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【しぐれ桜法要】良い人だけが辿り着ける極楽の寺「月輪寺」

更新日:2020/6/11 佐々木 美佳
【しぐれ桜法要】良い人だけが辿り着ける極楽の寺「月輪寺」

「月輪寺(つきのわでら)」。
それは京都市内の寺社仏閣でトップクラスに入る難関参拝のお寺。

終点「清滝」のバス停から登山口まで徒歩2㎞、そこから登山2㎞の場所にあるお寺。
だいたい半日かかって行く場所です。

毎月15日は月輪寺で空也念仏講話があるのですが、「しぐれ桜」と合う時期とかけ合わせますとチャンスは5月15日の一日のみです。

◆京都市内で登山?!登拝準備とルートはコレ!

◆登山初心者向けの持ち物

・スポーツシューズかトレッキングシューズ
・ウィンドブレーカー
・レインコートとジップロック(携帯用)
・ストック(トレッキングポール)
・携帯充電器(←これ重要!圏外が多いため消耗が速い)
・懐中電灯(100均の小さいものでも良いので念のため)
・折畳の小さな椅子(休みたい人向け)
・ペットボトルの水2本
・軽食

◆愛宕山登山ルート

京都駅出発の場合、乗り換えなしに一本で「清滝」まで行けるバスはありません。

まずは阪急嵐山か嵐電嵐山へ向かいます。(JR嵯峨嵐山は少し遠いです)
それから京都バスに乗り換えて終点「清滝」下車。

愛宕山のルートは3つ。愛宕神社までの表参道、月輪寺コース、柚子の里・水尾コースがあります。
愛宕山に来る方の多くの参拝者は、火の用心「火迺要慎」のお札で有名な「愛宕神社」へ向かいます。
京都人にとっては「三歳までに愛宕神社に行くと火事にあわない」と子供と一緒にお参りする場所。とはいえ途中にはトイレもない登山。「三歳参り」は子供への愛を感じずにはいられません。今回おすすめの月輪寺は愛宕神社の帰りにぜひとも寄っていたただきたいお寺です。

清滝のバス停から登山口に行く途中にトイレと自動販売機が一つあります。
このあとは本当に帰って来るまで山のみ。なにもありません。

初心者向けの山で分かれ道も看板があって道はわかりやすいですが、事前に「愛宕山登山安全マップ」を見ておき、登山計画書を提出しておくことをオススメします。

愛宕山登山安全マップ(京都府警察作成)
京都府警インターネット登山計画書提出システム

月輪寺・登り口「空也第三橋」まで清滝川沿いの2㎞は平坦なコンクリートの道。
月輪寺の駐車場はこの登り口のところに3台まで停車可能です。

◆月輪寺参道で山の氣に触れる

登り口には英語や中国語で「5時間はかかるので9~17:00の日中のみ通行可能」と書いてあります。

『Attention Mountain Hikers
ATAGO MOUNTAIN
To climb to the top of this mountain and return here takes about 5 hours or longer.
It is very dangerous to climb after sunset.
People getting lost and having accidents have happend.
Please allow enough time to climb and return before sunset.』

山は開放的な気持ちになりますが、コロナの際はお寺や神社の方に何かあってはいけませんので、マスクをして行きましょう。

階段を作ってくれた方に感謝しながら登山開始。
月輪寺まで1時間半ほどこのような道が続きます。

愛宕神社までの表参道は50丁目まで町石がところどころにあります。
18丁目「壺割坂」や古典落語 愛宕山に出てくる「25丁目なかや跡」など、由緒がわかる看板を見ながら登ると面白い。

月輪寺のへ参道は町石に微妙なバランスの石が積んであり、目を楽しませてくれます。

霊水奇蹟跡「身助地蔵」までくれば、あと三分の一くらい!

ベンチを用意してくれている場所には「つらくとも こらえて登れ皆の衆 大師聖人にあうと思えば」の看板。ここまでくれば、あと少しで月輪寺に到着です!

◆恋のパワースポット満載!しぐれ桜、子宝もみじ、龍女水

まずは自然の恵みのパワースポットをお参りしていきましょう!

月輪寺境内に到着すると樹齢千年の「子宝もみじ」がお出迎え。
本当に赤ちゃんが寝ているような形をしています。この紅葉は夫婦円満のご利益があります。

霊水「龍女水」
空也上人が龍神からさずかったという霊水です。
水道はないため、この霊水は生活用水でもあり、まさに命の水。



しぐれ桜

そして親鸞上人のお手植えという時雨桜。
このしぐれ桜は4月中旬から5月中旬の間に涙を流すと言われています。

研究者が何人来ても理由がわからないというその桜の涙。
それは法然上人との別れのときの「親鸞の涙」と言われています。

訪れた日は1週間ほど雨は降っておらず、地面も葉っぱ自体も乾いてますが、ゆっくりと桜を眺めていると目が慣れてきて、葉先が丸まっている先に雫が見えてきます。

自然豊かな月輪寺。「鹿やマムシが出る」という注意の看板を見た途端、本当に山の斜面に鹿がいました。小鹿がいるときは親鹿は襲ってきますので、写真を撮るよりもまず自分の身を守りましょう。

◆月輪寺は源氏物語、明智光秀、空也上人、法然上人、白洲正子ゆかりの地

親鸞聖人の像が立っているのが本堂です。
親鸞聖人は非僧非俗(お坊さんでも一般の人でもない)ことを貫いたひと。
※親鸞(法然上人)については「ほぼ日」「浄土宗親鸞会」「1から分かる親鸞聖人(アニメ有)」参照

住職の横田さんにお話を伺いました。
「38歳からここに来て、73歳になりました。ここに来るのは良い人だけ。極楽ですよ。」心配をして縁のある人が食事を持ってきてくれる。奈良の生駒山まで見える景色を見ながら住職はそう仰ってました。

宝物館は事前に電話予約が必要です。

今回は特別に宝物館の中を撮影までさせていただきました!

重要文化財の坂上田村麻呂作の十一面千手千眼観世音菩薩をはじめ、こんな山奥で素晴らしい仏像が拝めるなんて!と大感激。

中でも衝撃なのは鎌倉時代に作られた空也上人像。六波羅蜜寺以外にもあるんだ!と驚き。
とても美しく見えますが、カビが生えて大変なのだとか。電気も漏電すると怖いとなかなか使えない環境での維持は難しいようです。

次は本堂の中を案内していただきました。

月輪寺は戦国武将・清和源氏の聖地。
「源氏物語」の「宇治十帖」で二人の宮様から愛され、思い悩んだ「浮舟」を救う僧「横川僧都(よこかわのそうず)」のモデル、僧侶「源信」が作った本尊・阿弥陀如来坐像があります。

感激しすぎて、解説を聴きながら手早く撮影するのに必死。
三脚を持ってきていたのに気づいたのは下山してからでした。

次はしぐれ桜の裏にあるお堂へ移動。

こちらも見上げると格天井になっており、立派な伽藍がありました。
法然・親鸞・円澄の三祖師像が並びます。

お堂を出て見上げると欄干も見事な装飾。

樹齢500年以上の天然記念物・日本石楠花は明智光秀が植えたというシャクナゲ。
四月中旬には美しく咲いていたそうです。

随筆家の白洲正子さんが何度も訪れたというのも納得。
ゆっくりと滞在しすぎて、愛宕神社に行くには天候と時間的に厳しいため次回のお楽しみ。
月輪寺だけでも十分、堪能。素晴らしかった!
横田住職、ありがとうございました!

帰りの道は脚が小石を上滑りするのに要注意!
前傾姿勢で前に倒れやすいので、下山の時はストック(トレッキングポール)が大活躍します。

まだ元気と時間がある方は長さ12m(15mともいわれている)、幅1mの京都最大級の滝「空也の滝」に寄っていくのがオススメ。

帰りは阪急嵐山駅までのバスが一時間に一本くらい出ています。
参考:清滝出発時刻表
安全に帰って来てくださいね。

月輪寺では御朱印をいただきました。
おすすめは「戦国 恋みくじ」。明智光秀が織田信長のいる本能寺に向かう際に引いたという伝説のおみくじです。恋の戦いの前に引くと良いそうですよ。

水もガスもない山の中に住むこと自体が修行。
住職のお父様が棟梁でこの山の中に作ってくれたという小屋には「水風呂」の文字。
焚火は消防法により山の中では危険とのことで冬でも水風呂です。

以上、月輪寺のレポートでした。最後までお読みいただきありがとうございます!
重要文化財もたくさんあるお寺ですが、経年劣化とともに台風の被害で破損しています。山深く、職人が来るのにも莫大な資金が必要です。

府や市からの支援が受けるには檀家が五件がないといけないのですが、車道まで2時間という立地で月輪寺は大変困っております。
お気持ちで結構ですので義援金をお願いいたします。

豪雨災害復興義援金お振込先

ゆうちょ銀行 00940-1-90527 横田智照 月輪寺

法然上人二十五霊場 第18番 月輪寺 (つきのわでら)

年間行事:
元旦 新春護摩
4月16日~5月20日 しぐれ桜法要
10月第四週 土・日・月 報恩講

毎月の行事:
15日 空也念仏講話

〒616-8456 京都府京都市右京区嵯峨清滝月ノ輪町7
075-871-1376
JR京都駅から京都バス「清滝行」 終点下車 徒歩山路 2km、登山 2km (登山口に3台駐車可能、要予約)
10:00〜14:00 雨天参拝不可
宝物館(要予約)500円

最新の拝観情報はTwitterをご確認ください。
https://twitter.com/obrin2525


https://www.25reijo.jp/reijo/18.php
https://earth-traveler.com/tsukinowadera

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
毎日「京都散歩の旅」なカメラマン。
奈良・吉野アンバサダー。観光経済新聞、楽天トラベル等を執筆。聖地と舞が好き。民俗芸能や瀬織津姫研究中。
instagram @kyoto.photographer
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