2022年3月6日(日)福岡県みやま市の清水寺で、火渡りが執り行われました。
今年は、天台宗清水寺・永與寺合同火渡りという大変珍しい行事でもあるため、沢山の方が火渡りを体験されていました。
豪雨災害からの復興祈願、コロナウイルスの逸早い収束、そして世界の平和を祈って行われたこの行事の様子をレポートします。
永與寺
天台宗永與寺は福岡県みやま市にあり、かつては叡興寺(えいこうじ)とも呼ばれた、約1,000年以上の歴史があるお寺です。
また、毎年1月の大祭では火渡りが行われるお寺でもあります。
清水寺
天台宗清水寺は永與寺と同じく福岡県みやま市にあり、1,200以上前に天台宗の開祖「伝教大師」によって開かれました。本堂には苔むした合歓の霊木の樹に刻まれた一丈六尺(約5m)の千手観音像があり、特別な日のみしか一般公開されていないそうです。
三重塔
清水寺に行く坂道には五百羅漢(釈迦の弟子500人の修行僧たちの像)が人目を惹きます。文化文政(1804年)の頃から大正年間にかけて奉納されたそうです。
清水寺護摩の様子
10:00より清水寺の本堂で皆さまの願い事が書いた護摩木を井桁に積み上げて焚き私たちの煩悩を焼きつくすことにより清らかな心になっていきます。
清水寺護摩に先立ち、清水寺の鍋島副住職より、「昨年の豪雨災害で被災した清水寺の復興祈願、コロナウイルスの逸早い収束。そして今のこのタイミングでロシアとウクライナが戦争状態になってしまいました。ちょうどこの日に採灯護摩をしてお祈りさせていただけることは、世界の平和・地球の調和をみなさんと一緒に祈るために、こうやってこの日に一緒に合同でさせていただくことになったのだろうと思っています。みなさまも一緒に世界の平和を祈りながらよりよい方向に進みますように共にお祈りしていただければ幸いです。」との言葉がありました。
採燈大護摩供
11:30より第二会場で採燈大護摩供(さいとうおおごまく)が執り行われました。
採燈大護摩供は、修験道の山伏が行う不動明王を本尊とした祈願方法です。壇と言われる木を組み上げたものに杉の葉をかぶせたものに火を放ち、大きく燃え上がる頃に、お願い事が書かれた護摩木を読み上げてから次々と投げ入れ、皆さまの諸願の成就を祈ります。
東西南北に願い事を唱え矢を放ちます。
願文を読む清水寺の鍋島副住職。
火渡り
採燈大護摩供の後、壇を崩して灰になった火の上を一年間の無病息災・身体健全を願って歩いて渡るものが火渡りです。
皆さまの願い事が書かれた護摩木を、願い事を唱えながら燃え盛る日の中に次々と入れていきます。
火渡りの説明が終わると、永與寺、清水寺が火渡りをし、次に一般の方たちが次々と火渡りをしていきます。
火渡りをするときは灰の上を歩いて渡りますが、熱いので早く渡ろうと走ってしまうと足が焼けた砂に当たり、なお更熱くなるそうですので、慌てずゆっくりと歩くといいそうです。
とはいえ、まだまだ熱い灰の上を歩くのですから、とても勇気がいると思います。
時折パチパチと燻る灰の上を裸足で歩く皆さん
火渡りの行事を教えて下さった鍋島副住職にお話をお聞きしました。
清水寺副住職:鍋島清隆氏
永與寺では毎年1月に火渡りを開催されておりましたが、コロナの影響などの諸事情により、今回は永與寺・清水寺合同での火渡りが開催されることになりました。
この合同イベントは今回限りとなるかとは思いますが、沢山の方に参加していただくことができました。
皆さまと共に世界の平和をお祈りさせて頂けたことに感謝いたします。
まとめ
昨年の集中豪雨、地震、新型コロナウイルスの蔓延、ロシアのウクライナ侵攻など、世の中には色んな災いが起こっています。
無病息災、疫病退散、そして世界平和の願いを込め、火渡りが執り行われました。
火渡りをすると一年間は無病息災になるとお聞きいたしましたが、あの熱い灰の上を素足で歩くのは、とても勇気がいることと思います。
「心頭を滅却すれば火もまた涼し」ということわざがございますが、たくさんの皆さまが次々と火渡りをされている中、怖がりのワタクシは最後まで火渡りが出来ずで、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
皆さまの願いが成就されますように心よりお祈り申し上げます。