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「つつこ引き祭り」大俵を引き合う福島の奇祭|観光経済新聞

2020/9/5
2020/10/1
「つつこ引き祭り」大俵を引き合う福島の奇祭|観光経済新聞

2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2020年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)

大俵を引き合う福島の奇祭

 福島駅に降り立った。県庁所在地の福島市の駅は新幹線も停車する大きなものだが、その片隅に味のあるプラットフォームがある。阿武隈急行線の乗り場だ。このホームから電車に乗ること20分弱、今回の目的地、保原に到着する。

 保原は、戦国武将の伊達家発祥の地として知られる伊達市の中心地。この保原で毎年3月第1日曜日に行われるお祭りが福島の奇祭として知られている。その名も「つつこ引き祭り」。「つつこ」とは一体何か。その正体は俵だ。しかもただの俵ではなく、なんと直径1・5メートル、800キロもあるとてつもない大俵。このつつこを裸の男たちが激しく引っ張り合う姿が奇祭と呼ばれるゆえんとなっている。

 お祭りは町の中心部の厳島神社を拠点に行われる。境内では地元のお母さんによる甘酒の振る舞いや子どもたちによる巫女(みこ)舞が行われ、にぎやかだ。午後1時を目前に続々と町の人たちが神社周辺へ集まり始めた。すると、何やら遠くから足音が聞こえてくる。神社から真っすぐに延びる道の先を見渡すと、ふんどしを締めた男たちが一目散にこちらへ向かってくるではないか。

 そのまま男たちは社殿へと雪崩込み、中から大きなつつこを引っ張り出してきた。つつこを担ぎ上げ、あたかもお神輿(みこし)の渡御のように各町を練り歩いていく様子は見応えがある。途中で餅をまくのは、やはり俵だからだろうか。この後、つつこ目掛けて約100メートルを走る福男決めを終え、お祭りはクライマックスへと進む。いよいよ始まるつつこの引き合い。実はつつこの中には、ふかしたお米が収められており、引き合うことでお米をお餅に変えていく。

 その発祥には江戸時代にこの地方を襲った飢饉(ききん)が関係している。飢饉の際に領主が民衆に種もみを分け与えたところ、翌年は大豊作となったことから、感謝の意を込めて始まったお祭りなんだとか。最後につつこを神主が切り開き、お餅の完成を祝う。食べることのありがたさが感じられるユニークな奇祭だった。

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