ここからは、仔獅子のご紹介。こちらも酒田市役所の敷地内にあるが、建物の狭間にあるので見つけにくいかもしれない。よくみると、左右の耳の形が違うのが面白い。このように耳の形が違うものもあるのだ。

▼名前:海くん・小波ちゃん
場所:酒田市役所 (酒田市本町2丁目2-45)

こちらの獅子頭はなんと、新型コロナウイルス流行中だからか、マスクを着用していた。今、ここでしか見られないレア物かもしれない。獅子頭の背後にあるのは大通り公園。噴水があるので、夏だと涼しくて木陰で休むのにちょうど良い。またその裏には酒田市立資料館があり、酒田市の歴史や民俗などに関する展示も行っている。

▼名前:みなとくん・まいちゃん
場所:大通り公園(酒田市一番町7大通り公園)

ここまで一通り回ってみて、大獅子から仔獅子までは眉の配色を雌雄(左右)で統一しているが、肌の色を黒と赤、あるいは紺とオレンジという風に塗り分けていることがわかる。

手で持てるサイズの赤ちゃん獅子たち!

それでは、次に赤ちゃん獅子も見てみてみよう。大きさはようやく人間1人でも持てるくらいのサイズになってきた。色は派手に多様になっていることがわかる。赤ちゃん獅子の名前は公募によって付けられたとのこと。酒田まちあるきスタンプラリー参加者、酒田市内小学校・中学校の児童、生徒など総勢1418名の応募の中から選ばれたようだ。ものすごい倍率の中で採用された8体の獅子頭の名前にも注目していただきたい。

赤ちゃん獅子の名前の由来については酒田市HPを参照

こちらは、山居(さんきょ)倉庫という明治時代に建てられた米保管倉庫を活用して作られた観光物産館「酒田夢の倶楽」の前に置かれた赤ちゃん獅子。素朴な名前である「けん」は酒田市出身の写真家・土門拳さんやケヤキ、「こめ」はお米から付けられた名前のようだ。

▼名前:けん・こめ
場所:山居倉庫(山形県酒田市山居町1丁目1−8)

こちらは市役所の2階に置かれている赤ちゃん獅子。ここまで合計3組6体が酒田市役所の敷地内にあるので、これらの獅子頭は一気に回ることができる。

▼名前:宙(そら)・輝(きら)
場所:酒田市役所 (酒田市本町2丁目2-45)

こちらは美しい庭園もある本間美術館の赤ちゃん獅子。休憩スペースに展示されているが新型コロナウイルスの影響で現在は開放されておらず、今回は特別に撮影させていただいた。今後、休憩スペースを再び利用できる日が来ることを期待したい。

▼名前:丘(きゅう)・陽(はる)
場所:本間美術館(山形県酒田市御成町7−7)

最後にご紹介する赤ちゃん獅子は、貸し出しスペースや親子ふれあいサロンなどの機能が充実している「交流ひろば」の中にある。獅子の口の部分に、「むしばになっちゃうから、おくちはあけないでね」という文字が書かれている!子供が遊んで壊しちゃうことがないように、配慮しているのだろうか。

▼名前:福(ふく)・笑(えみ)
場所:酒田市交流ひろば(酒田市中町3丁目4-5)

様々なところで見かけるゆるキャラの正体は?

酒田大獅子一家を回っていると、様々なところで獅子頭を被ったゆるキャラに出会う。それが、この「もしぇのん(雄・黒色)」「あののん(雌・赤色)」である。酒田をPRするために2011年に姿を現したそうだ。例えば、このようなバス停のデザインにこのゆるキャラが使われておりとても癒される。

獅子頭グッズが買える山居倉庫!

先ほどご紹介した赤ちゃん獅子「けん・こめ」がある山居倉庫では、なんと獅子頭を購入することもできる。昔から酒田市では伝統工芸品として獅子頭を制作する文化があったという。そのほかにも、獅子舞や獅子頭に関する絵やら楯やら様々なお土産がある。また、毎年5月に行われる酒田まつりに使われた亀笠鉾(山車)の展示も行っている。

酒田の山王祭に使われた亀笠鉾

ここまで見てきた方はもうお気づきだろうが、酒田市の獅子頭は雄雌2体1組で作るようになっている。獅子頭を探していると、このように知らず知らずのうちに酒田の伝統工芸品である獅子頭のことまで学べる。

そして、獅子頭だけでなく、観光物産館や商店街、美術館など酒田の様々な場所を巡ることで、街の魅力についても知ることもできる。実際にこれだけ大量の獅子頭を作る酒田市の方々の遊び心に触れることもできた。酒田市に興味を持った方は、漁港やお寺などまだまだ紹介しきれていない部分含めて、ぜひこの街を味わっていただきたい。

そのほかの酒田市の観光スポットはこちら。

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
日本全国500件以上の獅子舞を取材してきました。民俗芸能に関する執筆、研究、作品制作等を行っています。

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