和歌山県那智勝浦町。紀伊半島の南に位置する、太平洋沿いの町。
はえ縄漁法による生まぐろ水揚げ量日本一。町内には港町ならではの新鮮な生まぐろを楽しめる店舗が多数あり、舌鼓を打つ人々で賑わいます。
この町を象徴する存在が世界遺産「熊野古道」。1000年以上続く熊野詣の歴史を象徴する古道の石畳、荘厳な熊野那智大社、その御神体である落差133mの「那智の滝」には、きっと息を飲むことでしょう。
平安時代から続く神仏習合に加え、複数の宗派が同居する奇跡を目の当たりにできるのも、古より浄土の地と信じられたこの地ならでは。人と歴史が交差する那智勝浦。大自然が育んだ文化が、都会では体感できない空気を演出してくれます。
紀伊山地は、神話の時代から神々が鎮まる特別な地域と考えられていました。また深い森林に覆われた紀伊の山々は、古来より阿弥陀仏や観音菩薩の「浄土」に見立てられ、仏教の修行場として用いられてきました。その結果、 紀伊山地では、起源や内容を異にする「熊野三山」、「高野山」、「吉野・大峯」の三つの霊場と、そこに至る「参詣道」が親しまれるように。都をはじめ各地から多くの 人々の訪れる所となり、日本の宗教・文化の発展と交流に大きな影響を及ぼしました。三重、奈良、和歌山の三県にまたがる「紀伊山地の自然」がなければ成立しなかった「霊場」と「参詣道」及びそれらを取り巻く「文化的景観」は世界でも類を見ない資産なのです。
熊野三山は、紀伊山地の東南部にある熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の3社と青岸渡寺、補陀洛山寺の2寺の総称です。平安時代より続く参詣の歴史の中、これらは熊野古道の「熊野参詣道中辺路」によって相互に結ばれ、熊野三山を目指した人々が石畳を歩みました。那智勝浦町内には、熊野三山のうち、熊野那智大社、那智山青岸渡寺、補陀洛山寺が存在していますが、この3つの寺社を巡るのが遥か昔より続く熊野詣の正式な流れ。
古人の軌跡を再現し、悠久の歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
熊野古道とは、熊野三山を目指した人々が歩いた巡礼道のこと。日本人の旅(巡礼)の起源ともいわれ、古人の想いを辿り歩くように、現在でも多くの人が訪れます。
平安時代から続く熊野詣。熊野三山のひとつである熊野本宮大社へ参詣する「温泉⇨参拝⇨御飯」という手順は那智勝浦でも楽しむことができます。ぜひ歴史を感じにきてください。
かつて、熊野詣に向かう参詣者は参拝前に温泉に入る「湯垢離」を行っていました。湯垢離は「身体を癒す」ことだけに留まらず、心身を浄化させるという意味も持ち合わせているのです。
那智参詣曼荼羅によると、補陀洛山寺より大門坂を通り、那智の滝を眺めてから熊野那智大社・那智山青岸渡寺の順に順にお参りをします。平安時代より変わらぬ順序での参拝で、悠久の歴史をなぞってみてはいかがでしょうか。
参拝の後は、那智勝浦の名物、まぐろ料理で空腹を満たしましょう。町内には多くのまぐろ料理店があり、港町ならではの新鮮な生まぐろを味わうことができます。
毎年7月14日に熊野那智大社で行われる例大祭です。熊野の神々を表した12本の扇神輿を12本の大松明が燃え盛る炎で清めながら那智の滝へと迎え入れます。
名湯が多い和歌山県の中でも勝浦温泉は随一の大きさを誇る大温泉郷。熊野灘に向かい、勝浦漁港を中心に様々な温泉が点在しています。美しくたくましい自然を愛でながら、贅沢な時間を味わえます。
勝浦漁港は、はえ縄漁法での生まぐろの水揚げが日本一を誇ります。勝浦漁港で最も多く水揚げされるのは「ビンチョウまぐろ」で、地元では「トンボ」と呼ばれています。