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鳥越祭の千貫神輿!実は都内最大級?獅子との関わりも?歴史ある御神輿を拝観する

更新日:2021/6/15 稲村 行真
鳥越祭の千貫神輿!実は都内最大級?獅子との関わりも?歴史ある御神輿を拝観する

大きな神輿が登場することで知られる鳥越(とりこえ)祭。今年は神輿の渡御は中止となってしまったが、鳥越神社の境内にて展示のみ開催された。その神輿の名を「千貫御輿」という。重さは千貫(約3.75トン)に及び、都内最大級の神輿とも言われる。

また、私は日本全国の獅子舞について調査をしていることもあり、個人的には神輿はもちろんその左右に置かれた獅子頭にも興味があった。そういうわけで、6月上旬に鳥越神社を訪れた。規模が縮小された今年の鳥越祭の内容を含め、その様子をお届けする。

鳥越神社の境内へと向かう

鳥越神社の境内にて、2021年6月5日・6日の9:00~17:00の日程で、千貫神輿の拝観が行われた。都営大江戸線の新御徒町駅から徒歩で向かい、約10分で到着。普段見られない神輿が見られるということもあり、大勢の参拝客で賑わっていた。

堂々とたたずむ千貫御輿

少し並ぶと、東京一の重さを誇る千貫御輿の前に到着。近くから見ると金色がとても映え、迫力のある神輿だった。ただ動かずにたたずんでいるだけでも堂々とした風格があった。

千貫御輿の両脇の獅子頭にも注目

私が注目したのは、この千貫神輿の両脇に置かれている黄金に輝く獅子頭。御神輿の守護獣のように睨みを効かせる姿とその造形には圧倒された。御神輿から見て左手の獅子頭には、一本の大きな角がある。渦巻き模様が立体的になっており、先が尖っているこのような形態のものは珍しい。

御神輿から見て右側の獅子頭には角が無く、擬宝珠(ネギの花の形をしたもの)が乗っている。この角と擬宝珠で一対となっている点では、鳥越神社の近くの浅草神社で行われるびんざさら舞の獅子頭と似ており、かなり古い形態を今に伝えるものだろう。獅子頭の目の前には、氏子の方々が奉納された大きなお餅が置いてある。

期間限定の御朱印もあり

参拝が終わると、境内でお守りや御朱印を頂く事ができる。「鳥越神社」の文字が入った御朱印は、このお祭り期間中のみのデザインとなっており特別感がある。

神社周辺を巡る大太鼓

また鳥越神社の周辺を歩いていると、様々な場所で鳥越神社の掛け軸とお供え物、それを囲う紅白の幕が見られた。幕の左側に「轟く大太鼓」の文字があるように、今年は大太鼓の巡幸が粛々と行われており、立ち寄る場所のようだ。

それからしばらく歩くと、大太鼓の巡幸に遭遇。神社の周辺を順々に回っているという。太鼓が大きい分、叩く音はズシーンと重く、体の奥の方まで響いてくる感じがする。沿道には見物する地域の方々もいて、太鼓が止まると記念撮影をする姿も見られた。

大太鼓の巡幸を見たのち、都営大江戸線の新御徒町駅方面に歩いて帰った。新型コロナウイルスの影響もあり規模が縮小して、一番の見所とも言われる神輿の渡御が中止になってしまったとはいえ、思った以上にお祭りの雰囲気を味わう事ができた。

歴史ある鳥越神社とそのお祭り

ところで、鳥越祭はいつどのように始まったのだろうか。鳥越神社で頂いた資料を確認してみた。鳥越神社の創建は白雉2(651)年に遡り、日本武尊が東夷征伐の際にしばらく滞在したのちに、土地の人々がその徳を慕い祀ったことに始まるそうだ。当時は白鳥神社といったが、平安後期に八幡太郎義家が奥州征伐の際に川を渡る時に、白い鳥に浅瀬を教えてもらったことからそれを起源として、「鳥越」という地名が起こったとのこと。神社の名前もそれに由来するようだ。

江戸時代にはすでに鳥越祭が行われていたそうで、6月9日という日本武尊の御縁日に例大祭、その日に近い日曜日に鳥越の夜祭りを行なっているとのこと。千貫御輿が登場するのは、この鳥越の夜祭りの方である。神社の創建に始まり、古くから脈々と受け継がれてきた歴史を感じられる鳥越祭の雰囲気を体感する事ができ、充実した1日だった。

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
日本全国500件以上の獅子舞を取材してきました。民俗芸能に関する執筆、研究、作品制作等を行っています。

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