※2020年は新型コロナウイルス蔓延の影響で中止となりました。 2021年には無事に開催されることを願いつつ、コロナウイルスの終息のために感染予防を心がけましょう。 (2020年8月4日 編集部)
近年、爆発的な人気を誇る山形県鶴岡市の赤川花火大会。8月第3週土曜日に開催されるこの花火大会は、お世辞にも交通の便が良いとは言えない場所にも関わらず、日本各地はもちろん、海外からも沢山の人が来る花火大会になりました。
正直な話、これ以上人気になってしまうと身近な花火大会ではなくなってしまうので、秘密にしておきたい気持ちですが、日本の花火を赤川花火大会抜きでは語れないので、今回はその魅力をレポートしてみます!
■(この記事は2019年に公開されたものを再編集しています。2020年8月4日編集部更新)
赤川花火大会の魅力
・大型プログラムが凄い!
赤川花火大会は花火の競技大会ではありますが、メインを大型プログラムに置いています。2019年では、オープニング、ドラマチックハナビ、市民花火、希望の光、エンディングの5つの大型プログラムで構成されており、その合間に競技大会が行われています。
ドラマチックハナビについては愛知県の磯谷煙火店の代わりはいないので固定ですが、他のプログラムに関しては毎年違う煙火店が担当する為、マンネリになりがちな花火大会を毎年新鮮な気持ちで見る事ができます。勿論、この大型プログラムを担当するのは国内屈指の優れた煙火店であるのは言うまでもありません。
・自由な花火競技大会
赤川花火大会では、全国デザイン花火競技会が行われています。個人的な話にはなりますが、花火の競技大会を花火を分かっていない初心者にオススメする事はまずありません。その理由は花火の良し悪しが分かっていないと作り手である花火師がどんな所に力を入れているのかの基準が分からず、「珍しい花火だな、キレイだな」で終わってしまうからです。
しかし、赤川花火大会ではその辺の心理を分かっており、一般人でも楽しめる花火競技大会を目指しています。割物花火(単発の打ち上げ花火)ばかりでは飽きてしまうので、わかりやすいミュージックスターマインをメインに置き、細かいルールよりも観客を楽しませる為の自由な競技を行っています。
・観客の立場で考える会場作り
花火大会を運営する事は非常に大変です。多くの花火大会では、その労力から「昨年と同じでいいや」で済ませてしまう事が多いのですが、赤川花火大会では、一つ一つの観客の声に耳を傾け、毎年様々な点が変更されています。
チケットはないけど、花火大会をメイン会場で見たい人には、外部の人でも運営のお手伝いを行えばボランティア席を用意して貰えます。また、無料席では他の多くの花火大会で問題になっている一人で必要以上に広い場所を確保しない様に、無料升席と言って場所を区分けし、多くの人が気持ちよく見られる環境作りをしています。
会場の様子 概要
赤川花火大会に於いて良い点を上げましたが、例年風向きが良くないのが、この花火大会での最大の問題点でもあります。花火の物量が多いので、大量の煙で花火が隠れて見えなくなってしまい、チケットを持っていても風向きによっては裏手の田んぼで見る事もあります。しかし、今年は台風の影響なのか2015年以来のメイン会場が順風と言う好条件でした。
ちょっと残念だったのは、公式グッズの数量が少なかった事。赤川ほどの人気の花火大会であれば、ファンも多い筈なのでもう少し量を増やしても良かった気がします。結構、あちこちで買えなかったと言う声が出ていました。
赤川花火大会 公式サイト 百華繚乱~夜空に重なる一人一人の物語~
最大号数 尺玉
打ち上げ数 約12,000発
時間 19:15~21:00
主催者 赤川花火大会実行委員会
担当煙火店 (長野県)アルプス煙火工業、(愛知県)磯谷煙火店、(長野県)紅屋青木煙火店、(山梨県)マルゴー、(長野県)伊那火工堀内煙火店、競技大会あり
花火競技大会結果
今年はデザイン花火の部には8社、割物花火の部には15社が参加されました。
・デザイン花火の部
最大7号玉を使ったスターマインで、それぞれのテーマを音楽に合わせた花火で表現します。
・割物花火の部
10号玉を合計2発打ち上げ、1発ずつ花火の美しさを競います。
大型プログラム
オープニングには今回、初めて長野県のアルプス煙火が担当。またドラマチックハナビについては、今まで磯谷煙火店が行っていた子供向けの内容から水戸黄門を舞台に地元鶴岡市に関わりのある内容に変わりました。他の煙火店も今や赤川花火大会になくてはならない存在で相変わらずグレードの高い演出を行ってくれました。
・オープニング「赤川花絵巻」
・ドラマチックハナビ「葵の御門~鶴岡参上~」
・市民花火「The Greatest Rock×Fireworks Akagawa」
・希望の光「照らす。その先へ」
・エンディング 「ephemeral bloom」
赤川花火大会実行委員会によるお話
花火終了後には、昨年知り合いになった赤川花火実行委員の方が経営しているお店に行き、色々なお話を伺ってきました。まず、赤川花火大会がこれほどまでに全国的な花火大会になったのは、2011年に起こった東日本大震災が切っ掛けにもなっている様です。
当時は、福島県や宮城県からも多くの人達が避難の為に鶴岡市に移住しており、そこで被災した子供達の為に見て貰おうと思ったのが、現在でも行われている「希望の光」のプログラム。以前はプログラム表には書かれておらず、サプライズの形で子供達に見て欲しいとのアナウンスと共に打ち上げられていました。今はなき、スターマインに合わせて二尺玉の同時開花と言う超感動的なプログラムでした。
なお、今回新しく内容が変わった箇所と言えば、磯谷煙火店によるドラマチックハナビ。名産物である「だだちゃ豆」や鶴岡駅前の土産物店で有名な「清川屋」を登場させ、地元らしさを花火で演出しました。今まで各地でドラマチックハナビを見てきた人にとっては、今回の内容はまさに異色であったと思います。
また、現在の赤川花火大会ではチケットの購入をリピーター販売として、これまで購入した事がある人に先行販売しています。この販売方法は賛否両論あると思いますが、有名アーティストのファンクラブ先行販売と同じで、固定客で固める事により、観客の質を上げるメリットがあります。実際の所、何と90%も売れてしまうそうで花火大会としてはかなりの成功を収めています。
しかし、現状では観客がチケットを買ってくれたとしても、その代金はそのまま花火大会の費用に消えてしまうそうです。今後は花火大会を通して、もっと鶴岡市の良い所を知って貰い、街全体が活性化する様なシステムを作り上げたいとの事です。
取材協力:赤川実行委員会 佐藤 茂徳様、木曽 亮慧様
まとめ
今年はメイン会場が順風と言う好条件も重なって、感動日本一の花火大会を見る事ができました。赤川花火大会を知ってから毎年通っていますが、年々SNSなどで有名になってきており、今回も裏の田んぼには大勢のアマチュアカメラマンが集まっていた様です。
そこで非常に問題になっているのがゴミの問題。あの場所は花火大会の日だけ、特別に実行委員が地権者から借りているのにも関わらず、一部のアマチュアカメラマンが場所取りで使ったひもやガムテープなどをそのままにして帰っているらしく地元の方がかなり迷惑しています。
自分だけがいい写真を撮れれば、来年は中止になろうが後はどうでもいいのでしょうか?何故、あれだけ素晴らしい花火を見せて貰ったにも関わらず、地元への感謝の気持ちが沸かないのか、とても不思議でなりません。
赤川花火大会は一人一人の観客がルールやマナーを守ってこそ、感動日本一の花火大会になります。来年はいよいよ第30回の記念大会です。今後も素晴らしい花火大会を末永く続けて欲しいものです。