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奈良春日大社「春日若宮おん祭」一日中続く神事芸能と1,000名の風流行列

2024/1/15
2024/1/15
奈良春日大社「春日若宮おん祭」一日中続く神事芸能と1,000名の風流行列

世界遺産「春日大社」は全国の春日神社の総本社

「古都奈良の文化財」を構成する8つの資産の1つとして、世界遺産に登録されている春日大社。

年間2,200ものお祭りをしており、その中で有名なお祭り「春日若宮おん祭」について、この記事では紹介いたします。

重要無形民俗文化財「春日若宮おん祭」

春日若宮おん祭は春日大社の摂社「春日若宮」よりお旅所へ若宮神をお迎えし、さまざまな芸能を捧げる祭礼です。

摂社「春日若宮」

平安時代の保延2年(1136年)からおん祭がはじまり、2023年は888年目を迎えました。

頭屋児(とうやのちご)はお渡り式を検知する役目

華やかな風流行列がみどころで、興福寺旧境内の奈良県庁前広場から出発し、近鉄奈良駅など奈良市内を練り歩きます。

能舞台によく松が描かれていますが、その松は春日大社の一之鳥居にある「影向(ようごう)の松」。このことからも日本古来から芸能と結びついていると感じるお祭りです。

影向の松

影向の松の前では、「松の下式(まつのしたしき)」という田楽や舞楽、猿楽などの神事芸能も見られます。

1,000名の風流行列「お渡り式」

最初にやって来たのは明治以降お渡り式に加わった「前行行列」。子供達が可愛らしい装束を着て歩いてきます。

御所車や五色幕の掛かった榊車、壺装束を着た方と雅な行列が進みます。

神事芸能が目白押し「松の下式」

前行行列のあとは古式ゆかしい風流行列がやってきます。一番から十二番までの芸能集団や祭礼に関わる人たちです。

第一番 日使(ひのつかい)

日使は行列の中心人物。黒の束帯をまとい、藤の造花を冠に飾っているのが特徴です。

「日使」という名前は関白の藤原忠通がおん祭に向かう途中で病気になったため、お供の楽人にその日の使いをさせたことが始まりと言われています。

梅の白枝と祝いの御幣

日使に続き、祭礼で使う御幣などが美しく飾られて通っていきます。

凛々しい少年たちの姿は、寒さの中にも爽やかな春の風を感じます。

十列児(とおつらのちご)

通り過ぎる姿を眺めていると、馬のお尻に可愛いマークがついているものも。なにか微笑ましい光景でした。

馬のお尻に模様が入っているのもあって可愛い(祭の前に撮影)

第二番 巫女(みこ:神子/拝殿八乙女)

春日大社では巫女を伝統的に「ミカンコ」と呼んでいます。
他に「辰市神子」「八嶋神子」「郷神子」「奈良神子」の4名も馬に乗って進んでいきます。

第三番 細男・相撲(せいのお・すもう)

神功皇后の伝説にちなんだ独特な細男の舞を演じる集団です。浄衣(じょうえ)という白衣姿で馬に乗って進みます。

続いて、緑(今でいう青色)や赤の袍を着た十番力士行司・支証が続きます。

第四番 猿楽(さるがく)

猿楽とは能楽の昔の名前です。松の下では「開ロ(かいこう)」「弓矢立合(たちあい)」「三笠風流」の3曲を奉納します。幽玄な舞をたっぷりと見ることができる時間です。
このあと、お旅所入口で金春大夫が「埒(らち)明け」を行います。

第五番 田楽(でんがく)

大きくて華やかな五色のご幣を持った集団がやってきます。

綾藺笠(あやいがさ)をつけ、編木(ささら)・笛・太鼓を持ちます。

おん祭で行われる芸能のうち、興福寺と最も深い関係にあった芸能集団です。

中でも目を引くのは、奈良一刀彫の起源だといわれている人形を飾った花傘。大きな傘を押さえながら笛を吹いている姿が、どこか可愛らしかったです。

第六番 馬長児(ばちょうのちご)

山鳥の尾をまっすぐ天に向けて立てた「ひで笠」をかぶった少年は馬長児。

五色の短冊をつけた笹竹を持ち、龍の造り物をかぶっている従者が二人ずつ従います。

第七番 競馬(けいば)

赤と緑の錦地の裲襠装束(りょうとうしょうぞく)を着た騎者が、馬出橋からお旅所前にある勝敗榊まで、どちらが速いか競います。
競馬の勝敗によりお旅所で行われる舞楽の順番(左舞の蘭陵王と右舞の納曽利)が決まります。

第八番 流鏑馬(やぶさめ)

流鏑馬児(やぶさめのちご)

三騎の稚児が、一之鳥居内の参道で祝投扇(いわいのなげおうぎ)の所作を行い、三つの的を順番に射ながら進みます。

真剣な眼差しで弓を引く子供達の姿が印象的です。

第九番 将馬(いさせうま)

その昔、大和の大名家中から神前に献じた馬を引いた名残りで、馬上に人を乗せません。

第十番 野太刀(のだち) 他

思わず「おぉっ!」と声をあげたのは野太刀。5.5メートルという巨人が使うようなとてつもなく大きな刀はさすがに迫力があります。他にも中太刀・小太刀・薙刀(なぎなた)・数槍(かずやり)をそれぞれ数名で担いで行進します。

第十一番 大和士(やまとざむらい)

おん祭はもともと興福寺の衆徒(僧や僧兵のこと)が主宰していましたが、時代を経て大和士も主催者のようになっていきました。
流鏑馬を奉納した大和武士の伝統を受け継いだ大和士の一団です。

第十二番 大名行列

お渡り式の最後を飾るのは大名行列。江戸時代からお渡り式に加わりました。
「ヒーヨイヤナー」「ヒーヨイマカセー」「エーヤッコラサノサー」という掛け声とともにポーズをキメて練り歩きます。

武家の祭礼の伝統を大和国内の郡山藩・高取藩などが受け継いで供奉しており、子供大名行列や郡山藩の行列がお渡り式の最後尾を務めています。勇ましさもありつつ、女性や子供の行列はどこか華やかさも感じます。

このあと14時半からお旅所で国の平安を祈願する「お旅所祭」が行われます。
15時半ごろからは神楽・東遊(あずまあそび)・田楽・細男・猿楽(能楽)・舞楽などの芸能の奉納が、なんと夜の22時半ごろまで続きます。1日を通して神様をおもてなししようという気持ちが伝わってきます。

春日若宮おん祭限定の御朱印

しかし寒かった…!一之鳥居からお旅所までの参道は日陰で寒いため、春日若宮おん祭を見に奈良へお越しになる場合は暖かい服装でお越しください。

次は夜まで続くお旅所祭や、およそ1,200年も続くという3月13日の勅祭「春日祭」を見てみたいです。また春日大社に来る日が楽しみでなりません。

心もほっこり奈良の「大仏」グルメ

猿沢池の周りには屋台がぐるりとひしめいている

お渡り式の出発はお昼の12時から。風流行列が通りすぎると、思わず「お腹が減った!!」という言葉が出てきます。

猿沢池で屋台グルメを楽しむことも出来ますが、体が冷え切っているため、お店の中で食事をしたい気持ちになり、ひがしむき商店街に行ってみることに。

元喜神「大仏ラーメン」

すると、元喜神というラーメン屋さんで「大仏ラーメン」というメニューを発見!まずは器の大きさにびっくり。さらに驚きなのは海老天や揚げ餅まで入ってること。せっかく奈良に来たのだから、ご当地グルメを食さねば!と注文。

あっさりした醤油ベースのラーメンです。ああ〜、冷え切った体にしみいる…。おいしくて、あたたかい食事をありがとう…!次回は鶏白湯の「大仏つけめん」を食べてみたくなりました。

大仏繋がりでもう一つ紹介したいのは「まほろば大仏プリン」。可愛らしい大仏様の絵が入った大きなプリンです。変わったものではプリンジャムもあります。個人的には「まほろば大仏プリンロール」が激推し。罪悪感半端ないですが、ロールケーキにプリンが入っているなんて、美味しいに決まってます…。奈良に来た時に筆者がいつも買っていく定番のお土産です。

みなさんも身も心も奈良を楽しんでみてくださいね。

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