オマツリジャパン

秋が訪れ、文化祭シーズン到来! やはり、青春アニメに欠かせないのが、地元の祭りと文化祭(異論は認めます)ですよね。特に最近は、アニメのモデルとなった地域で実際に行われている祭がアニメに登場するケースも多いようで……。
最早、聖地巡礼とオマツリは切っても切り離せません!
というわけで、今回はアニメに関連するオマツリを6つまとめてみました。

① 土師祭 ×「らき☆すた」

土師祭 ×「らき☆すた」
Copyright 土師祭輿曾・久喜市商工会鷲宮支所. All Rights Reserved.

久喜市(旧鷲宮町)の鷲宮神社通り商店街で行われる鷲宮神社の秋祭りです。
関東一円から集まる担ぎ手のプロ達が、関東最大級の「千貫神輿(せんがんみこし)」を担ぐほか、
鷲宮神社が人気アニメ「らき☆すた」の聖地であることから「らき☆すた神輿」(2008年~)も登場します。
聖地巡礼の先駆けとも言える地域で、地域の住民とアニメファンとの息の長い交流が続いています。

らき☆すた
アニメやゲームが大好きな、オタクな女子高生・泉こなたと、その友人でゆったりした性格の柊つかさ、
つかさの双子の姉でツッコミ役の柊かがみ、容姿端麗で博識ながら天然でもある高良みゆきの4人を中心に、
周囲の人々も含めたまったりとした普段の生活を描く。美水かがみによる4コマ漫画作品が原作。

(土師祭)
■日時:9月2日(日)(毎年9月の第一日曜)
■場所:鷲宮神社通り
■交通:東武伊勢崎線「鷲宮駅」東口より徒歩約5分
http://www.wasimiya.org/hajisai/index.html

② 飛騨古川きつね火祭り✕「君の名は。」

飛騨古川きつね火祭り✕「君の名は。」
© Hida City

「君の名は。」に登場する夏祭りとピッタリ符号するオマツリは残念ながらありませんが、
「君の名は。」に登場する架空の街「糸守」のモデルとされる飛騨古川には、
「きつね火祭り」と呼ばれる幻想的な奇祭があります。

そもそも、彼の地に伝わる怪異「きつねの嫁入り」とは、
嫁入り行列の提灯の群れを思わせる夜間の無数の怪火のこと。
飛騨古川では、この行列を見た人は、五穀豊穣・家内安全・商売繁盛のご利益があるとされています。

その「きつね火祭り」では、漆黒の闇の中、松明の灯りをゆらしながら数十人にも及ぶきつねの嫁入り行列が静かに進んでいく――
そんな幻想的な光景が展開されます。「君の名は。」に出て来たような口噛み酒は残念ながら登場しませんが、
これなら「君の名は。」で描かれた糸守の夜の雰囲気に十分ひたることができますね。
(実際、多くの人がすでに「聖地巡礼」に訪れているようです)

ちなみに、行列の主役を務める花嫁・花婿は全国からの応募で決定されるのだとか。
あと、この記事を書きながら……「え? ラストで奥寺先輩って結婚してたの?」
「奥寺先輩の結婚相手って、え? マジ?!」

「君の名は。」
新海誠監督によるアニメーション映画(2016年)。飛騨の山奥で暮らす少女・三葉(みつは)と東京に暮らす少年・瀧(たき)との身に起きた「入れ替わり」現象のナゾと、1200年ぶりに地球に接近するという架空の彗星「ティアマト彗星」をめぐる出来事を描く。

(飛騨古川きつね火祭り)
■日時:9月22日(土)(毎年9月第4土曜)
■場所:飛騨市古川町内(岐阜県飛騨市市街地)
■交通:JR飛騨古川駅から徒歩5分
https://www.hida-kankou.jp/event/1339/

③ 龍勢祭✕「あの花」

龍勢祭✕「あの花」

この吉田の「龍勢」は、アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(通称「あの花」)の中でも、物語を象徴する大事な場面で取り上げられ、それをきっかけに全国的に有名になりました。

その内容はというと、十数分おきに30数本の手作りロケット「龍勢」を発射し、神様に奉納するという一風変わったもの。
白煙を上げて昇る姿が龍が昇天する姿に似ていることから、「龍勢」と呼ばれています。

繊細な「龍勢」は点火するまで高く上がるか、失敗するかわかりません。そのドキドキ感とともに、花見ならぬロケット見と洒落込む風情がたまりません。


この龍勢祭りでは、「あの花」にちなんだ「あの花」龍勢も上がり、「あの花」とコラボしたグッズも売られているので必見です。

(1分9秒あたりのシーンに注目)

「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」
小学校時代に「超平和バスターズ」という名のグループを結成して秘密基地に集まって遊ぶ間柄だった6人は、「ある事件」をきっかけに決別し、中学卒業後の現在では疎遠な関係となっていた。そんな時、引きこもり気味の主人公「じんたん」の前に、かつての幼馴染みの少女「めんま」が突然現れる。自分の願いを叶えて欲しいと頼む「めんま」に途惑う「じんたん」は……。全11話。劇場版もあり。

(龍勢祭)
■日時:10月14日(毎年10月第二日曜)
■場所:秩父市吉田 椋神社周辺
■交通:西武秩父駅より「龍勢会館」行の臨時バスあり
http://www.chichibuji.gr.jp/event/ryuusei/

④ 湯桶ぼんぼり祭り✕「花いろ」


写真:湯涌温泉観光協会

実在する地方の祭りがアニメに登場して……というのが通常のパターンなのですが、元々はアニメ「花咲くいろは」(花いろ)の中の架空の祭りが、実現してしまった(!)のが、この「湯桶ぼんぼり祭り」。

アニメ作中に登場する「ぼんぼり祭り」は、少女の神様が神無月に出雲に帰る際、道に迷わぬよう人々が、出雲までの道をぼんぼりの灯りで照らしてあげて、そのお礼に少女の神様がのぞみ札に書かれたみなの願いを出雲の八百万神の元へと届ける、という素敵なお祭り。

実際の「湯桶ぼんぼり祭り」でも、ぼんぼちの灯りが会場を照らし、「お焚き上げの儀」ほか様々なイベントを開催します。
もちろん、「花いろ」をモチーフにしたポスターやクリアファイルなど関連グッズも多数販売。7月に点灯式、10月に本祭が行われます。

「花咲くいろは」
東京育ちの女子高校生・松前緒花は、母親の夜逃げがきっかけけで、祖母が女将を務める湯乃鷺温泉街(石川県)の旅館に身を寄せることに。
仲居見習いとして働きながら学校に通うことになった緒花は、個性的な従業員たちを始めとするさまざまな人々の間で経験を積み重ね、成長を遂げてゆく。ちなみに、脚本は「あの花」と同じく岡田麿里。

(湯桶ぼんぼり祭り)
■日時:10月7日(日)
■場所:湯涌温泉街(石川県金沢市湯涌田子島町)
■交通:東京~金沢(約2時間30分)、金沢駅~湯涌温泉
http://yuwaku.gr.jp/
https://twitter.com/yuwaku_bonbori

⑤ 大洗あんこう祭✕「ガルパン」


大洗あんこう祭は、茨城の冬の味覚「アンコウ」を堪能するオマツリ。アンコウの吊るし切りやアンコウ汁が食せるほか、地元の郷土芸能の披露や大洗町内の特産品の販売も行われます。

さらに大洗町が舞台のアニメ『ガールズ&パンツァー(ガルパン)』出演声優らによるトークショーなどの関連イベントも。2018年は13万5000人が来場しました。
なお、毎年3月に行われる「大洗春祭り」も要チェック(こちらもガルパン声優のイベントあり!)。

戦車が市街戦をくり広げた場所を聖地巡礼するのもおすすめです。

ガールズ&パンツァー
学園艦と呼ばれる船の上に学校があり、「乙女のたしなみ」として茶道や華道などとともに「戦車道」があり、
全国大会が行われる世界。テレビアニメでは、自分を見失って強豪校を去ることになった主人公・西住みほが、
無名校を率いて全国優勝を目指しながら、自分の戦車道と向き合っていく様子を描く。全12話+総集編+劇場編。

(大洗あんこう祭)
■日時:2018年11月18日(日)
■場所:大洗マリンタワー前芝生広場(茨城県大洗町港中央10)+大洗商店街
■交通:鹿島臨海鉄道大洗鹿島線「大洗駅」よりバスで5分、徒歩10分
http://www.town.oarai.lg.jp/index6.html

⑥ 岐阜基地航空祭✕「ひそまそ」

岐阜基地航空祭は、航空自衛隊岐阜基地(岐阜県各務原市)で開かれる毎年恒例の航空祭。松島基地(宮城県東松島市)所属のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が、華麗な展示飛行を披露。2018年はテレビ放送された岐阜基地が舞台のアニメ「ひそねとまそたん」の樋口真嗣総監督と、主役の甘粕ひそね役を演じた声優久野美咲さんのトークショーのほか、「ひそねとまそたん」のペイントがされた戦闘機F15など、さまざまな機体が展示されました。2018年は約14万5千人が来場。

●「ひそねとまそたん」
航空自衛隊が管理する「軍用機に擬態するドラゴン」と、新人の女性搭乗員たちの交流を描くお仕事ストーリー。映画『シン・ゴジラ』の監督として知られる樋口真嗣による完全オリジナルテレビアニメ。脚本は「あの花」を手がけた岡田麿里。航空自衛隊岐阜基地が作品の舞台となっている。

(岐阜基地航空祭)
■日時:2018年11月18日(日)
■場所:航空自衛隊岐阜基地(岐阜県各務原市)
■交通:名鉄各務原市役所前駅から徒歩で岐阜基地正門まで約15分、名鉄三柿野駅から北門まで徒歩約5分、JR蘇原駅から新北門まで約10分
http://www.mod.go.jp/asdf/gifu/

秋風が涼しくなってきた10月。とは言え、まだまだオマツリの熱は止まりません。
今回も秋の行楽シーズンにも最適なパワー系、シュール系、参加型と多様な奇祭を取りそろえました。
顔面白色で奇抜な衣装の謎の翁が「笑え~、笑え~!」と笑いを強要してくる
和歌山県の奇祭とは?

①那覇大綱挽【沖縄】

Copyright 2018 一般社団法人 那覇大綱挽保存会. All Rights Reserved.

初日は那覇市の国際通りで約50団体が華麗な演舞を繰り広げる「市民演芸・民俗伝統芸能パレード」、
そして2日目は、ギネス認定を受けた「世界一の大綱挽」を国道58号線久茂地交差点を中心に開催。
旗頭が舞う中、年齢・性別・国籍を問わず数万の人々が一体となって綱を引き合う様はまさに圧巻!
3日間を通して奥武山総合運動公園では、「RBC市民フェスティバル&オリオンビアパラダイス」も実施されます。

ちなみに那覇の大綱挽1995年のギネスブックによって「世界一のわら綱」と認定。
観客動員数は約28万5000人(うち挽き手1万5000人)。

■日時:2019年10月13日(日)(毎年体育の日前後の日曜)
■場所:那覇・国際通り、久茂地交差点付近の国道58号線
■交通:ゆいレール「県庁前駅」徒歩3分
http://www.naha-otsunahiki.org/

 

②笑い祭【和歌山】

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顔面白塗りに、頬に赤字で「笑」の文字のメイクを施した翁「鈴振り」が登場することで、奇祭ファンの間では有名な和歌山県の奇祭。ピエロを思わせる鈴振りは「笑え笑え~、永楽じゃ、世は楽じゃ」と周囲に笑いを強要しながら練り歩きます。ロンリー・プラネット社の『世界で最も幸せな場所』のトップ10入りを果たし、世界的にも有名となりました。午後からは神社で四つ太鼓や幡上げ、獅子舞なども行われます。奇抜な衣装の鈴振りのほか、江川地区の入口で2人の鬼が対峙する「鬼の出迎え」も要注目です。

■日時:10月13日(日)(毎年10月第二日曜に開催)
■場所:丹生神社(和歌山県日高郡日高川町江川1956)
■交通:和歌山駅より1時間→和佐駅よりタクシーで12分
http://www.guruwaka.com/warai-matsuri/

 

③ケベス祭【大分】

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大分県で毎年10月14日に行われる、紀元や由来が一切不明という謎に包まれた火祭り。
近くの海で清めた白装束の「トウバ」たちが燃え盛るシダの山を守るために集合します。
そこに奇怪な面をつけた「ケベス」が現れ、シダの山を守るトウバたちと対決。

9回の攻防戦の結果、ついにケベスが突入に成功すると棒でかき回して火の粉を散らし、
最終的にはトウバも火のついたシダを持って参拝者を追い回します。
その際、火の粉を浴びると無病息災になると言われています。

■日時:10月14日(毎年)
■場所:櫛来社(岩倉八幡社)
■交通:大分空港から車で40分
http://www.city.kunisaki.oita.jp/site/rokugou1300/kebesumaturi.html

 

④龍勢祭【埼玉】

「龍勢」とは、埼玉県の秩父で昔から伝承されてきた手作りロケットのこと。竹筒に黒色火薬を詰めて打ち上げ、上空で傘が開く仕掛けとなっています。白煙を上げて打ち上がる様子が龍が昇天する様子に似ていることから「龍勢」と名付けられました。アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(通称「あの花」)の中で登場したことで全国的にも有名となりました。27流派が30本の龍勢を打ち上げ。秋空にロケット見をしつつ、秩父観光も楽しみましょう。

詳細はこちらのレポート「奇天烈斎様は本当にいた?!  あの日見た龍の名前を僕達はまだ知らない。秩父の龍勢祭り」もご覧ください。

■日時:2019年10月13日(日)(毎年10月第2日曜日)
■場所:秩父市吉田 椋神社周辺
■交通:西部秩父駅よりシャトルバス
http://www.chichibuji.gr.jp/event/ryuusei/

 

⑤一条百鬼夜行【京都】

百鬼夜行とは、平安絵巻や河鍋暁斎にも描かれた、深夜を徘徊する鬼や妖怪の群れ及び行進のこと。
室町時代の「付喪絵巻」によれば、平安中期に捨てられた古道具が転生し、
古道具の妖怪「付喪神」となって平安京の北端、一条通りを夜中に大行列したと言います。

一条通の大将軍商店街「妖怪ストリート」では、この一条の百鬼夜行を現代に再現する「妖怪仮装行列」を毎年10月の第三土曜に開催。その仮装は事前に「妖怪度審査」もある本格的なもの(詳細はコチラ)ですが、参加者も募集中(順次締切)のようです。
妖怪衣装の選定には、江戸時代に決定的な妖怪図鑑を編纂し、あの水木しげるも参照した
鳥山石燕の「画図百鬼夜行」あたりを参考にすれば(版権的にも)問題ないでしょう。

当日は妖怪グッズと妖怪ファンが全国から集う妖怪アートフリマ「モノノケ市」も開催。
「西洋モンスターのハロウィンも良いけど、やっぱり和装の妖怪に惹かれる」という方はぜひ参加してみては。

■日時:2019年10月19日(土)18~19時(毎年10月第三土曜)
■場所:京都一条妖怪ストリート 大将軍商店街
■交通:京福電車北野白梅町駅から南東へ約400メートル、市バス北野白梅町から東へ約200メートル
http://kyoto-taisyogun.com/

その他の10月の奇祭

そのほかに下記の奇祭も要チェックです。

三崎秋祭りの「牛鬼と四ッ太鼓の合戦」(愛媛) 牛鬼と四つ太鼓がバトルするというシュールなコンセプトが興味深いです。

鞍馬の火祭り(京都) 京都三大奇祭のひとつ。

・市川の天衝舞浮立(佐賀、毎年10月第三土曜) 日月を形どり雲龍を描いたテンツキと呼ばれる大きな前立を顔につけたシュールな姿で鉦や太鼓に合わせて踊ります。

・神明神社の天狗祭り(長野、10月第三日曜) 天狗が獅子と対決し、暴れ回るお祭りです。