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逆境から新しい光を!静岡熱海花火フェスティバル徹底レポート

更新日:2021/11/4 おーわ
逆境から新しい光を!静岡熱海花火フェスティバル徹底レポート

2021年10月23日、静岡県熱海市で静岡熱海花火フェスティバル #海と干物と音楽とが開催されました。

本イベントは新型コロナウィルス感染症(COVID-19)を機に打撃を受けた花火文化の継続・発展および地域経済の活性化を図ることなどを目的に、従来の花火大会とは異なる形で実施されました。

いったいどのようなイベントだったのか…本記事では静岡熱海花火フェスティバルが誕生した背景や現地の様子についてお届けしてまいります。

静岡熱海花火フェスティバルについて

■開催日時
2021年10月23日 18:00〜21:30(花火打ち上げは20:00〜20:40)

■会場
熱海親水公園

■打ち上げ数
約5,500発

■最大号数
10号玉

■担当煙火店
イケブン、ホソヤエンタープライズ、臼井煙火、光屋窪田煙火工場、神戸煙火工場、静玉屋、三遠煙火、田畑煙火

■Webサイト
静岡熱海花火フェスティバル #海と干物と音楽と

文化庁の「ウィズコロナに対応した文化資源の高付加価値化促進事業」に採択されたイベントの一つで、2020年初頭より続く新型コロナウィルス感染症の影響で打撃を受けた花火文化の維持、地域経済の活性化を図ることなどを目的に開催されました。

煙火店さんを主体とした企画・運営、ステージイベントの実施、音楽と花火がコラボレーションしたプログラムが用意されるなど、同会場において通年で開催されている熱海海上花火大会とは異なる体制が取られました。

>> 熱海海上花火をレポート!超高速スターマインに大空中ナイアガラ。熱海だからこそ引き立つ花火の魅力に足を運ぶ価値がある!

静岡熱海花火フェスティバルはなぜ誕生したのか

そもそもなぜ従来から頻繁に花火大会が開催されている静岡・熱海において、しかも煙火店さんが主体となって手がける本イベントが誕生したのでしょうか。

コロナ禍による考え方の変化

大きなところとして、新型コロナウィルス感染症の流行によって経済的な打撃を受けた煙火店さんの考え方の変化があります。

一般的に花火大会は観光協会などの公的な団体が主催し、依頼を受けた煙火店さんがその演出を担うという体制が取られています。

大会を開催するか否かの判断は主催者に委ねられ、仮に中止となった場合、煙火店さんはその決定に従う他ないというのが実情でした。

新型コロナウィルス感染症の拡大を防ぐ観点から、大量の人流を招きやすい花火大会は相次いで中止・延期の判断が下され、煙火店さんの売り上げは大幅に減少…未曾有の苦境に立たされることになりました。

このままでは花火文化を継続・発展させていくことは難しい…逆境に立たされたイケブンさんが導き出した答えは「自らの手で新しい花火大会を作る」というものでした。

静岡・熱海の経済活性化

開催地に熱海が選ばれた理由として、日頃からの恩返しと経済活性化が挙げられます。

熱海といえば日本有数の温泉地で、観光業が市内における基幹の産業となっています。

しかしながら新型コロナウィルス感染症の流行により、熱海の基幹産業となっている観光業の消費はコロナ禍前と比べて大幅に落ち込んだ(参考:旅行・観光消費動向調査 2021年4-6月期)ことに加え、2021年7月3日に伊豆山地域で発生した土砂災害により、更なる苦境へと追い込まれてしまいます。

そんな熱海では従来より年間を通じて開催している熱海海上花火大会を通じて、積極的に地域経済の活性化を図っていて、コロナ禍においても2020年8月5日に花火大会を再開するなど、今日まで積極的に打ち上げを行っています。

イケブンさんはそんな熱海海上花火大会の打ち上げに長らく携わり、光を届け続けてきました。

苦境に立たされた熱海に花火を通じて「光」をもたらしたい…そんなイケブンさんの想いが今回の静岡熱海花火フェスティバルの開催へと繋がりました。

逆境から新しい光を!静岡熱海花火フェスティバル徹底レポート

さて、静岡熱海花火フェスティバルはいったいどのようなイベントだったのでしょうか。

今回、現地を取材させていただく機会をいただきましたので、その様子についてお届けいたします。

メイン会場概況

本イベントは全席有料観覧席という体制で行われ、熱海親水公園の一部区画にメイン会場が設けられました。

入場ゲートはムーンテラス付近に設けられ、コロナ禍での開催ということで感染症対策を施した上で入場する体制が取られました。

入場ゲート外観

入場前の検温の様子

入場ゲートに設けられた消毒液

ムーンテラスにはフード・ドリンクブースとステージ、観覧席はレインボーデッキ(Aエリア)およびスカイデッキ(Bエリア)に設けられました。

メイン会場外観(ムーンテラス)

観覧席にはハイバック型の椅子とテーブルが設けられ、快適に花火と食事を楽しめる環境が整えられていました。

観覧席に設置された椅子とテーブル

感染症対策の観点から座席数には制限が設けられ、各座席の間隔も広めに取られていました。

この他、入場ゲート付近では伊豆山土砂災害の義援金受付や模擬玉の展示も行われ、イケブンさんの法被に袖を通せるファンサービスも実施されていました。

伊豆山土砂災害義援金受付と模擬玉展示の様子

おおむね快適にイベントを楽しめる環境が整っていた反面、レインボーデッキとスカイデッキを結ぶ橋上で場所取りが行われるなど、動線部分については改善の余地も見られました。

フード・ドリンク

メイン会場内にはフードおよびドリンクを提供するコーナーが設けられ、熱海名物のアジの干物の他、多彩なフード、ドリンクメニュー(アルコール飲料含む)が提供されました。

フード・ドリンクブースの様子

注目の干物ブースでは鯵の干物が振る舞われる

飲食ブースは行列ができるほどの大盛況で、お祭りには屋台が欠かせない存在だということを改めて感じさせられました。

DJ TIME

ステージイベントと花火の打ち上げ前後に、矢部ユウナさんによるDJが披露されました。

花火大会では打ち上げの前後にBGMが流れることがよくありますが、DJによる生演出というのは新鮮味があって面白いものでした。

花火師さんによる挨拶

花火の打ち上げに先立ち、本イベントに参画する花火師さんによる挨拶が行われました。

ステージ上に勢揃いする花火師さんたち

静岡熱海花火フェスティバルへの想いを語るイケブン 高橋さん

これまで表舞台に立つ機会の少なかった花火師さんが勢揃いする様子は新鮮かつ圧巻でした。

三宅太鼓&阿波踊りによる演舞

花火師さんたちによる挨拶に引き続き、三宅太鼓と阿波踊りによる演舞がそれぞれ15分間にわたって行われました。

三宅太鼓の様子①

三宅太鼓の様子②

寶船の皆様による阿波踊りの様子①

寶船の皆様による阿波踊りの様子②

湘南なぎさ連の皆様による阿波踊りの様子

熱気あふれる演舞は圧巻の一言でした。

花火打ち上げ

ステージイベントに続き、本イベントにおけるメインとなる花火の打ち上げが40分間にわたって行われました。

プログラムは以下の4部構成。

■オープニング music 熱海ばやし
<参加煙火店>
三遠煙火

■ステージ1 お祭り JAPAN
<参加煙火店>
田畑煙火、臼井煙火、神戸煙火工場

■ステージ2 MADE IN JAPAN
<参加煙火店>
光屋窪田煙火工場、静玉屋

■ステージ3 FUJIYAMA
<参加煙火店>
ホソヤエンタープライズ

全編においてミュージックスターマイン、さらに各プログラムにおいてイケブンさんに加えて静岡県内に拠点・工場を持つ煙火店さんが参画するという、従来の熱海海上花火大会にはない構成が取られました。

まずは高瀬一郎さんの「熱海ばやし」とシンクロした盛大なスターマインで幕開けを果たします。

「熱海ばやし」は熱海海上花火大会の始まりを告げる楽曲としても親しまれていますが、ミュージックスターマインとしての登場はおそらく初めてと思われます。

続くステージ1 お祭りJAPANでは三宅太鼓と阿波踊りによる演舞と、和楽器を用いた楽曲に合わせてのミュージックスターマインが披露されていきます。

ステージ2 MADE IN JAPANでは日本を代表する祭り、アニメ、文化をテーマにした音楽に合わせての打ち上げ。

ここでは国民的キャラクターの型物花火が鳴き声に合わせて登場したり、まるでゲームをプレイしているかのような情景が描かれるなど、コミカルな演出が多く見られました。

静岡といえば富士山ということで、ステージ3 FUJIYAMAでは富士山をテーマに、壮大な音楽に合わせてのミュージックスターマイン。

締めには熱海海上花火大会の名物プログラムにもなっている大空中ナイアガラを彷彿させる白銀の花火も!

普段の熱海海上花火大会とはひと味違う充実の内容に興奮させられました。

なお、これとは別に昼花火の打ち上げも行われました。

こちらもメインイベントの花火に負けじ劣らず、かなり見応えのある内容だったようです。

まとめ

静岡県熱海市で開催された静岡熱海花火フェスティバル。

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響などにより打撃を受けた花火文化の維持ならびに地域経済の活性化などを図ることを目的に、煙火店さんが主体となって企画・運営を行う形で実施されました。

当日は感染症対策を適切に施した上で、音楽とシンクロした花火の打ち上げをはじめ、ステージイベントや特産品の提供など、熱海海上花火大会とはひと味違った充実のイベントとなりました。

本記事を通じて、イベントが開催された経緯や現地の様子について参考になれば幸いです。

なお、本イベントを主催したイケブンさんによると、今回の静岡熱海花火フェスティバルを機に今後も主体的にイベントを手掛けていきたいとのこと。

花火という日本の伝統文化を守りつつ、たゆまず進化し続けるイケブンさんの今後の活躍にも注目していければと思う次第です。

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
花火系散歩屋。関東を中心に年間で20〜50回ほど花火を観覧・撮影しています。花火がもっと楽しくなるブログ「ハナビディア」の運営も行っています。

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