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あしかがほほ笑み花火。台風19号の被災地・被災者へ想いを込めて。

あしかがほほ笑み花火。台風19号の被災地・被災者へ想いを込めて。

現在も台風19号の爪痕が残る栃木県足利市で12月21日に被災地・被災者に向けての特別企画として、あしかがほほ笑み花火が行われました。通常、花火大会は観覧場所を整えたり交通規制を行ったりする運営(実行委員)と花火を打ち上げる煙火店(花火師さん)で行われています。

煙火店にとって実行委員は言わばお客様であり、花火の打ち上げに掛かった費用もそこから頂く事になります。しかし、今回は主催者も打ち上げも地元足利市の須永花火田島煙火工場が行うと言うレアケースでの開催となりました。

筆者が住む福島県いわき市は地域で水没した家屋も多く、浄水場が水没した事により自身も10日間の断水に見舞われた事もあり、被災した地域に住む者としても行ってきました。

開催に至った経緯

これまで栃木県足利市では年末の花火を10年以上行って来ましたが、昨年はX’mas in足利としてクリスマスに花火を上げました。今年も行われる予定だったので、少しずつ準備に取りかかった矢先、残り2ヶ月もない時期に運営側より中止すると突然の発表。

当初はいつも打ち上げに使っている渡良瀬川河川敷が増水の影響によりグラウンドが使用不能になっている事もあり、中止もやむを得ないと考えていました。

渡良瀬川河川敷

しかし、市民の皆さんより花火工場へ「今年は年末の花火はやらないのか」などと多くの問い合わせもあり、やはり今こそ台風で大変な思いをしている人を元気付ける為に、特に未来の足利市を担う子供達に花火を楽しんで笑顔になって貰い、新年を迎えて欲しいと考え直したそうです。

ただ、話はそんなに簡単ではなく、運営する人もいない、予算もなければ、打ち上げる場所もないと、ないない尽くしから始まった企画になりました。

開催にあたって

まず主催者がいないので、須永花火田島煙火工場として自社が行う事になりました。これまでの花火大会を見て何となく実行委員の役割などは知ってはいるものの、実際に主催者として動くのは初めてであり、ボランティアを募っての河川敷の警備、消火活動の人員、音響設備を確保したりとやる事が沢山でした。

予算不足については、小規模でも何とか打ち上げが可能な昨年の予算の1/3を集める事を目標にしました。残り僅かな期間の中でやれる事をやろうと多くの足利市民の協力を頂き、飲食店などに花火の玉皮で作った募金箱の設置をさせて貰ったり、協賛企業や個人を募ったりと資金集めに奔走しました。(筆者も僅かながら応援させて頂きました!)

そして、肝心の打ち上げ場所の河川敷については台風の影響で使えない場所はあるものの、一部では使用可能な場所もあり、市民の方の働きかけにより一定の条件を満たす事で使用許可が出た様です。

当日の様子

午前中は多少崩れ気味だったものの、まずまずな天候で消防署からの風速7メートル以上になったら中止と言う条件はクリアしました。(通常は風速10メートル以上で中止が多い)

今回は場所が場所なだけあって消防署も何かあると責任問題になる為、かなりナーバスになっており、開催にあたって通常よりも多くの条件が必要になっていた様です。

消防署からお借りした放水機器

花火の種類では、左右に大きな線が広がる噴出花火の虎の尾や、開花後に大きく枝垂れる冠菊花火(かむろぎく)など広がりやすい花火の禁止。火災を防ぐ為に事前の水撒きや草刈りの徹底。また通常の3倍の人員を警備や消火に当たらせるなど、ただでさえ大変な花火大会の運営がさらに大変な事になっていました。

消火器も準備万端

あしかがほほ笑み花火

昨年の様に屋台はありませんが、音響設備やステージはきちんと準備されていました。当日は、足利市出身のシンガーであるMAHOさんが進行役と歌を担当するとの事。打ち上げ前には、映画タイタニックの主題歌である「My Heart Will Go On」の歌を披露してくれました。

自分もスマートフォンで動画配信をしていましたが、歌の途中でもどんどん閲覧者が増えていき、とても上手でした。花火用の固定配信なので、ステージは見えませんが歌声は聞けますので良かったらどうぞ。

また、通常の花火大会では協賛者などの読み上げについては省略する事もありますが、今回は沢山の人の手が掛かってようやく実現した花火大会なので、その感謝の気持ちをみんなに紹介したいと思いがあり、協賛者、協力者など関わった人、全員の読み上げが行われました。

本部テントでは当日も募金が行われていました

18:00より打ち上げ開始。最大号数は4号玉ですが至近距離での迫力のある打ち上げになります。クリスマスらしく「Amazing Grace」の曲で時差式花火を多用した単発打ち上げ、スターマインは広瀬香美の「ゲレンデがとけるほど恋したい」など冬らしい季節感のある曲に合わせて打ち上がりました。

無風で煙ってしまったのは写真的には少し残念でしたが、見るだけであれば全然問題なく、使用できない花火があったりと制約の中でも考えられた演出で楽しめました。逆に予算があまりないのに頑張り過ぎではないかと心配してしまう程でした(笑)

来年に向けて、まとめ

無事に大成功だった花火大会ですが、早くも来年に向けて動き始めているそうです。回収した花火募金箱を継続して飲食店に置かせて貰ったり、次回は町の飲食店が集まってちょっとした屋台村みたいなものを計画していたりと花火の規模もイベントも大きくなりそうです。

沢山の想いが込められている花火は見ていて幸せな気持ちになります。きっと台風19号で大変な思いをした足利市民の皆さんにもその想いが届いたのではないでしょうか。この心温まるイベントが末永く続く様に応援しています!

次回は2020年12月19日(土)に開催予定です。須永花火田島煙火工場では、あしかがほほ笑み花火の募金箱の設置や協賛金を随時受け付けています。詳しくはホームページよりどうぞ。

written by
蛭田 眞志

蛭田 眞志

花火専門カメラマン&花火専門ライターです。
日本の良質な花火文化を後世に残すために記録し、花火に携わる人達を応援しています!
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