◆疫病退散の祭「祇園祭」2020始動
京都が大好き。
いつか祇園祭を取材腕章をして7月の一ヶ月間、撮影してまわりたいカメラマンの佐々木です。
「疫病退散を願う祭が、疫病に負けるの?」
ーいいえ、祇園祭はあります。
中止になった山鉾巡行は神様の先導である露払いです。「動く美術館」とも呼ばれるその美しさから「祇園祭=山鉾」と思われがちですが、あくまでも祭の本体は御神輿。
八坂神社の御神体「スサノオノミコト」、今年も始動ー。
◆神籬(ひもろぎ)による神幸祭
八坂神社と山鉾連合会に電話。
「祇園祭で拝見したいのですが、一般でも見られる日はありますか?」
すると、どちらも同じ答えが返ってきた。
「すみません、今年はありません」
オマツリジャパンの記者として取材を申し込めば、結果は違ったかもしれない。
でも、疫病を広めないようにという配慮なのだから仕方ない。
みんな祇園祭が大好きで、見たい気持ちは同じ。
「粛々と行いたいけれど、少しのことでもSNSで情報が拡散してしまい人が集まりすぎてしまう」という氏子地域の方からの苦悩も聴こえてくる。
自分が疫病にかかって誰かに広めないようにも、今年はいかない方がよいー。
京都新聞に少しだけ掲載された祇園祭の日程を見て、どうするかと迷う。
「今年だけしか撮れない祇園祭があるよ」と八坂神社のご近所さんが声をかけてくれたのが後押しになり、「少しだけ…。少しでいい。記録として撮影しよう」と決意した。
無理せず拝見できる日だけ、神様に呼ばれた日だけ、少しだけでいい。祇園祭を見せてください。
こうして今年だけの神事の形で神は降臨。
白馬の背に乗り、依り代である榊を神籬(ひもろぎ)にして、神職と氏子組織「清々講社」の方々とともに八坂神社から四条御旅所においでになりました。
◆御幣(ごへい)による町内巡り
数日間に渡り、御幣で氏子地域を巡る神職たち。
遠くから先ぶれの太鼓の音「どん、どん」と聴こえてきた。
祇園祭だー!
奇跡の撮影。
密を避けるため、詳細は秘密で全く時間も場所も分からなかったのに、金の御幣に姿を変えた神様に遭遇。
四条御旅所には神宝の勅板(ちょくばん)も飾られました。
◆宵山も健在
地元の人たちや祇園祭のファンの人たちのSNS情報を見ると、どうやら前祭では函谷鉾・月鉾の稚児人形が飾られるなど、宵山も行われている模様。そこで「公益財団法人祇園祭山鉾連合会」のWEBサイトをよく読むと、少しだけ情報が載っていた。(※現在は削除されているようです)
これは見に行かなくては…!と居ても立っても居られず、後祭宵山に向かった。
黒主山
通りには提灯と和傘が飾ってあり、いつもの祇園祭のような光景に感激。
会所飾りも健在!御朱印やマスクもありました。
役行者山
入口には茅の輪があり、行者さんもいらっしゃってました。
パワースポット行者石&一言井戸にもお参りが可能。
偶然ここで京都検定一級で気象予報士という京都の名物ガイド「京都旅屋」の吉村さんに遭遇。
20年ほど足しげく祇園祭に通い詰めているガイドさんから耳より情報をGETする。
「役行者山の目の前にあるホテル「THE HIRAMATSU京都」に寄っていくと、凄いものが見られますよ。」
早速ホテルに行ってみると、なんと中には洛中洛外図や見送り幕が!
三密を避けて独占状態!感激。
また山鉾連合会のWEBでは「粽販売なし」となっているところが開いていたりする場合もあったようです。時間が午後からだけなど、各山鉾により状況が違いました。
どこの山鉾も密を避け、それでいてできる範囲で例年通りのことが出来ないかと模索している様子が感じられる。
ここからは屏風祭りなどの様子のレポート。
世界で四枚目の八ツ星メダリオンの模様が入った見事なインド絨毯を拝見。
和雑貨「くろちく」では祇園祭グッズも入手可能。
7月中に「京つけもの西利」のギャラリーで行われている「祇園祭つれづれ展」で全てのちまきが展示されているのも見ごたえがありました。
南観音山
南観音山は会所飾りを拝見できます。
山鉾によっては男性のみのところもありますが、女性も拝見できるのが嬉しい。
ご神体人形の楊柳観音像は撮影禁止。このような状況でも拝見できることにありがたくお参りをする。
普段は見上げてみる屋根が目の前に!下にもぐって間近にみることができました。
大船鉾
龍頭が白木から金箔姿に変身!御朱印も金のタイプがお祝いに出ています。
鷹山
約200年ぶりの復活を目指す鷹山では粽の販売が行われていました。
写真:鷹山と八坂神社のちまき
前祭では函谷鉾のAR・VRやエア提灯落とし、綾傘鉾2020の動画などの力作も。
7月24日の八坂神社へ御魂が戻る御神霊渡御祭では雨の中、真夜中に祇園石段下でクライマックスを迎えました。
白馬に乗った神籬の姿は神々しく涙を誘う。
またこの先もずっと祇園祭をはじめ、誰もが平和にお祭りを楽しめる日々が来ますように。
参考:祇園祭関連記事 八坂神社
・7/5 稚児舞 長刀鉾町会所
・7月上旬 はも道中 嶋原太夫道中
・7/10 神用水清祓式 お迎え提灯・道しらべの儀・神輿洗式
・7/14 祇園祭 前祭 鉾建て
・7/15、16 祇園祭 前祭宵山(宵々山) 伝統芸能奉納 宵宮神賑奉納
・7/16 祇園祭 日和神楽
・7/17 祇園祭 前祭 山鉾巡行 2018年 山鉾巡行
・7/17 祇園祭 神幸祭 神輿渡御出発式 2020神幸祭
・祇園祭 後祭 鉾建て 屏風祭
・祇園祭 休み山 鷹山 祇園祭「鷹山」約200年ぶりに奇跡の巡行復活!
・7/23 祇園祭 後祭 宵山 日和神楽 祇園祭 後祭 あばれ観音 瀧尾神社(大船鉾の龍頭の元)
・7/24 祇園祭 後祭 山鉾巡行 還幸祭 神泉苑 八坂神社又旅社
Yasaka jinja shrine 八坂神社
交通:バス「祇園」下車
住所:京都市東山区祇園町北側625
TEL:075-561-6155
拝観時間:24h
URL:八坂神社
拝観料:無料
主要行事:1/3 初能奉納、かるた始め式、1/9蛭子船巡行(宵蛭子)、2/2節分祈願祭、2/3節分祭
3/17祈年祭、6/14御神楽奉納、6/15例祭(大祭)、6/30大祓式
7月 祇園祭、7/17神輿渡御出発式、7/24還幸祭/花傘巡行、8/7七夕祭、10/4祇園社観月祭