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石見神楽は常に進化し続ける!?魅力を面職人さんへ聞いてみた!

石見神楽は常に進化し続ける!?魅力を面職人さんへ聞いてみた!

石見神楽ってどんなもの?

石見神楽(いわみかぐら)をご存知でしょうか?日本各地で行われている神楽がありますが、その中でもアクロバティックさ、派手さが特徴的なのが石見神楽!島根県西部の石見地方で受け継がれてきたこの石見神楽をご紹介していきます!

と、その前に神楽についてまずは見ていきたいと思います。

神楽の歴史は神話の時代にまで遡ると言われています。そのはじまりとされる場面が、古事記日本書紀で描かれる岩戸隠れ。岩戸の中に隠れてしまった天照大御神(あまてらすおおみかみ)に、再び外へ出てもらえるよう興味を引くために天鈿女命(あめのうずめ)が舞ったものがそれに当たります。

そのようにはじまった神楽ですが、現在まで2つの系統で伝わってきています。1つは御神楽(みかぐら)。こちらは宮中で継承されてきた神楽で、現在も皇居内で行われています。また昨年行われた大嘗祭の中でも執り行われていました。

もう1つは里神楽。石見神楽も含まれ、一般的に私たちが神楽として認識している、神社やお祭り等で見ることができるものになります。こちらの里神楽は、各地で伝承されてきた民俗芸能の側面がある神楽です。この中で特に時代時代で内容を昇華させてきたものが石見神楽になります!

受け継がれてきた歴史

石見神楽は室町時代後期には行われていたと言われ、もともとは神職による神事として伝わってきました。しかし明治時代に入ると政府から神職演舞禁止令が出されることに。これにより石見神楽の担い手は、神職から民間の方々へと委ねられることになりました。

ここから当分の間は、里々で神楽が継がれていくことになります。その転換期を迎えたと言われるのが、1970年に行われた日本万国博覧会(通称、大阪万博)。こちらへの出演を機に、演出のダイナミックさや衣装の豪華さが増され、今に伝わってきています。またこの時から日本全国や海外での披露の依頼も増え、多くの方に石見神楽が知られる契機の1つとなりました。

職人さんが語る石見神楽(インタビュー)

ここで石見神楽の魅力にぐっと迫ろうと、ご縁から神楽の中で使用されているを日々制作されている職人さんへインタビューさせていただくことになりました!大田市温泉津町に工房を構える、小林工房小林泰三さんです!

今回はコロナ禍と言う事もり、お電話でインタビューさせていただきました。

―石見神楽とはどのようなものですか?

(小林さん)「ほかの地域にはない、独自の特徴がある神楽だと思います。石見神楽はその地域の人々に守り継がれ、里神楽として伝承されてきたものです。現在130から150とも言われる神楽団体が存在していて、各団体が競い合うように特徴を持っています。」

―競い合うように!何かエピソードはありますか?

(小林さん)「石見神楽が受け継がれてきた地域は、漁師町として発展してきた場所です。そのため漁師の風土と言うか、団体ごとの芸能に関しても競い合っていく雰囲気があります。ほかの団体が派手な演出を用意したりすると、もっと豪華なものにしようかとか。『あの団体はカッコいいなあ。こっちにはスター性のある人がいる!』なんて話が出るように、お互いを良く見ています。そしてノリが良く活発なところがありますね!」

―お互い意識し合って上昇していくのはいいですね!またたくさんの団体があるとのことですが、やはり普段から石見神楽は身近なものなのでしょうか?

(小林さん)「例えば石見神楽には小さい頃から親しめる環境があります。子ども神楽団と呼ばれる子どもだけの団体があり、各団体が集まっての神楽大会と言うものも存在します。子どもの頃から芸能と密接に育つので、やはり石見神楽は身近なものになっていると思います。」

―小林さんも子どもの頃から石見神楽に触れているのですよね?

(小林さん)「実は私が育った温泉津町には、もともと石見神楽の団体がありませんでした。石見地方では唯一無かった町ですね。」

―そうなのですね。どこで石見神楽との接点を持ったのですか?

(小林さん)「小学1年生の時に、石見神楽についての絵本を読みました。その絵本の主人公はお面屋さんの息子で、はじめはお面に興味を示していなかったのですが、知人が父親のお面を付けて舞を行う所を見て、次第にお面に惹かれていくと言うストーリーでした。この絵本を読んで、私もお面に興味を持つようになりました。」

―絵本がはじまりなのですね!

(小林さん)「さらに私は、本格的なお面が欲しくなりました。親に相談したところ、自分でお金を貯めて手に入れなさいとのことなので、コツコツとお年玉を貯めて、4年生の時についにお面屋さんへ行ってみることにしました!」

―3年の月日が経っている!

(小林さん)「3万円程貯めました。お面屋さんへ行ったところ、職人さんがとても丁寧な対応をしてくださいました。子ども扱いしないと言うか、真剣に向き合ってくれたんですよね。ここで一気にお面への想いが燃え上がってきました!」

(小林さん)「その後もお面屋さんへ通っていた所、たまたまテレビ局の取材で小学生がお面づくりを習っているタイミングがありました。その時ありがたいことに職人さんが私にも声をかけてくれ、はじめてお面づくりを行うことになりました!お面づくりと言っても、一日で終わるものではありません。私はここから中学生まで長期休みや土日にはお面屋さんへ行って、お面づくりを学ぶ日々がはじまりました!ちなみに最初につくったお面は般若の面です!」

※般若の面、こちらは職人になってから制作されたもの

―子どもの頃からお面に魅了されてきたのですね!

(小林さん)「中学生になってからはもっとちゃんとしようと思い、師匠のお手伝いをしながらお面づくりを教えてもらっていました。掃除の際には、どのようにものを配置したらいいか、何を片付けるべきか考えながらやっていて、師匠がチェックしてくれた際に喜ばれたのがとても嬉しかったのを覚えています。喜んでもらえると、もっと喜んでもらえるように頑張ろうとなりますよね!」

―それは嬉しいですよね!もっとお面が好きになりそうです。その後ずっとお面づくりを続けられているのですか?

(小林さん)「尊敬している方からなので、特に嬉しかったです。その後は高校へ上がるタイミングでお面づくりからは一旦離れるのですが、温泉津町に神楽団体をつくったりと、石見神楽とは接点を持ち続けていました。その後大学は京都へ行き、卒業後はその大学で事務職員を5年勤めていましたが、28歳の時に面一本でやろうと故郷の温泉津町に工房を立ち上げることになりました!」

小林工房ホームページ

―石見地方へ帰ってこられたのですね!

(小林さん)「はい、この時からお面づくりに日々取り組んでいます。またありがたいことに母校に籍を残していただくこともでき、石見神楽を学生に教える授業も行っていました。実際に学生に温泉津町へ来てもらい海神楽と言うものの中で披露してもらっているんですよ!」

職人さんにとっての魅力とは(インタビュー)

―子どもの頃から石見神楽と密接に関わってきた小林さんにとって、石見神楽の魅力とはなんですか?

(小林さん)「やはり日々進化している、決まってないからおもしろいという所でしょうか?冒頭でも話しましたが、石見神楽の担い手はなんでも受け入れ、おもしろいと思ったらやっちゃう瞬発力のようなものがあります。逆に違うと思ったら潔くやめちゃうとこもありますが笑

配役についてもみんながいろんな役をできるように準備しています。いつでもどこでもできる体制を取っているので、代打で何かを演じると言うこともあり、それが変化を生むきっかけの1つなのかもしれません。」

―日々進化ですね。変わることを恐れず、魅力を次々に大きくして言っているように思えます。

(小林さん)「例えば演目の中で八岐大蛇(ヤマタノオロチ)が一つ有名ですが、このオロチの数ももともとは1-2頭でした。それを大阪万博の際に派手にしよと言うことで8頭にしたのが今に続いています。また目を光らせたり、火を出そうとか柔軟に新しいものを取り入れてきてますね。」

(小林さん)「ほかにはこんな話もあります。石見神楽で使う衣装屋さんがあるのですが、そこに私が子どもの頃80代後半のおばあちゃんがいました。その方は私のことを温泉津から来たぼっちゃんと呼んでくれていたのですが、いつも『神楽をやる人間に悪い子はいない』と言うことを聞かせてくれていました。こんな話を聞いていると悪いことができなくなってきますよね。セーブが効くようになると言うか、これ以上のハメは外してはいけないと言う意識が身に付きました。」

―そういう意識は育まれますね。また世代間の想いが縦のラインで繋がれるのも伝統芸能やお祭りの魅力だと思います。

(小林さん)「横はつながりやすくなっている時代ですが、それはありますね。大切にしていかなければいけない縦のつながり。上の世代の人たちが先代からどのように受け継いでこうなっているのか、それをかみ砕いて上から下へとつないでいくのも大事な役割だと思っています。」

―ほかに大切にされていることはありますか?

(小林さん)「『日々感謝』『日々勉強』、そして何するにもおかげさまでと言う気持ちを大切にしています。感謝、学ぶことを常に忘れてはいけない、そう思って過ごしています。

また神様に携わる仕事をしているので、不思議なご縁と言うものが度々あります。コロナ禍で仕事が減ってしまったりと言うこともありましたが、新しい仕事をいただけたりですとか。複数の方から、同じ面が欲しいと一緒のタイミングで注文が入ったこともありました。神様の仕業、めぐり合わせがありますね。このようにちゃんと出会いがあり、学んでいける場所が神楽にはあると思います!」

―最後に、石見神楽をこれから見る方へのメッセージをいただけますか?

(小林さん)「まずは感じていただければ!元気になるな、エネルギーもらえるなとか、あなたなりの感じたこと、考えを大事にしてもらえればと思います。またお子さんの場合は、子どもの時に見た感動は永遠です!私もそうですが、小さい時に得た感動があると、少々のことではやめなくなります。子どもにとっての神楽の場は大事にしているので、ぜひ見に来て、また体験などにも参加してもらえればと思います。」

石見神楽、見てみたくなりましたでしょうか?長い歴史の中で進化し続けている石見神楽。そこには綿々と受け継がれてきた想いや担い手の技があります。

コロナウイルスの影響もあり中止していた公演ですが、7月4日から完全予約制で場所によっては見ることができるようになりました!ぜひチェックしてみてください!

石見神楽サイト

小林さんの作品

【猿田彦】

【赤鬼】

【蛇頭】

■写真提供:小林さん

written by
高橋 佑馬

高橋 佑馬

1991年生まれ。仙台出身、埼玉育ちの祭り好きです!東北、関東のお祭りがメインですが、全世界おもしろいお祭りがあったら駆けつけます!お祭りのレポートは現地の臨場感を大切に写真・動画を活用し紹介。各地のグルメ情報もお伝えします!
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