浅草神社の正月行事が由来
4年ぶりの開催となった「浅草流鏑馬」。江戸時代には三社祭で有名な浅草神社の正月行事として行われていた歴史ある流鏑馬で、現在は台東区の観光行事として開催されています。一度途絶えていた浅草流鏑馬ですが、1983年(昭和58年)に復活。今では多くの観光客が集まる浅草の行事となり、浅草神社からも程近い隅田川沿いの隅田公園を舞台に行われ、今年が第39回になります。
例年4月の第三土曜日に開催されてきた浅草流鏑馬ですが、今年は様々な社会情勢を考慮して三社祭明けの本日5月27日に行われました。まだ流鏑馬の興奮冷めやらぬ浅草から、その様子をご紹介していきます!
疾走する馬上から的を射る
隅田川沿いに、南北に縦長に広がる隅田公園。この公園内に馬場が設置され、浅草流鏑馬が開催されています。行事がはじまる13時になり、馬場へと馬が入場してきました!
お次は古式装束に身を包んだ皆様が行列を組み馬場を進みます。鎧兜を着けた鎌倉武士の姿が見え、流鏑馬で使用する矢や的を運ぶ方々も行列に加わっています。
的の大きさは一尺八寸(約54.5cm)。身長と比べると大きく見えますが、こちらを馬上から狙うと思うと難易度の高さを感じますね。
続いては、狩装束を着た射手(いて)の皆様がやってきました。本日は地元浅草をはじめ、鎌倉や日光、京都に大阪に遠くはフランスから参加されている方もいるそうですよ!各地の精鋭が集まっているのでしょうか。これは楽しみです。
行列が集まり、馬場の真ん中付近で執り行われていく式典。
式典が終わると、射手が馬上の人となりました!まずは馬場を練り、人馬の歩調を合わせていきます。
東京スカイツリーとの共演が見られる場面も。かっこいいですね!
なお、的の前には前売りチケット制による指定席が用意されており、落ち着いて流鏑馬を見ることができるのはありがたいですね。
とはいえ、馬が落ち着いた状態で見られるのは今のうち。まもなく流鏑馬がはじまります!
馬場の南側に設置された「馬場元」から北側の「馬場末」までに3つの的が設置され行われる浅草流鏑馬。駆け抜けながら、馬上の射手は的を3度狙っていきます。第一走の開始を知らせる、合図扇が上げられました。
そして、射手によりスタートを知らせ的中を祈願する「揚扇(あげおうぎ)」が行われます!
さあ、スタートしました!
全速力で馬場を駆けていきます。右手に見える竹筒に掲げられたものが、弐の的です。
矢が引かれ、勢いよく放たれました!
第二走は黒い馬です。全力疾走で弐の的の前に入り、完全に4本とも脚が浮いている場面も。
続々と行われていく流鏑馬。的へ真っ直ぐと矢が向かっていきました!
ものすごいスピードで駆け抜けていき、馬上では弓矢を掲げるだけでも大変そうです。それでも見事に的を射ち抜いていき、的中となると周りからは歓声や拍手が上がっていました。
浅草流鏑馬、すごい迫力です!疾走する馬の馬上から放たれる矢。見事に的中となりました!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/IP9DqejlYq
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 27, 2023
中盤には小休止の場面も。地元の少年による乗馬の披露です!
帰りは赤い布をたなびかせる”布引”を見せていきます。布が地面に付かないように駆けることで、乗馬の練習になっているそうですよ。
さあ、後半戦のスタートです!引き続き、次々に流鏑馬が実施されていきます。
フランスから参加の方が登場しました。なんと3的全て的中です!
全ての的を的中させることができた方は、流鏑馬の記録を行う日記所にて褒賞の「禄」を得ることができます。このやり取りは「賜禄の儀」といわれ、名誉ある場面です。
白布で表される禄。手に入れた方は白布を肩に巻くことで証となります。これは嬉しいですね!
まだまだ続いていきますよ。力いっぱいに矢が放たれ、一直線に的を射当てました!
こちらも見事に的を粉砕!すごい迫力です。
7頭の馬で4巡、計28回行われる今年の浅草流鏑馬も、残すところは最後の1回となりました。最後の方が出走し、これはお見事。的中させることができ、素晴らしい技術で浅草流鏑馬を締めくくることができました!
28騎に渡り繰り広げられてきた浅草流鏑馬は、こちらで最後となります。駆け抜ける馬上から放たれた矢は、見事に的を射ることができました!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/UzKfPLYk9g
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 27, 2023
狙いは20m先の草鹿
流鏑馬の前に馬場より少し北部にある山谷堀広場で開催された草鹿(くさじし)。鹿に見立てた布製の的を約20mの距離から射る行事で、弓の腕前を競うものになります。射手は烏帽子に直垂の古式装束を着け、2組に分かれて競い合います。
こちらはカラフルな装束に身を包んだ先攻チームです。1人2回ずつ弓を放ち、鹿を狙っていきます。
左肩を出し、弓矢の準備を進めていく様子。
弓が引かれ、勢いよく矢が放たれました!
見事に鹿に的中!こちらが的の鹿ですが、かわいらしいですね。
浅草流鏑馬の前に行われる、草鹿!古式装束で行われ、放たれた矢が見事に鹿へ命中しました!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/ZUErc2CD5A
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 27, 2023
続いて後攻チーム。こちらは緑で統一された装束です。
弓矢を構えます。
放たれました!放たれた矢は一直線に鹿へと向かっていきます。
的中かどうか怪しかった時は審判の的奉行と射手のやり取りがあり、「良い矢か?」「紛れもなき良い矢で候」というような問答が見られるのも注目したいところです!
ただ的中すれば良いのではなく、矢の当たり方や落ちた場所も審査ポイントなんだそうですよ。
東京スカイツリーを背に放たれた矢は、鹿へ一直線に向かい見事命中!#草鹿 #浅草流鏑馬 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/00TLVv1T00
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 27, 2023
両チーム共に4人ずつが矢を放ち終えた後には、的中数の計測があります。塚に紅白の棒を刺し数えあったところ、ほぼ五分五分という状況でした。
ここで、最後は大将対決です。両チームの大将が進んできます。
勝負の結果はどうなるのか、周りの観客も目を離せません!
大将が命中させると2倍のポイントを得られるとのことで責任重大です。ですが、そんなことも感じさせない気迫がありますね。
大将対決も終わり、点数が出たところで草鹿は終了となりました!
台東区立隅田公園へのアクセス
■浅草駅から
・東京メトロ銀座線の場合、4番出口から1分
・都営地下鉄浅草線の場合、A5出口から3分
・東武スカイツリーラインの場合、正面口から2分
流鏑馬は隅田公園の言問橋~東武鉄橋間の特設馬場内で、草鹿は隅田公園内の山谷堀広場で行われます。
目の前で馬が駆け抜ける姿を見ることができる浅草流鏑馬。都内で流鏑馬を見ることができる貴重な場ですので、ぜひその迫力を体感しに来てみてください!