2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2021年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)
かわいい金魚で運気を上げる
東京都渋谷区の代々木八幡宮では、今年5月23日に金魚祭りが開催された。創建は鎌倉時代にさかのぼる由緒正しい八幡宮だ。境内には昭和25年に発見された縄文時代の竪穴式住居もあり、歴史の厚みを感じさせる。
金魚祭りの由来は大正初期までさかのぼる。5月6日に開かれていた五社宮祭に府中・大國魂神社のくらやみ祭で露店を張った商人たちが、戻る途中立ち寄り残り荷を売った。当時この辺りでは、自宅の池で金魚を飼うことが人気で金魚が売れたことから、「金魚祭り」と言われるようになった。この祭りは大正の初めに一度中断したが、地元の人の熱心な協力で平成15年に復活を果たした。
今年の金魚祭りでは、本殿の横に金魚みこしが大きなマスクをつけて展示されていた。コロナ禍で密を避けるため、子供たちが担ぐことはかなわないが、家族連れが写真を撮るなど大人気。境内前では金魚お守りと金魚提灯が売られていた。お守りはガラスに金魚が入ったもの、布製のものなど数種。家族全員に買う父親の姿などほほえましい。金魚提灯が、はしゃぐ子供たちの手で揺れる。近隣の福田幼稚園の子供による金魚の貼り絵も展示されていた。
代々木八幡宮本殿奥の出世稲荷大明神は、都内屈指のパワースポットだ。何本も赤い旗の立つ鳥居の奥に、耳が欠けるなどさまざまな狐の石像が見える。石像たちは昭和20年の東京大空襲で焼け焦げた各家庭のお稲荷さんを近所の人が拾い集めてお祭りしたもの。優しい気持ちが集まるお稲荷様だからこそ、強いパワーがあるのだろう。
代々木八幡宮の金魚祭りは、コロナ禍にささやかな楽しみを見つける人々の笑顔であふれていた。同時にこの町はおしゃれな若者に人気のエリア、周辺には「365日」などおいしいパン屋さんなども多い。市井の人に寄り添う身近な祭りを楽しみ、出世稲荷大明神で運気を上げ、ちょっとぜいたくなテイクアウトグルメを楽しむのはいかがだろうか。