2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2022年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)
開運招福、商売繁盛を願う
年末の風物詩といえば「酉(とり)の市」。毎年11月の酉の日に、関東地方を中心に鳥にちなむ寺社で行われる祭りである。江戸時代から続く年中行事で、11月の初酉を「一の酉」、順に「二の酉」「三の酉」と呼ぶ。
「三の酉」まである年は火事が多いとの俗信があるが、その理由は定かではない。一説には、浅草・鷲(おおとり)神社の「酉の市」は大いににぎわい、隣接する吉原の大門も開かれ、手軽に入ることができた。そのため、留守を預かる家人が「三の酉は火事が多い」という話をつくり、旦那衆を家に引き戻したとされる。
都内で「酉の市」を開催する寺社として、浅草の鷲神社(台東区)、酉の寺・長國寺(同)、花園神社(新宿区)、大國魂神社(府中市)が広く知られている。その他、花畑大鷲神社(足立区)や、練馬大鳥神社(練馬区)をはじめ、各所で「酉の市」が開催される。その一つ、大田区に鎮座する大森鷲神社の「酉の市」は町をあげての大規模な開催となる。
JR線大森駅付近から鷲神社まで続く約200メートルのアーケード街および、神社の周辺には数えきれないほどの出店が並ぶ。お好み焼きには長蛇の列、射的からは子どもたちの歓声があがり、綿菓子の袋を持った親子連れが行き交う。日が暮れるころには買い物や参拝に訪れた人であふれ、前に進むのも困難なほどだ。
普段は静かな神社も、この日ばかりは辺りを取り囲むほどの長い列ができ、参拝まで長時間並ぶ覚悟が必要だ。体を冷やさぬよう寒さ対策も万全にしたい。社名の「おおとり」が「大取り」に通ずるところから、開運招福、商売繁盛に御利益があるとされ、境内には縁起物を飾った熊手を売る露店が立ち並ぶ。熊手が売れるたびに「家内安全」「商売繁盛」の威勢の良い掛け声と手締めが周囲に鳴り響く。最初は小さめの熊手を購入し、事業が拡大するごとに大きくするとよいといわれている。筆者も事業の拡大にあやかりたい。