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「浜松まつり 初練り」地域全体で子どもの誕生を祝福|観光経済新聞

2020/1/25
2020/1/31
「浜松まつり 初練り」地域全体で子どもの誕生を祝福|観光経済新聞

2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2020年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)

地域全体で子どもの誕生を祝福

 お世話になっている方のご厚意で、浜松まつりの「初練り」に参加させていただいた。初練りとは、浜松まつりの晩、地域に産まれた赤ちゃん(初子)のお宅数軒に、地域の皆で祭り衣装をまとって順番に訪問し、お祝いをする浜松の伝統的行事。初子のお宅にはそれぞれ立派な酒樽(だる)やご馳走が用意され、お祝いに駆け付けた皆を接待する。初練りにおける「お祝い」とは、大勢でラッパを鳴らし、大声を出し、たくさん飲んで食べて、軒先でめちゃくちゃに騒ぐことを言う。

 私たちも法被をお借りして、掲げた提灯を上下させながら、子どもたちの吹き鳴らすラッパの音と一緒に「ヤイソー!」という勇ましい掛け声で初子のお宅からお宅を練り歩いた。

 数軒を練ってお酒も進み、ぼちぼち出来上がってきたころに訪れた若いご両親のお宅でのこと。お母さんのまぶたにはつけまつげ。お父さんは明るい茶髪。前髪も長く、どことなくヤンチャな雰囲気をまとってわれわれを待ち構えている。「やったるで!」と2人と赤ちゃんを改めて見てみると、立派なご馳走にはあちこちからのお祝いののし紙が付いており、酒樽にはお勤め先と思われる所の名前。

 ご両親は深々とお辞儀をし、われわれを迎えてくださった。「しっかりしとるな」と近くの男性も思わず声を漏らす。本当に立派だ。これからの浜松を支える大切な若い2人とその赤ちゃん。さあ、お祝いを始めよう。

 「ヤイソー!ヤイソー!」。酒樽の前には男たちが入れ代わり、立ち代わり現れ、掛け声とラッパにあおられながら両手に柄杓(ひしゃく)を持って交互の手から酒を飲みまくっている。「ヤイソー!ヤイソー!」。空になった酒樽にお母さんと赤ちゃんが入れられ、神輿(みこし)のように担ぎ上げられる。

 「ヤイソー!ヤイソー!」。感極まったお母さんの目には涙。酒樽の中は濡れていないだろうか。そんなこともどうでもいい!「ヤイソー!ヤイソー!」。私の目にもなぜか涙。お母さん、おめでとう! 皆おめでとう! これぞ祭りだ!と強く思った。

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