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桟敷窓からのぞくお雛様「日野ひなまつり紀行」と2つの春の祭り

2022/3/30
2022/3/30
桟敷窓からのぞくお雛様「日野ひなまつり紀行」と2つの春の祭り

滋賀の日野には、町中にたくさんのお雛様が飾られて美しいと教えていただき、行ってきました。調べてみると、家々にある「特別な窓」からお雛様を観賞できるのだとか。どんなところか楽しみがいっぱい!それでは「日野ひなまつり紀行」をレポートいたします。

近江日野商人が築いた町並みと「日野ひなまつり紀行」

滋賀県の南東部にある日野町。「買い手よし、売り手よし、世間よし」の「三方よし」の精神で活動した近江日野商人や、戦国武将の蒲生氏郷が有名です。

持ち運びやすい漢方薬や漆器の産地であった日野。当時、それらを北関東で売って成功した日野商人たちは、お盆やお正月にお雛様をお土産として買って帰ってきたため、今でも日野では関東のお雛様が飾られています。

江戸時代はとても栄えていた日野ですが、現在は静かな町。

そこで町の活性化にと2008年から「日野ひなまつり紀行」が始まりました。
2月の上旬から3月上旬にかけて、なんと150ヶ所以上もの場所に雛飾りが並びます。

今回はぽかぽかと暖かい陽気の中、旧街道沿いに残る古い町並みをのんびり歩いてみることに。

まず玄関にあるピンクや赤の飾り「ほい」に目を奪われます。この「ほいかざり」はお雛様が飾ってあるという目印。遠くからも、どの家にお雛様が飾られているのかがわかります。

ひらひらと風にたなびく「ほい」に誘われて家に近寄ると、今度は竹筒飾り。この足元の竹筒飾りには「人生は幸せを見つける旅」など、心温まる添書きがあります。

「桟敷窓」は、日野祭を見るための特別な窓

塀に緋毛氈(ひもうせん)や御簾を飾っているのは「桟敷窓(さじきまど)」。日野で一番大きなお祭り「日野祭」を見るための見物窓です。
祭りの日には塀と家の間の、前栽(せんざい)のある中庭に桟敷を組み、見物用の席を設けます。

「日野ひなまつり紀行」の期間は、この他の地域にはない日野ならではの桟敷窓を使い、外から家の中にある雛飾りを見て歩きます。裏通りに桟敷窓はありませんが、縁側面に向けてお雛様が飾られています。

「ほい」に誘われて窓から家の中を覗いてみると、江戸、明治、大正時代の享保雛や雛人形が飾られています。中には住民の方々が手作りした雛人形も。微笑ましい光景です。

「まちかど感応館(旧正野玄三薬店)」を中心に西か東のコースを歩くとだいたい2時間くらい。人力車に乗って一度、見て回るのもおすすめです。値段はなんと驚きの500円!!驚愕の安さです。

雛飾りがいっぱいの「まちかど感応館」

日野ひなまつり紀行の中心にある、まちかど感応館には雛飾りがいっぱい!
上からは吊るし雛、部屋の奥まで手作りのものや、皆様ご存知のスヌーピーの雛飾り、そしてぜひ見て欲しいのは享保びなの雛飾り。

雛飾りの数の多さに「わ〜!すごい!」と思わず声が出ます。箪笥の中や上、その奥にまで京雛、束帯雛、御殿雛…と、ずらりと並ぶお雛様。あとでゆっくり写真や動画で見ようと撮りまくってしまいました。

ここではお雛様を見ながらドリンクを飲んでひとやすみしたり、目の前にある「食事処みかく」で日野米を使ったにぎり飯などの軽食をとることもできます。

枝垂れ桜のお花見のような「ホイノボリ」の祭

今度は床から天井まで高さのあるピンクや白の紙の花がついた巨大な「ホイノボリ」が目に入ります。…お、大きい!桟敷窓に飾られていたのとは迫力が違います。

これは滋賀県指定(選択)無形民俗文化財「ホイノボリ」。毎年4月4日に南山王日枝神社の春祭り(ホイノボリの祭)で使われます。氏子22町内が一同に集まりホイノボリを奉納した姿はまるで枝垂れ桜のお花見をしているよう。他にも6つの神社でホイノボリを使ったお祭りが行われます。

写真:日野観光協会提供 南山王祭り

この春祭りは疫病退散を祈る鎮花祭を起源としているお祭りです。いつものように大きな傘のようなホイノボリの下でみんなで食事を楽しめますようにと、コロナ禍の今だからこそ疫病退散を願わずにはいられません。

日野祭の豪華な曳山と馬見岡綿向神社

日野まちかど感応館から馬見岡綿向神社(うまみおかわたむき じんじゃ)に向かって歩くと高さが5m61cmもある本町曳山「鳳仙社(ほうせんしゃ)」が姿を現します。なんと豪華な姿でしょう。これを桟敷窓から見るんだ!!と興奮します。

写真:日野観光協会提供 日野祭

調べてみると日野祭は馬見岡綿向神社の春の例祭。850年以上の歴史を持ち、日野で最も大きなお祭りです。

毎年5月2日の夜は宵祭の曳山、3日は本祭。「芝田楽」という3人の神子と侍姿の行列が練り歩き、十数基の曳山の巡行、3基のお神輿がお祭りに登場します。
また、曳山のお囃子の一部には雅楽の曲が取り入れられているのも特徴です。

写真:日野観光協会提供 日野祭

「日野ひなまつり紀行」、いかがでしたでしょうか。どこか懐かしいひなまつりの光景から、ホイノボリの祭りと日野祭という2つの春の祭りも感じられる旅となりました。

もし日野の駅から日野ひなまつり紀行を見て歩く場合、日野商人街道を通り、日野まちかど感応館までは3Km(車で約10分)と少し距離があります。そのため、近江八幡の駅からバスに乗って来るか、乗用車がオススメです。

写真:会場には雛御籤(ひなみくじ)も。十円からのお気持ちで運試しできます

「日野ひなまつり紀行」の行われる期間は2月上旬から3月上旬の約1ヶ月。3月3日を少し過ぎていても、見に行けるのが嬉しいところです。ぜひ来年は日野を訪れ、どうぞ楽しい1日をお過ごしください。

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