日本一の湖にして、滋賀県の約6分の1を占めるびわ湖。そこで例年8月上旬に開催される花火大会があります。「びわ湖大花火大会」は、大津港の沖で花火を上げる湖上花火大会。関西では希少な規模を誇り、湖上を花火が彩るその花火大会は、なんとも雅で独特な美しさの花火大会でした。その様子をレポートします!
「びわ湖大花火大会」ってどんな花火大会?
びわ湖大花火大会は、滋賀県の中心地、大津市の大津港周辺で開催される花火大会。1984年から開始されました。関西では数少ない大規模花火大会であること、湖上花火の美しさ、アクセスの良さなどもあり大人気を誇っています。
2020年からの3年間は、多くの大規模花火大会同様に、コロナ禍により中止を余儀なくされました。しかし2023年8月8日、ついに復活!
びわ湖沿岸の夜景をバックに、1時間の間に約10,000発の花火が上がりました。
びわ湖上に上がる花火に期待が膨らむ!
打上場所は大津港沖で、周辺のなぎさ公園やびわ湖ホール前などの湖畔から花火を見ることができます。
対岸にビル群が見えて、これは夜景も期待できそう! 花火打ち上げ用の台船が浮かんでいるのも見えます。
台風の影響が心配されていましたが、雨も降らず強風も吹いていませんでした。
日が落ちると、湖上に浮かぶ船も輝きます。
大津港では噴水が上がっていました。こちらは「びわ湖花噴水」で、世界最大級の長さを誇るそうです!
湖上にワイドに開く花火が絵のように美しい
びわ湖大花火大会の打ち上げは独特です。打ち上げ場所は大きく2カ所に分かれており、その2カ所からそれぞれに、あるいは同時にと、変化をつけて打ち上げられます。
序盤はプロローグとして、2つの打ち上げ場所から交互にゆっくりと3号玉(直径約9cmの花火玉)を打ち上げて、打ち上げ場所を知らせます。
この幅がかなり広い!
観賞する分には何の問題もないのですが、撮影するのはなかなか厳しい。不安を抱えつつ、いよいよオープニングスタート!
いきなりの大玉横並びの炸裂に、大歓声が上がります!
打上担当煙火店である國友銃砲火薬店は、明治から続く老舗の煙火・火薬店。そして花火好きの間では「國友打ち」として知られているダイナミックな斜め打ちが特徴。打ち上げ場所から横方向に大きく広がります。
しかし両方向を画面に収めようとすると、こんな感じに(泣)
カメラに全景が入らないので、より近くに見える左手(大津港前)を中心に撮りました。このような花火がほぼ左右で同じように上がります。
左手下には噴水も写っていますね。大津マリーナあたりからなら、噴水の向こうに花火が見えたのではないでしょうか。
美しい扇形!
音楽が入るのはフィナーレのみで、それ以外はひたすら花火のみで魅せるスタイル。しかしぐーんと伸びてドン!と広がる花火に会場内では驚きの声と大歓声が響きます。
湖面に届けと言わんばかりの斜め打ち!
まるでクジャクがカラフルな羽を広げているようです。
斜め打ち一本やりかというとそんなことはなく、等間隔に縦方向に打上げる演出もありました。ミシガン州姉妹提携55周年、湖南省友好提携40周年を記念した特別プログラムです。
やっぱり右側も撮りたい!真ん中も撮りたい!と思い、右に左にカメラを振っていたら、はずみでピントがズレてしまい(泣)
写真としては情けないのですが、雰囲気は伝わると思いますので、載せますね。
さらにプログラムは続きます。扇形でも花火にバリエーションがあり、その造形が本当に美しく、見惚れてしまいます。
大きな玉も斜め打ちされ、大迫力!
背景の湖岸では夜景がキラキラと輝き、湖面は花火に照らされて、ここでしか見られない景観が広がります。
フィナーレでは水中花火も!
フィナーレ後半はクラシック音楽、エドワード・エルガーの「威風堂々」に乗せて打ち上げられました。
重厚なクラシックに負けない、豪華な花火の打ち上げ。
全体的に上より横方向のワイドさがあるので、まるで絵巻物を見ているよう!びわ湖という雅な舞台に広がる、まさに「花火絵巻」と言いたくなるような光景でした。
最後は、グランドフィナーレのタイトル「夜空に輝く、金銀の大瀑布」のとおり、金色の花火がびわ湖を染め上げます。
ほぼ湖上2カ所での打ち上げながら、様々な打ち上げ方や玉で魅せる構成。花火がつくり上げる絵のような眺めはため息が出るほど美しく、見とれているうちに1時間が終了してしまいました。
アクセス・観覧会場の様子など
2023年の開催に際し、ニュースなどでも話題になったのをご存じの方も多いと思います。思うところはいろいろありますが、ひとつ確かにいえるのは、この花火大会がとても素晴らしいということ。
そしておそらく、地元の方にとても愛されていて、だからこそのジレンマがあるのだと想像します。ここは、外野があれこれ口をはさむことではないので、主催者と地元の方で、納得のいく話し合いができることを願っています。
今回の会場について、簡単にご説明しておきます。
有料観覧会場は、琵琶湖岸の浜大津港から、なぎさ公園、びわ湖ホール前周辺一帯でした。
なぎさ公園は打上場所の正面なので、右に左にと視線を動かすことになりますが、全景を見ることができます。マス席やイス席、カメラマン席などが設置されていました。
下の写真は翌9日の早朝に撮影したものですが、観覧席の様子はイメージしていただけるかと思います。
翌8月9日早朝撮影。すでにきれいに整理整頓され、撤収を待つばかりになっていました。
びわこホール前のびわ湖ホール湖岸ゾーンは右手の台船が近く、おそらく全体が斜めに見えるかと思いますが、迫力ある花火が見られたのではないでしょうか。
有料観覧会場は横長なので場所により駅からの所要時間に差はありますが、大津市の主要駅であるJR大津駅から徒歩約10~15分、京阪電車京津線びわ湖浜大津駅からは徒歩約3~10分程度とアクセスの良さは抜群。これも人気の一因だと思います。
また、周辺にホテルが多いのも、遠方からの観覧者には嬉しいポイント。大津駅周辺でホテルがとれなかった場合も、大津駅からJRで約10分の草津駅や京都駅周辺、びわ湖浜大津駅から京阪電車で約25分の三条京阪周辺にも多数のホテルがあります。びわ湖周辺をはじめとする滋賀県の観光旅行、京都観光などともセットで楽しめます。
この素敵な花火大会がぜひ今後も開催されることを心から願います。