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タイガース選手が必勝祈願で参拝する廣田神社
兵庫県西宮市にある廣田神社は阪神タイガースが必勝祈願にお参りすることでも有名な神社です。選手に渡している勝運守りを拝受することもできます。
今回はこの廣田神社で行われるつつじ祭りをレポートいたします。
2万株の「コバノミツバツツジ」が咲き誇る
つつじ祭りは兵庫県指定天然記念物の「廣田神社のコバノミツバツツジ群落」が見頃を迎える4月第1日曜日に開催されます。
広田山に咲き誇るコバノミツバツツジ群落は1969(昭和44)年に兵庫県指定天然記念物となりました。戦前には周辺地区を含め20万株もあったコバノミツバツツジですが、近年では2万株となりました。この廣田の森のツツジの保全活動が保存会によって行われています。
舞楽奉納「迦陵頻(かりょうびん)」
11時になると「鳳舞会」による舞楽奉納が行われます。2023年に奉納された曲は「迦陵頻」、「胡蝶」、「青海波」の3曲。まず最初に雅楽の中でも中国から伝わった唐楽で、赤系統の装束を着る左舞(中国・インド系の楽舞を源流とする舞)の中の1曲「迦陵頻」が演奏されました。
「迦陵頻」は、インドの祇園精舎供養の日に美声の霊鳥「迦陵嚬伽(かりょうびんが)」がやってきて飛び回る様子をを表現する舞です。子供が舞う童舞(どうぶ)で、鳴き声を表す小さなシンバル「銅拍子」を打ち鳴らしながら飛び跳ねる仕草が特徴です。
春の野に舞い遊ぶ「胡蝶(こちょう)」
次の曲は高麗楽(こまがく)という朝鮮半島から伝わった雅楽曲。舞楽では「番舞(つがいまい)」と言って、左舞と右舞(うまい:朝鮮・中国東北地方を源流とする舞)が一番(ひとつがい)となります。
左舞「迦陵頻」の答舞(とうぶ:左舞のあとで行われる右舞)として右舞「胡蝶」が行われました。右舞では青(緑)系統の装束を着ます。
日本で作曲された「胡蝶」は宇多上皇が童相撲をご覧になる際に藤原忠房が作曲し、式部卿淳実親王が舞振りをした曲です。春の野に舞い遊ぶ、可愛らしい胡蝶の舞が披露されました。
光源氏も舞った「青海波(せいがいは)」
源氏物語「紅葉賀(もみじのが)」の巻で、光源氏と頭中将が二人で舞い、その美しさに観ている人々が涙したことでも知られる有名な舞です。登場から息を呑むほどの美しさ。見惚れながら夢中になってシャッターを切りました。この「青海波」は上皇の賀の祝いなどの行事に若い貴公子によって舞われる特別な舞です。気品あふれる優雅な舞でした。
舞の動作は寄る波と引く波を表し、装束は「青海波」のみで使用される別装束(特定の演目だけに用いられる装束)です。通常は鳥兜(とりかぶと:鳳凰の頭をかたどった豪華な被り物)ですが、この日は巻纓冠(けんえいかん)にツツジの花を差しています。
普段、廣田神社のつつじ祭りでの舞楽曲目は迦陵頻、胡蝶は毎年奉納されますが、他の一曲は毎年変わります。今回、この格調高い「青海波」を見ることができて本当に良かったです。
最後に1曲、演奏のみの雅楽が奏されました。
可愛い!煌びやかな稚児行列
14時ごろに鳥居のそばに行ってみると可愛らしいお稚児さんの行列が出来ていました。
先頭は神社の方がお祓いし、次に雅楽の楽団。天地空をあらわす楽の音が響き渡ります。
この稚児行列には3〜8歳くらいの男女の希望者100名ほどが参加。女の子の頭には天冠、男の子は烏帽子。着物に袴姿で歩きます。
4月2日 つつじ祭り 廣田神社
10時 本殿祭
11時 舞楽奉納
14時 稚児行列
つつじ祭りでは「つつじ御朱印」「つつじ御守」の拝受もできます。
以上、つつじ祭りのレポートでした。
今回、美しいツツジを見たのをきっかけに4月16日春祭 太々神楽奉奏・太極拳奉納演武、10月16日秋祭 太々神楽奉奏・萬燈籠などの例祭も行ってみたくなりました。