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阿波踊りの舞台裏。知りたい!足袋と下駄、踊る阿呆のリアルな足元事情

更新日:2020/6/9 リエコ
阿波踊りの舞台裏。知りたい!足袋と下駄、踊る阿呆のリアルな足元事情

こんにちは!踊る阿呆ライターのリエコです。

ほとんどのお祭りが無くなってしまった今年の夏。こんな時だからこそ、普段は見られない舞台裏をのぞいてみませんか?

今回ご紹介するのは、阿波踊りで踊り手たちが履く足袋と下駄。数ある日本の踊の中でも、かなり激しく足を酷使する阿波踊り。ケガや故障も絶えない中、踊り手たちはどんな工夫をしているのでしょうか?

そこで、現役の阿波踊り連員である筆者が、踊り仲間とともに緊急オンライン座談会を開催。涙ぐましい工夫や努力、祭り本番の恐怖エピソードなど、出るわ出るわ。

これを読んだら、阿波踊りを見るポイントがまた一つ増え、楽しさも倍増。下駄を履く時の痛み対策の役にも立ちますよ。

さあ、踏み入れてみないと分からない世界。踊る阿呆の足元を見てみましょう!

1.基本の知識:阿波踊りで使われる履物

阿波踊りは、法被や浴衣の裾を絡げて踊る「男踊り」と、浴衣に編み笠の「女踊り」に分かれます。

足元を見てみましょう。

男踊りは足袋、

阿波踊り

女踊りは下駄を履いています。

阿波踊り

阿波踊りの動きはかなり激しく、それに耐えられる独特な足袋・下駄を使用します。

2.男踊り:踊り方によって違う?足袋の種類

まずは男踊り。外で踊るので、当然普通の足袋では踊れません。また神輿用の祭り足袋では固すぎる。そこで、足裏に比較的柔らかいゴムを貼った「踊り足袋」を使用します。

このゴムの硬さも大きく2つに分かれます。

同じ阿波踊りでも、柔らかい動きをする連(チーム)は

阿波踊りKobby Dagan / Shutterstock.com

下のような柔らかいゴム底の足袋を履きます。ぐにゃっと曲がるほど柔らかいので、しなやかな動きに合います。

 

逆に、このような激しく暴れる連には、

©  2020 Narai Furukawa

下のような、ゴムが堅めの足袋を選ぶ人もいます。多くはインソールを入れ、激しく跳んだ時の衝撃を吸収します。

ちなみに踊り足袋が開発される前は、厚手の靴下程度の布の足袋を利用していたとのこと。炎天下のアスファルトは足裏がやけどするほどの暑さ。雨が降ると足までびしょ濡れになって大変苦労したそうです。

3.女踊り:利休下駄とは?外用と室内用があるって知ってた?

女踊りの下駄は「利休下駄」と呼ばれる、高くて薄い2本歯が付いたもの。千利休(またはその知人である別の茶人)が雨のときにも履けるように開発したとされ、関西の粋人たちに愛されたと言います。

この下駄を履いて屋内で踊ると、大変すべりやすく、床を傷付けることもあります。そのため、屋内で舞台演舞や練習をするときには、歯にゴムのカバーが付いた「舞台用下駄」を履く人もいます。歯にカバーがあるとクッション性が上がるので、足への負担が減る半面、重いと感じることもあります。

4.涙、涙。現役踊り子に聞く、下駄のお悩み解決法

さて、阿波踊りは基本つま先立ちで踊るので、足への負担が半端ない。長年続けていても、足の質によっては、毎年豆や水ぶくれができて、潰すことも。

出典 wikipedia

そこで、実際に踊り子たちがどんな対策をしているか?症状別に、仲間の阿波踊り女子たちに聞いてみました。

①指の股の痛み:女踊りで最も一般的な悩みと思われる。

<対処法>

・鼻緒の付け根用シリコンカバー

・市販の指用ガード

・化粧用のパフ

足の指の股あたりを和らげてくれるが、合わない場合は指の股が広がって痛くなる、なんてことも。

この踊り子さんは「薄手の足袋+化粧パフ+足袋」の順番で履いているそうです。

②足爪の痛み:足の指が長い人は、足袋が指先に当たって、爪が剥がれることも!

<対処法>

・ストレッチ足袋:ナイロン製の柔らかいもので対応。

ナイロン製ストレッチ足袋

③足裏の痛み:ガンガン地面をけるので、指の付け根がかなり痛い。

<対処法>

・シリコンソール

こちらはシリコンの鼻緒カバーと、シリコンソールの合わせ技。

・滑り止め付き足袋

・足袋ソックスや5本指靴下を重ね履き

・クッション性の高い足袋を使う。

阿波おどり用品専門店オリジナル足袋。パッケージを見るだけでテンションが上がる♡

滑り止めや重ね履きは、指の股対策にも効果あり。厚すぎると鼻緒への当たりが強くなって、甲が痛くなる場合もあるようです。

④鼻緒ズレ:甲高さんに多い悩み

<対処法>

・テーピング。絆創膏も使いやすい。指の股とカスタマイズできるのが魅力。祭りが終わるころには粘着が強くなっているので、剥がすときに泣く思いをすることもある。

・前述のように、靴下や足袋の重ね履きや、クッションを当てる

・足の大きい男性などに履いてもらって、鼻緒を広げる(特に新しい下駄には、悩みに関わらずこの方法を取ることがあります。練習場で下駄を履かされて、ヒィヒィ言う男性を見るのは面白いです)。

 

そのほか、

・室内用草鞋を一年中履いて、足本体を鍛える

・練習でもなるべく履いて、少しずつ慣れる(プチ豆を作る)

という体育会系対処法も!日々鍛錬ですね。

5.恐怖!下駄にまつわる本番ハプニングのあるある

阿波踊りには、踊りながら歌う歌がたくさんあります。その一つがこちら。

1かけ、2かけ、3かけて、しかけた踊りは辞められない♪

5かけ、6かけ、7かけて、やっぱり踊は辞められない♪

本番中はいろいろなハプニングがありますが、この歌の通り、始まった踊りは止めることができません。

どんなトラブルがあるのでしょうか?下駄にまつわるものを集めてみました。

①濡れた路面で滑る

阿波踊りは雨が降っても構わず踊るので、濡れたアスファルト、特にマンホールや白線の上は恐怖!なので、外でも滑りにくいように、歯にゴムを貼ることがあります。

②側溝にはまる

本番は道路の真ん中を踊りますが、恐いのが移動中の路肩で見かける、側溝のふたやグレーチング。ちょうど「はまってください」というようなこの形を見ると、想像するだけでゾッとするのです。

© 2020 Photozou Co.,Ltd. pest

③歯が外れる

これが最も多い、本番の恐怖体験です。踊っていると、演舞場の途中で前歯が取れることが!と言っても、「仕掛けた踊りはやめられない♪」。ゴールまで踊り切ります。

自分の歯が取れなくても、踊っているとほかの人の下駄の歯を拾うこともあります。同じ連のメンバーであればラッキー。演舞場ゴール付近で「歯が抜けた人、誰~?拾ったよ~!」なんて声が聞こえることもあります。

歯が抜けた場合、歯が戻ってきたら無理やりはめ込んで一日を乗り切ります。前歯をガンガン打ち付けた拍子に後ろの歯が抜けることも。歯が戻ってこない場合は・・・、「やっぱり踊りはやめられない♪」。もう祭りが終わるまでそのまま踊ります!

 

いかがでしたか?満面の笑顔で踊る踊り手も、舞台裏ではこんな感じです。

裏側を知ると、お祭りの見方ももっと深くなります。来年は踊り手たちも、1年間ため込んだエネルギーを爆発させて、熱く踊ることになるでしょう。その足元をじっくり見て、お祭りをもっと楽しんでくださいね!

演舞場で会いましょう。

リエコ
この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
阿波踊りが大好きです。
古いものが好きすぎて、日舞や歌舞伎を見て、味噌やら醤油やら作って、もう自分が何歳かわかりません。

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