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日本一の本陣飾り物!金津まつりとは?福井県あわら温泉にて開催

更新日:2022/7/28 いなむ
日本一の本陣飾り物!金津まつりとは?福井県あわら温泉にて開催

本陣飾り物をご存知だろうか?大量のストロー、トランプ、レンゲなど、日用品をたくさん集めてあっと驚く作品に仕上げるその技術には驚きだ。

2022年7月中旬、福井県あわら市で金津まつりが行われた。金津まつりは本陣飾り物の豪華さが「日本一」とも言われており、その背景には「本陣飾りコンクール」などを周辺の町同士競い合う文化があるとされている。本陣飾り物の紹介を中心として、金津まつりの魅力に迫りたい。

900年の歴史を誇る金津まつりの由来とは?

金津まつりの起源は900年前に遡る。1156年、白河天皇の頃に貴族や興福寺の宗徒が金津の地を訪れ、神輿を金津神社に寄付したのが始まりだ。現在は本陣飾り物の展示や3体の山車(水口区「鏡獅子」、坂ノ下区「北条義時」、東区「熊谷直実」)の巡行、神輿の巡行、金龍太鼓の演舞などで賑う。毎年7月、海の日の前日の日曜日を中日とし、前後の3日間開催される。本来は自然への畏敬の念の意味を込めて本陣に祭壇を設けるなどするが、近年は伝統文化の発信や観光振興の目的も強くなり、本陣飾り物の企画など福井県内外に発信する方向性も強くなっている。

本陣飾り物とは?作品は壊して使い続ける

金津まつりの舞台である金津は、江戸時代に宿場町として栄えた。そのため、参勤交代の時にお殿様が宿泊することもあり、この宿泊所を本陣と呼んだ。この本陣で箸や食器などの日用品で飾り物を作って歓迎したのが「本陣飾り物」の始まりで、約400年の歴史がある。現在、金津まつりの時に山車が巡行する18地区で作成される。昭和35年からはコンクールも開始。アイデア、技術力、デザイン、素材の活用の4項目を基準として、各町の作品が評価される。まつりの後、飾り物は取り壊され、各家庭で再度使い続けるというのがポイント。素材の切断や着色なしに、意外な組み合わせで創意工夫を凝らして作られるのが本陣飾り物の見所である。

金津まつりで本陣飾り物を見てきた

2022年7月17日、金津まつりを見るために芦原温泉駅に降り立った。少し歩くとまだ山車が出ていない時間だったが、まつりの屋台が広がっており、「今日はお祭りの日だ」と改めて実感するような賑やかさがある。焼きそば、たこ焼き、はしまき、お好み焼き、焼き鳥など、定番の屋台が揃っていた。

屋台の一画に水口区の本陣があり、どうやら本陣飾り物が展示されているようだ。道ゆく人が立ち止まり、写真を撮ったり眺めたりしていた。

どうやらこの作品はNHK総合の番組に登場する「チコちゃんに叱られる!」を模しているようだ。チコちゃんは「好奇心旺盛でなんでも知っている5歳の女の子」であり、大人たちに当たり前すぎる質問を投げかける。それに大人たちが答えられないと、チコちゃんにその名の通り叱られるという番組だ。それにしても、コロナ禍ならではの素材であるマスクを使い、チコちゃんの怒りを表現しているのが面白い。

こちらは新富区の「早く こいコイ 新幹線」という作品だ。現在、北陸新幹線が福井県の敦賀まで延伸するのが2024年春ということで、それに向けて新幹線に対する希望の表れとも言えるだろう。県外の人も金津まつりを訪れやすい未来が訪れることだろう。それにしても、扇子の襞が魚の尾びれの模様になっているとは……普段はなかなか結びつかない発想で制作されていると感じた。

こちらは八日区の「鎌倉殿の13人 源氏兜」という作品だ。2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にあやかって作られたようだ。キラキラと光る兜や弓矢が調理用具やお椀などによって作られているのが面白い。

上八日区は「英姿コロナを滅す」と書かれており、2本の鋭い日輪等が飾られていた。この刀、実はストローで作られているらしい。一見鋭いように見えるが、実際に使われている素材がやわらかいストローであるという所が、ギャップがあって面白かった。

脇出区は「結城秀康と多賀谷左近 越前北の庄入り」と書かれており、紙コップと洗濯バサミで作られた武士が、笠に見立てた小皿を被って槍を持ち、行列を作っている。膨大な数を作るのに、時間がかかったに違いない。たくさんのキノコが生えているようで、どこか可愛らしくも見えてくる。

一部しかご紹介ができなかったが、このように金津まつりでは18地区の本陣で本陣飾り物を見ることができる。本陣はどこだろう?どんな飾り物が見られるかな?という風に町を巡っていく感覚が面白かった。そして、これらの飾り物を比較していただくとわかるように、地区ごとに関心が全く異なっているのも興味深い。新幹線の延伸や新型コロナウイルスなどの社会情勢を反映しているもの、話題のテレビやドラマを模倣しているもの、地域の歴史を再現しているものなど様々だ。本陣飾り物を通して、地域の関心事に触れられるというのは祭りの本来の機能であると思う。

半世紀ぶり!?神社前に山車が集結し練り歩く

本陣巡りをした後は、金津神社に向かった。

到着した時にはすでに、山車の巡行の準備が着々と進められていた。山車が三基とも巡行するのは3年ぶりであり、巡行前の三基が金津神社前に集結するのは約半世紀ぶりとのこと!非常に貴重な機会に立ち会うことができた。練り歩く山車は、水口区の「鏡獅子」、東区の「熊谷直実」、坂ノ下区の「北条義時」の順番で並んでいた。

後ろから見ると、こんな感じ。鏡獅子は髪の毛がとても長く、後ろ姿はまるで物の怪のようだ。鏡獅子は歌舞伎の演目が元になっており、気品のある娘が獅子頭を手にすると突然、獅子の精が乗り移って荒々しくなるというストーリーが演じられる。その荒々しい姿を表現したのが、この鏡獅子の山車になったということだろう。熊谷直実といえば源平合戦で源氏に従い平敦盛との一騎打ちをした武将であり、北条義時といえば鎌倉幕府の第二代執権だ。

金津神社の鳥居前を出発した三基の山車は、町のメインストリートを進んでいく。屋台の前を通る時には、声かけをして道を開けてもらったり、屋台の屋根を上げてもらわないといけない場所もある。このような場面で、地域の人同士の助け合いが見られた。

山車はどんどん進んでいく。時折、電柱に引っかかりそうになると、山車の中段に乗っている方々が赤い棒で電線を突き上げて通りやすくしていた。建物2階分くらいの山車が、綱を引きながら前に前に進んでいく姿は迫力満点だ。

山車は時折止まって、その前で金龍太鼓の演舞が行われた。力強い太鼓の演舞を、子供たちが体を振りながら観ている姿が印象的だ。道路の縁石が観客席になっているという風景もどこか素朴で素晴らしいと感じた。

山車の練り歩きと金龍太鼓の当日の様子はこちら。

競い合いの文化が祭りを盛り上げる

近年、金津まつりは担い手や資金不足の問題があるようだが、本陣飾り物、山車、太鼓など、かなり見所が満載な分、人口減少が進む中でそれをどう継続していくか?が問題になっているという。実際に当番区になると、山車の他に前囃子や子供踊りなどの披露も行うことになる。一方で、世帯数が30以下になっている地区もあるそうだ。しかし、そのような背景を感じさせないほどに、祭りはただただ賑やかで華やかだと思った。

金津まつりは冒頭でも触れたようにかなり古い歴史があり、単なる祈りだけではなく競い合い町を賑やかにさせる役割も担ってきた。本陣飾り物は地域ごとに一致団結して、創意工夫を凝らしてその文化を発展させた。そういう意味では、山車も3地区の当番区が競い合って祭りを盛り上げているという側面もあるだろう。この競い合いの文化こそが、祭りを盛り上げる鍵を握っているのではないか?北陸新幹線の延伸なども控えている今、ぜひ金津まつりの良さを知るファンが増えてくれたら嬉しい。

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祭り開催情報

名称 金津まつり
開催場所 福井県あわら市春宮2-14-64
金津神社、金津18地区
開催日 2022年7月16日(土)、2022年7月17日(日)、2022年7月18日(月)
主催者 金津祭保存会、金津地区区長会
アクセス JR北陸本線「芦原温泉駅」から徒歩9分
関連サイト http://www.city.awara.lg.jp/mokuteki/...
https://awara.info/cat_event/%E9%87%9...
この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
獅子舞マニアです。ライターやカメラマンをしています。趣味は、獅子舞の鼻を撮影することです。その他クレイジーな祭りにも潜入します。

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