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祭りでなぜ名刺交換!?日光の春の風物詩「弥生祭」が2023年も開催!

更新日:2023/5/1 高橋 佑馬
祭りでなぜ名刺交換!?日光の春の風物詩「弥生祭」が2023年も開催!

日光の春祭り

栃木県日光市。世界遺産を有する街として国内外問わず広く知られている土地です。その世界遺産を構成する日光の社寺には徳川家康を祀る日光東照宮日光山輪王寺、そして下野国一之宮の二荒山神社がありますが、この二社一寺を舞台に毎年4月13日から17日の5日間で開催されているお祭りを今回はご紹介します。そのお祭りの名は「弥生祭」です!

弥生祭

弥生祭は二荒山神社の例祭として開催されているお祭りです。旧暦の時代には3月に開催されていたため弥生祭の名が付けられています。

5日間のお祭りの会期の中でも最終日の4月17日は特に盛大に実施され、例祭の付祭として東西に分かれた11か町から家体(やたい)が繰り出すのも特徴的です!

弥生祭11か町の名が記された提灯が二荒山神社境内に掲げられる。上が西町4か町、下が東町7か町。

ここからは今年の4月17日の弥生祭の様子をお伝えしていきます!

11か町の花家体が進む

江戸時代に整備された交通網の五街道。その中で東京の日本橋から日光東照宮へと繋がる日光街道(現在の国道119号等)の終着点近く、神橋の前へと10時過ぎにやってくると、たくさんの家体が並んでいました。

こちらは東町7か町の運行ルートで、ここからは坂道を上り二荒山神社を目指していくことになります。

弥生祭

家体と書いて「やたい」と呼ばせる日光ですが、屋根部分にピンクのヤシオツツジの造花が飾られ、別名「花家体」とも呼ばれる美しさも魅力の一つです。連なる家体の前では、行列に参加の皆様が準備をしていました。

弥生祭

さあ、家体が出発です!古い建物が残る日光の街並みを、華やかな家体が進んでいきます。

弥生祭

地元の女の子たちも着飾って家体行列に参加!

弥生祭

歩みを進める家体は神橋へと差し掛かりました。大谷川に掛かる木造漆塗りの橋は映えますね。

弥生祭

神橋の横を通り過ぎると、いよいよ二社一寺の世界遺産エリアへと入ります。またここからは難所の長坂を進んでいくことになり、急勾配の坂道を進む家体が見られるのもポイントです。

弥生祭

長坂を上っていきますよ。一層気合が入ります。

弥生祭

参加者一丸となって、綱を引いていきます!

弥生祭

長坂の途中にはカーブもあるんです。声を上げて家体を引っ張り上げていきましょう!

弥生祭

家体の前方では、女の子たちが記念写真を撮ったり、華やかに先導して歩いていました。

弥生祭

弥生祭

長坂を登り終えた家体は、輪王寺、東照宮の前を通り、二荒山神社へと真っ直ぐ向かいます。幅の広い参道ですね。

弥生祭

家体の前方に見えているのは、東照宮の鳥居と表門。世界遺産に囲まれながら家体が運行されているのが実感できる地点です!

弥生祭

二荒山神社へ繰り込む

11時前後の二荒山神社鳥居前へとやってきました。この時間になると東西11か町の花家体が勢揃いし、互いにお囃子の音を上げお祭りの雰囲気も盛り上がってきます!

弥生祭

家体の中では、このようにお囃子を奏でていますよ。

弥生祭

西町4か町の皆様も到着していました。花石町の女の子たちは黄色メインの着物なんですね!

弥生祭

同時間、二荒山神社の社殿では、最も重要な神事である例祭が執り行われています。家体はこの例祭の付祭(つけまつり)という形で繰り出しているんです。

弥生祭

鳥居下へと戻ってくると、いよいよ家体が鳥居をくぐり、二荒山神社の社殿へと向かおうかというタイミング。ここから勢いよく坂を駆け上ってきますよ!

弥生祭

花石町の家体が鳥居をくぐり終えました!沿道からはおおーっと言う歓声が上がります。

弥生祭

弥生祭

お囃子と、そーれっの掛け声が良いですね!

続いては稲荷町です!

弥生祭

大工町も続きます。花が鳥居のしめ縄すれすれで迫力がありました!

弥生祭

鳥居の後には朱塗りの神門もくぐります。門の幅ぴったりの家体が通っていくのは迫力満点!

弥生祭

そのまま拝殿の前まで進み、拝礼を。厳かな雰囲気になりますね。

弥生祭

1か町、行列の皆様揃っての拝礼です。

弥生祭

二荒山神社の社殿前へと到着した家体では、再びお囃子の奏で合いが行われます。家体が運行していた時とは変わり、落ち着いた雰囲気の中でお囃子が響くのも良いものですね!

弥生祭

11か町の家体が、二荒山神社の拝殿前へと集結。この後には弥生祭の特徴の一つである、名刺交換が行われます。

弥生祭

必見、名刺交換

名刺交換というと、社会人になれば経験する方も多いかと思いますが、お祭りの中で実施されるのは非常に珍しいことではないでしょうか。
弥生祭は格式通りに古いしきたりを重んじながら進めていくのが重要とされ、「ごた(トラブル)」が起きないように各町が気をつけながら行われているお祭り。一旦何かを間違えると町同士の「ごた」となることから「ごた祭り」とも呼ばれています。そんなごた祭りの側面が垣間見えるのが、名刺交換なんです!

名刺交換は、その名の通り各町の代表がお互いに挨拶をするために実施されます。正装をした男性(羽織袴の頭役1名、裃姿の行事2名)が随時相手の家体の前へ進み、各所で行われる名刺交換の姿は見どころです!

弥生祭

行事のお二人が、三つ指を地に付け口上を述べていきます。

弥生祭

そして手を伸ばし名刺交換。

弥生祭

町名が書かれた名刺を本当に渡しているんですよ!

弥生祭

同時多発的に、あちらこちらの家体の前でも名刺交換が行われていきます。

弥生祭

古式に則った方法で、見応えがありますね。

弥生祭

ちなみに口上では、「〇〇町から参りました。当日はおめでとうございます。御町内御一同様によろしく。」と緊張感を持って高らかに述べられています。「当日」と言うのも特徴的なところ。「ごた」が起きないように、しっかりと務められていきます。

弥生祭

花の咲く家体を背景に、伝統を重んじ名刺交換が行われていく姿は美しいものです。

弥生祭

弥生祭

弥生祭

神明廻りと手打ち式

名刺交換を終えると、続いては二荒山神社の本殿へとお囃子の奉納に向かいます。拝殿を一周するように運行され、神明廻りと呼ばれています。

弥生祭

まずは拝殿の前で拝礼。

弥生祭

そして拝殿を時計回りに進みます。拝殿の奥にある本殿が見えてきました!

弥生祭

次々に家体が本殿の前へとやってきますよ。

弥生祭

本殿横ではまだ桜が咲いていました。ヤシオツツジと桜の共演ですね。

弥生祭

本殿の正面を取り抜ければ、神明廻りもまもなく終了となります。

弥生祭

神明廻りを終えた家体は東照宮へと続く上神道へ。

弥生祭

こちらに順に並び、暫しの休憩となります。

弥生祭

弥生祭

この間に続いて行われるのが、拝殿前手打ち式。各町の筆頭頭役らが拝殿前に並び、式典が行われます。

弥生祭

弥生祭

手には筆頭頭役と書かれた提灯が。各町の町名も一字刻まれかっこいいですね。

弥生祭

落ち着いたところで神職の方からご挨拶。今年の弥生祭の無事の開催への感謝と、来年への意気込みが語られていました。

弥生祭

挨拶を終え、最後は「3・3・1」の日光じめ。見事に今年の弥生祭が締められました!

二荒山神社を後にし、各町へと帰っていく家体。上神道を進みます。

弥生祭

上神道の先にあるのが東照宮です。東照宮でも家体を正面へ向けてご挨拶。

弥生祭

帰りは東照宮の鳥居もくぐりました。こちらの鳥居に掲げられている扁額の文字は、後水尾天皇のものなんだとか。そして鳥居を奉納したのは福岡藩初代藩主の黒田長政で、なんと福岡産の石を使用して作られています。

弥生祭

東照宮前の参道も急坂になっていて、力を合わせての家体の運行が必要です。

弥生祭

弥生祭

どんどん参道を下っていきます。

弥生祭

輪王寺の門前でも再びご挨拶。この後は世界遺産のエリアも抜け、各町へと家体が帰っていきました。

弥生祭

二荒山神社へのアクセス

・東武日光駅より徒歩約35分

・JR日光駅より徒歩約40分

※各駅より二荒山神社周辺への路線バスの運行もあり

弥生祭都内から日光へ向かう際には、浅草や北千住等から出ている東武鉄道の特急が便利です(浅草駅と東武日光駅間を1時間48分でつなぐ)。

毎年4月17日を中心に開催されている弥生祭。ぜひ日光の春を感じに来てみてください!

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
1991年生まれ。仙台出身、埼玉育ちの祭り好きです!東北、関東のお祭りがメインですが、全世界おもしろいお祭りがあったら駆けつけます!お祭りのレポートは現地の臨場感を大切に写真・動画を活用し紹介。各地のグルメ情報もお伝えします!

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