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「賀路神社ホーエンヤ祭」港町を彩る祭り行列と麒麟獅子舞|観光経済新聞

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2021/10/11
2021/11/19
「賀路神社ホーエンヤ祭」港町を彩る祭り行列と麒麟獅子舞|観光経済新聞

2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2021年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)

港町を彩る祭り行列と麒麟獅子舞

私が強く引かれるのは、集落総出で長時間かけて行われるタイプの祭りだ。住む人の顔がずらっと並ぶのを見られるし、受け継がれてきた文化が織りなす絵巻を体感できる。このお祭りも、そういう祭りの一つである。

2年に1度、4月29日に鳥取市賀露(かろ)港で行われる賀露ホーエンヤ祭は、奈良時代の役人で学者の吉備真備(きびのまきび)が遣唐使から帰国する際に賀露港沖の小島に漂着した、という伝説に基づいて行われる、ねり歩き行列のお祭りである。

ねり歩くのは、高校生による幟(のぼり)を背負った鎧(よろい)武者、中学生による鉾(ほこ)、小学生による鷹(たか)狩の大名行列や船神輿(みこし)、大人が担ぐ神輿などで、他にこの地方特有の麒麟(きりん)獅子舞、巫女(みこ)舞も行われる。

お昼にねり歩きが始まり、祭りのハイライトでは、行列の一行が大漁旗を飾った船が引っ張る台船(作業用の平らな船)で港を渡御(とぎょ)する。台船の周りをホーエンヤ船と呼ばれる手こぎ船が進む。

この祭りで注目したいものの一つは、麒麟獅子舞である。金色の頭に赤い胴体の麒麟獅子が舞う姿は、目に艶やかでインパクト大だ。麒麟を誘導する猩々(しょうじょう)という伝説上の生き物も真っ赤な面と衣装で迫力十分である。

麒麟獅子舞を担当する若者たちは、祭りの4、5日前に祭りで使う火を古式にのっとり、きりもみ式で起こし、前夜にも奉納舞を行う。祭り当日は、神社や港で奉納舞を行う他に、朝から夕方まで、希望する家々(約50軒)での門付けの舞を分刻みで走ってこなす。

成人を迎えた若者は、麒麟獅子を舞い上げることで、地域の人に立派な大人になったと認めてもらえるのである。麒麟獅子の役目を終えた若者は、その次には神輿を担いだり、後輩を指導する役目を務めていくことになる。

衣装や化粧の素晴らしいデザインと共に、通過儀礼としてのお祭りの形と、成長を見守る地域の人の姿を見られることも、このお祭りの大きな魅力となっている。

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