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獅子頭ってどう作るの?木彫りが盛んな富山県・井波で工房や博物館を訪問!

更新日:2021/10/19 いなむ
獅子頭ってどう作るの?木彫りが盛んな富山県・井波で工房や博物館を訪問!

私は石川県加賀市で3年前から獅子舞を取材している。多くの獅子頭は石川県内の白山市や金沢市などで制作されている一方で、富山県南砺市井波で作られたという話もよく聞く。福井県境に位置する加賀市からすれば少し遠い場所にある井波に発注するのは何故なのか?井波の獅子頭の魅力は何なのか?という疑問が湧いてきて、実際に井波を訪れた。

獅子頭が作られる場所!富山県井波ってどこ?

井波は富山県西部に位置し、古くから木彫りが盛んな地域である。2018年には「木彫刻のまち 井波」として日本遺産にも指定された。木彫りといえば、欄間や衝立、曳山など様々であり、その一部として獅子頭が制作されている。木彫りが盛んになった背景としては、上質な木材が手に入りやすい土地柄や、江戸時代に瑞泉寺再建にあたって名工が移住してきたことなどが挙げられる。

獅子頭ってどう作るの?今井彫刻店を訪問!

井波の町には工房が軒を連ね、毎日職人たちが制作に励んでおられる。その中でも、石川県加賀市の獅子頭を過去に多数制作されたご経験のある、今井彫刻店の今井幸太郎さんを訪ねた。玄関に上がらせていただくと獅子頭がずらり!漆を塗らず木がむき出しのもの、金色に輝くものなど本当に様々で、どれ一つとして同じ形や色はない。今回、獅子頭制作のあれこれについてお話を伺う貴重な機会をいただいた。

今井彫刻店は祖父の代から3代目。工房自体は約100年の歴史があり、今井さんは2年ほどサラリーマンを経験したのち、工房に帰ってきて、24歳から獅子頭の制作をされている。既に獅子制作は40年以上のご経験がある。

–現在、井波では何軒くらい獅子頭を制作されていますか?

井波では現在、祭礼で使う獅子頭を専門で彫る職人は少ないです。専業で獅子頭の制作をされているところは、3~4軒ほどしかありません。獅子頭といえば飾り獅子もあります。それと比較すると、祭礼獅子は強く軽く作らねばいけません。また、漆を厚く塗る必要があります。

–獅子頭はどのように依頼を受けますか?

富山、石川だけでなく、新潟、長野、三重、北海道など日本全国の獅子頭も彫っています。以前獅子頭制作を頼んでくれて、その付き合いでまた頼んでくれたり、ホームページを見てくれて問い合わせをくれたりします。
祭礼の獅子は年間で10個くらい作ったこともありますが、平均的には年3~4つを作ることが多いです。やはり漆を塗って乾かさねばならないので、発注から1年くらいは制作期間として見ておかねばなりません。

–獅子頭制作はどのようにな人と連携して行いますか?

獅子頭の制作には通常、彫り師と塗り師が関わります。また、業者から獅子頭の髪に使う馬の毛を買ったり、富山県や石川県の木材屋から桐材を買ってきます。桐は比較的短期間で太るので「娘が生まれたら桐の木を植えて、嫁に行ったらその木で箪笥を作る」という話もあるくらいで、扱いやすいです。

–石川県加賀市の獅子頭は彫りましたか?

石川県加賀市の獅子頭は祖父の代からいくつも彫っています。例えば、橋立地区の小塩町の獅子頭は5~6年前に制作しました。実際に獅子舞を実施している様子も小塩町に見に行って、最後の神社での奉納の舞いでは、地を這うように舞っていたのが印象的でした。激しい歯打ちに耐えられるよう配慮するため、歯はきちんと彫った上で鉄板をつけました。とにかく「丈夫で壊れないものを」ということで注文を受けましたが、「あんたらの獅子舞は壊すように舞っとるがな」と笑いながら話したことを覚えています。

今井さんの工房には、飾り獅子で全面真っ赤・真っ黒とか、龍の顔をした獅子頭とか、普段祭礼獅子では見られない芸術的な作品もあった。単純に発注を受ける獅子頭だけでなく、様々な獅子頭作りに挑戦されていることに感銘を受けた。獅子頭の業界は伝統継承の意味合いも強いが、常に創作に対する強い意欲を持たれているようにも感じた。

今井彫刻店の紹介はこちら(井波彫刻協同組合)

井波彫刻総合会館で獅子たちを発見!

井波で他に獅子頭が見られる場所といえば、井波彫刻総合会館。獅子頭をはじめ井波彫刻の作品が展示されている博物館だ。ただ展示があるだけでなく、グッズなど含めて至るところに獅子が見られる。周辺を散歩しているだけでも楽しいので、いくつかの写真とともにご紹介したい。

まずはこちらの井波彫刻総合会館の看板から。獅子が口に刀を加えてこちらを睨んでいる。実は刀の方向が井波彫刻総合会館の受付を示しているのだが、言われないと分からない。このような細かい技が効いているのが、この場所の面白さだ。

受付の横には獅子頭のガチャが置いてある。500円という手軽な金額で、職人が彫ったミニ獅子頭を手にすることができるのだ。どのデザインの獅子が出てくるのかはお楽しみである。

館内の展示では、様々な井波彫刻はもちろん、獅子頭も展示している。こちらはひときわ大きい白木の獅子頭。顔写真付きで、作者の紹介もされている。

中には、このような獅子頭のギターも!1つ1つの作りがとても考えられていて、スタッフの方の説明を伺うとより楽しめる。


お土産にも獅子頭がたくさん!こちらは細かい彫りの技が光る「井波獅子 ストラップ」だ。横にあるたい焼きも気になる..。ストラップは種類が豊富なので、選ぶ楽しみもある。

こちらは獅子頭のネクタイピンやピンバッチ。ファッションに獅子頭を取り入れるというのも面白い。とても小さいので可愛らしく、日常的に眺めたくなるデザインだ。

展示を見終えて外に出てみると、なんとカラフルな獅子が登場!ものすごい迫力だ。

井波彫刻総合会館の隣にある道の駅でも獅子頭のガチャを発見!こちらは先程の500円のガチャと値段は変わらないが、こちらはブロック製のものらしい。同じガチャでも様々なタイプがあるようだ。

このように富山県南砺市井波の木彫りの技術を楽しみながら知ることができる仕掛けが、井波彫刻総合会館の周辺にはたくさんある。どこを見ても獅子だらけだ。

同時に、井波彫刻総合会館の近くには、祭礼用・飾り用含め、獅子頭を制作している工房も多数あるので、話を聞きに行くのも面白い。獅子頭制作をはじめ彫刻の素晴らしい技術について、楽しみながら知れるのがこの井波という場所の魅力である。

<井波彫刻総合会館>
住所:富山県南砺市(井波)北川733
開館時間:AM9:00~PM5:00(入館はPM4:30まで)
休館日:毎月第2・第4水曜日、年末年始
※但し、休館日が祝祭日の場合は翌日が休館となります。
※年末年始の休館日は事前にご確認ください。
駐車場:有(無料)※隣接施設の道の駅「いなみ木彫りの里」駐車場をご利用下さい。
入館料:大人500円・小中学生250円
(団体割引:大人400円・小中学生200円)

井波彫刻総合会館のホームページはこちら

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
獅子舞マニアです。ライターやカメラマンをしています。趣味は、獅子舞の鼻を撮影することです。その他クレイジーな祭りにも潜入します。

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