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大和郡山「お城まつり」夜桜と天守台のライトアップ

更新日:2023/4/7 佐々木 美佳
大和郡山「お城まつり」夜桜と天守台のライトアップ

金魚と城の街「大和郡山」

郡山城跡の桜は「日本さくら名所100選」に選ばれる

奈良の大和郡山は、戦国大名の筒井順慶が築いた郡山城を中心に誕生した城下町です。筒井氏の後、秀吉の実弟・豊臣秀長が治めた時代、大和・紀伊・和泉100万石を与えられた秀長の拠点にふさわしい城として大きく発展しました。豊臣の本拠・大坂城を守る城として、防御のための曲輪や本丸など城郭も拡大され、城下には堺などから商人や職人が集められたそうです。
江戸中期に甲府藩から転封された柳澤吉里(8代将軍・徳川吉宗の側用人・柳澤吉保の子)の時代を通じ、郡山城は大和郡山15万石の中心地として発展しました。この柳澤吉里の影響で盛んになったのが金魚の養殖です。金魚好きの吉里が家臣にも金魚鑑賞を奨励したことで、金魚養殖は下級藩士の内職にもなったといわれています。その後、幕末〜維新の頃になると藩士たちの副業として栄え、今や年間6000万匹を出荷する「金魚の街」として有名になりました。

郡山城は明治維新後に廃城となってしまいましたが、1961年に遺構が文化財指定を受けて以来、追手門や櫓、天守台なども整備され、本丸跡に建つ柳澤神社とともに往時を偲ばせる城跡スポットとなっています。

また、秀長はじめ歴代城主たちは桜を好んでいたようで、郡山城内にはたくさんの桜の木が植えられ、柳澤神社の創建の頃にはかがり火を焚いて夜桜を楽しんだという話もあります。この郡山城の桜は「日本さくら名所100選」にも選ばれていて、現在約800本の桜と櫓などの城跡が織りなす景観が多くの人々を楽しませています。

「金魚ストリート まちなか水族館」と呼ばれる郡山柳町商店街には、本物の金魚が泳いでいる水槽が取り付けられた「金魚灯籠」「金魚自販機」「金魚改札機」などの金魚スポットもあります。

スタンプラリー「御金魚帖」のハンコ、球体水槽。奥はマック水槽、アップル社の「iMac」を改造したインテリア。

商店街で一番たくさん金魚がみられるのは「金魚カフェ」。10個ほどの水槽があり、まるで水族館の中にいるようです。

人気メニューは本物の金魚鉢を使った「金魚ソーダ」と金魚の形にくりぬいたフルーツが入っている「金魚あんみつ」。

今回はこの金魚の街で行われる春のイベント「大和郡山お城まつり」を紹介いたします。

大和郡山お城まつり

「大和郡山お城まつり」は、郡山城の城跡を中心に行われるお祭りです。お祭りの始まりは1961年、天守台やお城の城壁に、たくさんの石仏や墓石が積み込まれているのを知った地元の方々が、その霊や城にまつわる諸霊を慰めるため「数珠くり法要」を行ったこと。その後、まちの誇りである金魚の品評会や伝統行事などを桜の時期に集中して行うようになったのです。

2023年は実に4年ぶりに祭りが通常開催され、3月24日から4月7日までの日程で、柳澤吉保公を祭神とする柳澤神社の拝殿前で金魚品種展や金魚即売会が行われたり、日替わりでお茶会、音楽イベントや日本舞踊やよさこいなどの踊り、武道大会が行われます。

「箱本館紺屋」で行われた三味線と日本舞踊

お祭りの当日、城跡内には70軒以上も屋台が出ており、たくさんの人たちが懐かしのたこせんや、SNSで流行中の10円パンなどを食べ歩きをしていました。

10円パン。甘目の生地の中にたっぷりのチーズ。※10円では買えません。

コロナも少し落ち着いたなと感じる風景です。お祭りの光景が普段に戻ったことからも日常のありがたさを感じます。

数珠くり法要

お城まつりの最初の行事は柳澤神社での奉告祭。

祝詞をあげてお城まつりがはじまります。

次になぎなた形奉納。続いて天守台の周りで「数珠くり法要」が行われました。これは石垣に使われた墓石や石仏を慰霊するために行われています。

女王卑弥呼交代式

「女王卑弥呼」とは大和郡山の観光大使。邪馬台国が大和郡山市にあったという学説を元に市が1982年から始めたキャンペーンです。1年間の任期を終え、新たな観光大使への交代式が行われます。

メンバーは郡山在住以外の方もいらっしゃり、郡山のことを勉強して、日本各地に行って自分の言葉で郡山の魅力を発信していきます。卒業する卑弥呼さんたちはスピーチやマナーなどを教えてもらい成長できたこと、現場でうまく話せず失敗をしたこと、普段はできない経験をできた感謝などをお話ししていました。

中でも新しく任命された第41代卑弥呼の原さんの「『一言芳恩(いちごんほうおん)』、声をかけてもらった恩を忘れない」という言葉が印象的でした。

時代行列・白狐渡御

浄瑠璃「義経千本桜」由来の源九郎稲荷神社の例祭は3月26日にあり、時代行列の白狐渡御では白狐に扮した子どもたちが踊りながら練り歩きます。2023年は残念ながら雨天で中止となりました。

源九郎稲荷神社の境内に行ってみると桜と菜の花の競演も見られました。

例年の白狐渡御の様子(写真提供:大和郡山市観光協会)

例年の時代行列の様子。(写真提供:大和郡山市観光協会)

夜桜ぼんぼり・天守台ライトアップ

追手向櫓と桜のライトアップ

日が落ちるといよいよ天守台のライトアップがはじまります。

まずはお城のように見える追手向櫓と桜を撮影しに行ってみました。お堀の水に映る追手向櫓を撮りたかったのですが、お堀の周りには木が生えており、かなり足の長い三脚がないと難しそうです。

他には屋台と桜並木を撮ってみました。三脚を使うと、歩いている人の軌跡が写ります。

今度は天守台の上に登って郡山城全体と郡山の街並みをパシャリ。昼間と全く違う光景が撮影できました。楽しかった!

お城まつりの期間に柳澤神社で行われる金魚品種展

来る時間帯や日にちによっても楽しみ方がたくさんある大和郡山お城まつり。何日も通って、もっとたくさんの思い出を作りたくなりました。

祭り開催情報

名称 第63回 大和郡山お城まつり
開催場所 奈良県大和郡山市城内町2
郡山城跡および城下町一帯
開催日 2024年3月24日(日)~2024年4月7日(日)
主催者 (一社)大和郡山市観光協会、奈良県郡山金魚漁業協同組合
アクセス 【電車】
近鉄「近鉄郡山駅」より徒歩約10分
JR大和路線「郡山駅」より徒歩約20分
【シャトルバス】
アピタ大和郡山店から無料シャトルバスの運行あり
関連サイト https://www.yk-kankou.jp/
この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
毎日「京都散歩の旅」なカメラマン。
奈良・吉野アンバサダー。観光経済新聞、楽天トラベル等を執筆。聖地と舞が好き。民俗芸能や瀬織津姫研究中。
instagram @kyoto.photographer
https://earth-traveler.com/

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