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天才詩人・石川啄木のゆかりの地を巡る旅~石川啄木記念館から啄木祭まで~

更新日:2021/8/27 minta
天才詩人・石川啄木のゆかりの地を巡る旅~石川啄木記念館から啄木祭まで~

TVアニメ啄木鳥探偵處(きつつきたんていどころ)で人気が再燃中の詩人石川啄木。
同氏の故郷である岩手県渋民村には「石川啄木記念館」があり、生い立ちや知られざる素顔に触れる事ができます。また、啄木の命日には「啄木忌」そして毎年春には市民による「啄木祭」も行われます。石川啄木をさらに深く知りたいあなたに、岩手で体験できる石川啄木ゆかりの旅をご紹介します。

啄木石川啄木記念館の庭、家族と微笑む啄木の像

啄木は、我侭な成績優秀な美少年だった!?

玉山村にある寺の長男として生まれた啄木は、本名石川一(はじめ)といいます。

隣村の寺の住職の急逝に伴い、渋民村へ転住。啄木は2歳の時でした。そして、渋民村の宝徳寺の住職の子として10歳まで過ごしました。生まれながらにして病弱な子供だったようですが、両親にかわいがられ、村の人たちからも「お寺の一さん」と大切にされ我侭いっぱいに育ちました。

渋民小学校跡地現在も緑豊かな渋民尋常小学校跡地

明治24年5歳で渋民尋常小学校に一年早く入学します。これは、遊び友達が皆小学校に入学するために自分も行きたいと父親にせがんだ為、父親が校長に頼み込みその結果許可されたそうです。そして、なんと9歳で主席で卒業します。

当時、4年生だった金田一京助は、啄木の登校する姿を見て「この子は幼稚園に行くのを間違って来た」といった級友のことばを真に受ける程、可愛い少年だったと言います。

そして、13歳となった啄木は、盛岡尋常中学校(現 盛岡市立下の橋中学校)へ。128人中10番の成績で入学する優秀な生徒でした。

天才といわれる啄木は、もともとは詩人を目指していたのではなかった

実は、神童といわれた啄木は、もともと詩人を目指していたのではなかったのです。

なんと海軍士官になりたかったそうで、軍人志望の先輩方のグループに参加し、盛岡尋常中学校(現 盛岡市立下の橋中学校)では2級先輩で後に海軍大臣になる及川古志郎(おいかわこしろう)を慕うようになります。

この頃、中学校では文芸活動が盛んで原抱琴(原敬の甥)、野村胡堂(銭形平次の作者)など多くの生徒たちが俳句や短歌、詩などを作っていました。及川古志郎から歌集や詩集を借りて読むようになった啄木に、「君が歌を勉強したかったなら、金田一君が中学一番の大家だから訪ねてみたまえ」と教えられたことから、東京新詩社の「明星」を借りるため金田一の自宅を訪ねます。

当時の金田一は、花明(かめい)という号で雑誌に短歌を投稿しており、当時盛岡尋常中学校ではただ一人の東京新詩社の社友*でした。(*社員以外で、社員のような待遇を受ける人)

明星を借りた啄木は、自身も東京新詩社の社友となり、回覧雑誌の編集を手がけるようになりました。そして金田一や同級生らと「白羊会(はくようかい)」を結成するなど文学活動に熱中するようになりました。

詩人になる夢を持ち上京を繰り返す

詩人になる夢を持って、上京した啄木ですが健康を害し借金を抱えて病状にふす事となります。これを知った父は、檀家の許可なく裏山の木を売って借金を返し啄木を連れて渋民村に戻ります。その後静養生活を続けながら「明星」に詩歌を投稿するようになります。この頃より「啄木」のペンネームを使い始めます。

そして節子と結婚が決まります。ですが啄木は、また東京での生活を模索します。

この後も何度も渋民村での代用教員、北海道での新聞記者など職や住まいを転々とします。この間にもたくさんの詩歌を発表していますが、生活の足しになるほどの収入はなかったようです。

啄木代用教員をしていた旧渋民尋常高等小学校

寺の住職の長男で成績優秀だった幼少時代とはうって変わり、自分の才能が認められず、貧しく、挫折だらけの生活でしたが、金田一との再会は啄木にとってありがたいものでした。

啄木は、金田一に支えられ創作活動ができたのです。

啄木をめぐる岩手の文学者を中心に記念館などを巡る

岩手県渋民村にある石川啄木記念館に行ってきました。

生誕100年を記念して1986年に建てられた記念館は、白を基調としたオシャレな外観です。これはかつて啄木が理想の「家」を詩に託したものをイメージして作られました。

啄木渋民にある石川啄木記念館

啄木入り口では、啄木が、お客様をお迎えします。この時は企画展もありアニメの啄木も一緒にお出迎え!

館内には、啄木の直筆の書簡やノートなどが展示されていて、同氏の家族や生活の様子をうかがい知る事ができます。また庭には、啄木が代用教員を務めた旧渋民尋常高等小学校や一家が間借りした旧齊藤家が移築されていて当時の生活を今に伝えてくれます。

啄木一家が間借りした旧齊藤家

啄木旧齊藤家内部 当時の様子がしのばれる

昨年開催予定だったTVアニメ啄木鳥探偵處(きつつきたんていどころ)の企画展が今年2021年に開催されています。

啄木鳥探偵處の原作本や作者井伊 圭さん(1948年~2014年埼玉県深谷市生まれの推理作家)の取材ノート、そしてパネルを使ったアニメ啄木鳥探偵處の名場面や実際に使われた台本などが展示され文学に詳しくない方でもアニメを観ていなかった方でも楽しめる内容です。石川啄木記念館や野村胡堂記念館など4館を巡るとアニメ関連グッズや岩手のおいしいものが当たるキャンペーンも行っています。(2021年9月12日まで)

啄木TVアニメ啄木鳥探偵處(きつつきたんていどころ)の企画展パンフとスタンプシート

啄木企画展の一部 金田一京助との写真とポスター

啄木実際にTVアニメで使われた場面の特大パネル

啄木啄木鳥探偵處(きつつきたんていどころ)の舞台

啄木記念館を巡るともらえるクリアファイル

啄木忌と啄木祭

1912年4月12日石川啄木はこの世を去りました。毎年命日に、啄木ゆかりの寺宝徳寺で法要「啄木忌」が行なわれ全国からファンも参列します。

石川啄木記念館のHPより

また、毎年6月ごろ行われる「啄木祭」には、啄木にちなんだシンポジウム、演劇、演奏などを行うイベントが催されます。
今年は、TVアニメ啄木鳥探偵處(きつつきたんていどころ)で啄木の声を演じていた盛岡出身の声優浅沼晋太郎さんをお招きする予定でしたが、コロナのため「啄木祭」は中止となりました。

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天才詩人石川啄木と同じ時代を生きた偉人たち、それぞれの歩みに触れる旅

啄木の26年という短い生涯の間には、後の日本文学に名を残す作家や学者が多数いた時代でもありました。岩手県では、国語学者としては、日本の第一人者となる金田一京助、音楽評論家「あらえびす」としても有名で「銭形平次」の著者でもある野村胡堂がいました。

アニメのエンディングにも使用されていた「命短し恋せよ乙女」で有名な「ゴンドラの唄」でもおなじみの若山牧水は、啄木の最期に立ち会った人です。

若山牧水は、啄木の晩年の友人でした。宮崎出身の牧水が啄木と知り合ったのは、北原白秋らと前の晩から遊びまわり、そろそろ帰ろうかと歩いていた道端だったそうです。もともと啄木の歌が好きだった牧水は、その後親交を深め、病に伏した啄木から「若山君、僕はどうしても死にたくない」と牧水にだけは、震える心を話していたようで、牧水は、啄木のために薬を手に入れる為に金策に奔走したそうです。

その中でも啄木の親友だった金田一京助の存在は非常に大きなものでした。

啄木啄木の作品に惚れ込んだ金田一京助

啄木の詩人としての才能にほれ込んだ金田一は、啄木の部屋の家賃を立て替えるなど生涯において、かいがいしく生活の面倒をみていました。

啄木が病に倒れ、危篤となった時も金田一は、すぐお金を用立てます。

そして、人生の最期、啄木は「死んだら、今度は京助さんを守ります。」と薬代を用立てて暮れた最大のお礼を述べます。

啄木の最期を仕事の為に看取れなかった金田一は、とても悔やんだそうで、その言葉に感動して後に啄木の特集本を発行しているのです。

彼がそれほどまでに惚れ込んだ啄木の詩人としての魅力は、今も輝きを放っています。

金田一京助については盛岡市の「盛岡市先人記念館」に、野村胡堂については盛岡市の南に位置する紫波町の「野村胡堂・あらえびす記念館」に、そして若山牧水については、現在「盛岡てがみ館」に資料が展示され、それぞれの記念館を巡ると、啄木が生きた時代の文学者のそれぞれの作品、人となりを知る事ができます。

いずれも自然豊かな場所に建てられていますので、ゆっくり巡る旅もいいですね。

啄木盛岡市の「盛岡市先人記念館」金田一京助など盛岡の偉人を学ぶ

啄木野村胡堂・あらえびす記念館 盛岡市の南に位置する紫波町にあります。「あらえびす」が集めたレコードの数に圧倒される

啄木現在、啄木とゆかりの人々を展示

ご紹介した各館は、コロナ対策を実施した上で開館しています。

マスク、手指の消毒は欠かさずに間隔を取ってご覧ください。

また、盛岡商工会議所では『短歌のまち もりおか』を推進するため、啄木が生まれ育った盛岡を訪れる観光客や市民による短歌を募集しています。
※詳しくはこちら

コロナが落ち着いたら、ゆっくり自然を感じて文学の旅に出かけませんか。

minta
この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
青森ねぶた祭りで育ち、盛岡八幡宮例大祭の優雅で粋なところにどっぷりつかり例大祭がないと一年が終わらないお祭り大好き人間です!
派手な祭り、優雅な祭り、しんみりする祭りどれも味わい深く、日本人でよかったな~と感じています。どうぞ宜しくお願いします。

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