岡山県岡山市の東部に位置する西大寺エリア。かつてここは、船運が発達し商人の町として栄えた港町でした。今も残る歴史建築の数々が、昔の姿そのままに活用される様子は、「偉大なるフツウの町」と言ってもいいでしょう。
町の発展の象徴でもある西大寺観音院では、毎年2月に「西大寺会陽」が行われ、宝木(しんぎ)を求める男たち約1万人が集結、それを一目見ようと約3万人の参拝客が境内を埋め尽くします。異様な熱気の中、福男の座をかけて宝木を獲ようと男たちがもがく様は、忘れられない光景として脳裏に焼きつくことでしょう。
歴史と文化が交差し、いまも様々な形でノスタルジックな体験ができる町、西大寺。その魅力をご紹介します。
毎年2月の第3土曜日、1万人もの裸の男たち(通称:裸)が西大寺の本堂にひしめき合う様は「天下の奇祭」として広く海外まで知られています。
当日は境内を裸たちが練る「地押し」と冷水に浸かって身体を清める「水垢離」が行われ、22時には本堂の大床に投下される宝木を求めて男たちの大渦が生まれます。この時、大床には一升桝(約8.5cm)にひとりの割合で「裸」が詰め込まれ、その熱気で水蒸気が立ちのぼるほど。壮絶な渦の中、宝木を手にして無事に本堂を出たものは「福男」とされ、一年間の御福が約束されると言われています。
この日、西大寺の各家庭では裸の着替え場所と飲食物などを無償提供する「御振る舞い」を行い、参加者を支えます。老若男女が一体となり盛り上げる、西大寺の地域にとっても欠かせない祭りなのです。
西大寺門前町のまち並みは、14世紀頃西大寺観音院の境内にできた市から門前町へと発達する中で形成されました。戦前までは、商業の花形であった呉服店(天満屋・山仲・山直)などの店舗が軒を並べるなど、この一帯の中心地として繁栄しました。
西大寺観音院の北側に位置する200mほどの長さの五福(ごふく)通りには江戸・明治・大正・昭和の建物が混在し、今でも形を変えずに活用されています。食事やコーヒー、クラフトビールを楽しんだり、お土産品を購入したり、楽しみ方は様々。
温かな町の人々があなたを出迎えます。商人の町として栄えた西大寺の息吹にふれながら、のんびりとした時間をお過ごしください。
歴史的な建造物が多く残るこの町は数々の映画やドラマの舞台としても使用されています。
特にレトロな店舗が多く連なる「五福通り」はその中心となっており「ALWAYS 三丁目の夕日」をはじめとした昭和が舞台の作品が多数撮影されました。
ロケ地巡りをすれば、あなたも作品の一部に。あのワンシーンを想像しながら散歩をしたり、あの俳優になりきって記念撮影をしたり、思い思いの時間を味わってみてください。
軒先や店内にロケの様子を写したパネルが飾ってあるお店も多数。店主さんとお話しをすると、映画撮影の裏話なんかも教えてもらえるかも?