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「日本遺産」に認定される「大山詣り」
全国各地には様々な形で日本の文化や伝統が受け継がれています。地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーが、2015年から「日本遺産」として認定されるようになりました。2016年には「江戸庶民の信仰と行楽の地~巨大な木太刀を担いで「大山詣り」~」も「日本遺産」の仲間入りを果たしました。「大山詣り」は、神奈川県の伊勢原市の西北に聳える大山に登り、大山寺や大山阿夫利神社を参詣することです。標高約1,200メートルの大山は豊かな自然に満ち溢れ、例年11月中旬から下旬にかけて紅葉で包まれ、「秋の大山・夜景と紅葉」が開催されています。2020年には11月21日~11月29日に、大山寺や阿夫利神社下社で紅葉のライトアップが行われました。
江戸の庶民の間でブームを巻き起こした「大山詣り」
「大山詣り」は江戸時代には、江戸の庶民の間でブームを巻き起こし、人口は100万人前後であったにもかかわらず年間20万もの人々が参拝を行ったと伝わります。江戸の町から徒歩で2、3日はかかった大山の麓も、今では小田急線を利用すれば新宿から1時間前後で伊勢原駅です。伊勢原駅からは大山ケーブル行きのバスに乗車すれば約25分で大山の麓に到着します。
ケーブルカーや登山道を利用して大山登山
大山ケーブルのバスターミナルからケーブルカー乗場までは、「こま参道」を歩くことになります。参道の左右には、土産物店が軒を連ねています。
「こま参道」を約15分歩くと、ケーブルカーの乗場です。紅葉のシーズンは混み合います。乗車まで1時間以上、行列に並ばなければならないこともあります。密を避けることも難しいので、感染症が流行っている時期にはマスクの着用などが必須となることでしょう。
大山ケーブルカーを利用すれば楽ですが、自分の足で登山することもできます。特に登山のための装備は必要ではありませんが、急な坂道もあるため歩きやすい靴を履いていることが条件となります。
紅葉で真赤に染め上がる大山寺
大山を約500メートル登ったところには、大山寺が建立されています。高幡山金剛寺、成田山新勝寺とともに、「関東の三大不動」に数えられています。境内の石階段をはじめ本堂、鐘楼、大師堂、手水舎は、例年11月中旬から下旬には、紅葉で真赤に染まります。
日中には太陽の光で輝く紅葉は、「秋の大山・夜景と紅葉」の期間中の夜間にはライトアップされ、異次元の空間を創り上げます。
紅葉に加えて夜景が楽しめる阿夫利神社下社
大山寺からさらに約200メートル登った山の中腹には、阿夫利神社下社が建立されています。阿夫利神社は、今から2,000年以上も前の10代崇神天皇の御代に創建されたと伝わり、関東総鎮護の霊山として崇敬を集め続けています。阿夫利神社下社も大山寺と競うかのように紅葉で化粧をします。
阿夫利神社下社の境内からは、紅葉越しに広がる眺望を楽しむことができます。
昼夜を問わず紅葉の彩りが包む阿夫利神社下社の境内には、飲食の設備も充実しています。
客殿前では、もみじ汁の露店が設けられているので、冷えた体を温めることができます。
売店で販売される団子のコーナーには行列が絶えません。
イルミネーションに輝くケーブルカー
大山寺や阿夫利神社下社では、息をのむような光景に時間が経つのを忘れてしまいそうですが、「秋の大山・夜景と紅葉」期間中のケーブルカーの運行時間は、平日9:00~19:00、土休日8:30~20:00です。ケーブルカーからもイルミネーションに輝く大山を見ることができます。
「大山詣り」は、日本の文化、伝統を語るストーリーとして「日本遺産」に認定されています。神奈川県の伊勢原市の西北に聳える大山には大山寺や大山阿夫利神社が建立され、いずれの境内も例年11月中旬から下旬にかけて紅葉で包まれます。日中に太陽の光を受けて輝く紅葉ばかりでなく、「秋の大山・夜景と紅葉」の期間中には夜間にライトアップが行われ、境内は別世界に変身するのです。